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第三章 王都へgo!
56. 是宇須轟雷
しおりを挟む強盗の人達は、クロメにより、全員、亀甲縛りの数珠繋ぎにされ、ポチタロペスに守衛の元に連れて行ってもらった。
ん?ポチタロペス1人で大丈夫かって?
ちゃんと、クロメに説明の手紙を書かせたし、使い魔の首輪も付けてるから大丈夫でしょ。
でもって、フローラ教のシスターとの対立。
なんか、シスター、顔を真っ赤にして怒り狂ってるし、俺達は護衛したいだけなんだよね。
「護衛の仕事は、破棄します!」
「私は、黒耳族最後の生き残りとして、絶対に任務は遂行する!」
そりゃあ、そうなる。
クロメは、どんなに依頼主にムカついてても、依頼の失敗を嫌うのだ。
というか、既に、強盗から護ってやったのに、護衛の破棄とかできるのかよ?
本当に、教会の奴らって、世の中の常識解ってるのか?
「邪教徒とは、一緒の空気を吸うのも吐き気がします!」
オイオイ……そこまで言うかよ……
このシスター、もう、人として終わってるよな。
そもそも、孤児達が全員、魚の死んだような目をしてるのが気になってたのだ。
多分、ポーション作りの為に、相当、酷使されてると俺は踏んでいたりする。
『クロメよ。このイカレシスターに、子供達を虐待してないか聞いてくれないか?』
「承知!」
クロメは、その場で、片膝を付き忍者ぽく返事をする。
そして、
「そこの矮小なる女よ! 我が主、至高なる卍様が、貴様が、子供達に虐待してるか心配しておられる。
知っての通り、我が主、卍様は慈愛溢れる破壊神。子供がスクスク育ってないと、怒り狂い、天から雷を落とし、大地を割り、この大陸を洪水で飲み込み破滅させるであろう!
さあ、正直に言うがよい!子供達を虐待してるか、否か!」
なんか、いつも通り、変な中二が散りばめられている。慈愛溢れる破壊神って、一体なんなの?俺、子供がスクスク育ってないと、癇癪を起こし、この世界を滅亡させちゃうの?
ヤバ過ぎる神様じゃん。
「出来もしない事を、スラスラと。無名の邪神如きが、神フローラ様でも出来ない事を出来る訳ありません!」
言っちゃったよ。俺をディスっちゃうと、クロメさんがブチ切れちゃうんだよ。
しかも、クロメが言った事、多分、クロメは全部出来ちゃうからね。
「クックックックッ……卍様を無名?
この世界より文明が発達した異世界で、恐怖の大魔王と恐れられていた卍様を?
地獄の最も深い深淵から産み落とされた破壊神であらせられる卍様を?
そして、地獄の閻魔大王でさえ屈服させて、地獄の帝王とおなりになった卍様を無名?
この世界こそ、余っ程のド田舎で無名!
我が主、至高なる卍様が居た異世界とは、比べられる世界でもないというのに片腹痛い……
ならば、見せてやろうではないか!超ド田舎のロートルの神では出来ない、超ド級の奇跡を!
この、至高なる卍様の下僕のクロメ様が、卍様に変わり、雷を落とし、大地を割り、全てを飲み込む大洪水を起こしてやるわ!!」
クロメの長ったらしい中二口上が終わると、クロメは俺から、地球の魔力をグングン吸い上げていく。
『オイオイ! クロメ! 解ってるよな! やり過ぎるなよ!』
というか、俺の言葉なんか聞いてないし。
もう、なんか二ヘラ笑いしながら魔法の詠唱始めちゃってるし。
クロメは、極大魔法を放つのが大好きなのである。
「轟雷降り注ぐ雷雲の遥か上、オリュンポスに住まう全能神よ。愚かなるこの世界の者達に神に鉄槌を。 我が主、至高なる真の最高神卍様の名の元に命ずる!究極的神大魔法!是宇須轟雷!!」
クロメの詠唱が終わる頃には、上空に幾万もの魔法陣が現れており、そして、詠唱が終わると、けたたましい轟音と共に幾万もの光のイカヅチが、ニナナカ城塞都市を囲むカーテンのように、ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーン!!と降り落ちた。
まさに、神の鉄槌。この世の終わり。
というか、全能神ゼウスまで出しちゃうのね。でもって、俺が真の最高神?
俺は、本当にどこまで上がっちゃうのだろう。
ニナナカ城塞都市に住まう人達なんか、もう、ビビり過ぎて、みんな腰を抜かして失禁や脱糞してる人達もいるし。子供なんかギャーギャー泣きだしちゃってるし。
もう、これで十分だろ。この後、地震起こして洪水起こしちゃったら、本当に、この世の終わりだよ。
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