【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ

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49. 冒険者試験(3)

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 ビー子が首チョンパした餓狼族を、クモが指先から糸を出して後ろ足を縛り、闘技場の壁に吊るして血抜きを始めた。

 最近のクモは、料理素材の鮮度にもこだわるのだ。

 ここでやらなくても良いのでは?
 とも思うのだが、もしかしたら今日の夕飯のメインデッシュにするつもりなのかもしれない。

 なにせ、餓狼族のお肉は、ミノタウロスのお肉の次に美味しいらしいのだ。

 元、日本人の俺的には残酷な情景に見えるのだが、エーバルの冒険者さん達は、何事でもないかのように、クモの行動をスルーしている。

 どうやら、この世界では魔物の血抜きをする事は、普通の事のようだ。

「流石は、アナさんが認めた悪魔だけの事はありますね!
 次はB級を飛ばして、A級試験を始めちゃいましょう!」

 エーバル冒険者ギルドの職員は、勝手にA級冒険者試験を始めてしまう。

「ワッハッハッハ!
 我を解き放つは、馬鹿な冒険者共だ!
 この偉大なる大悪魔様が、この世界の全ての人間をM奴隷にして、アヘアヘ言わしてやろうぞ!」

 闘技場の入口から、何故かモヒカンの世紀末覇者のような格好をした悪魔が現れた。

「アナぁ、この人キモイよぉ」

 世紀末悪魔に、同じ悪魔である筈のビー子までも引いているようだ。

「ビーちゃん、すぐに殺っちゃいなさい!」

 アナ先生も汚物を見るような目をして、ビー子に指示を出す。

「わかった! 鞭が汚れると嫌だから、魔法を使ってみるよぉ!」

 ビー子が珍しく魔法を使うらしい。
 それ程、あの悪魔がキモイらしい。
 あの悪魔と俺との違いはなんなのだ?
 見た目は、俺とそんなに変わらない気がするのだが……

 そうこうしてると、ビー子の指先から炎の塊が出来始める。

「ワッハッハッハ!
 我にファイアーボールのような、低級の魔法が効くとでも思っておるのか!
 我を倒したければ、上級以上の魔法でなければ無理であるのだ!
 ワッハッハッハ!」

 悪魔は余裕灼灼で、ビー子の魔法を見守っている。
 完全に、ビー子を舐めているようだ。

 ビー子は、更に指先に魔素を込める。
 大きさは、バスケットボール並の大きさなのだが、次第に赤い炎が淡い青色に変化していく。

 俺の前の世界の知識では、確か炎は温度の高い順に、赤、黄、白、青となると聞いた事がある。

 それと照らしら合わせると、ビー子の指先の炎は、相当な温度になっている筈だ!

「ワッハッハッハ! そんな冷たそうな青色の炎が、我に効くと思うのか!
 我も相当舐められた者だ!」

 アホな悪魔が高笑いをして、ビー子をディスている。

 無知というのは、哀れななものだ……
 世紀末悪魔、死んだな。

 アホな世紀末悪魔は、ビー子のファイアーボールを正面から受け止めるつもりらしい。

 世紀末悪魔は、悠長にビー子の魔法を待っている。
 ビー子のファイアーボールは、一応初級魔法だが、魔素の練り方が半端ないのだ。
 実質、上級の上の威力はありそうだ。

「それじゃあ、いくよ!
 キモイ悪魔は、消えて無くなれ!」

 ビー子の指先から、青い炎のファイアーボールが、世紀末悪魔に向け発射された。

「ワッハッハッハ!
 そんなヘナチョコファイアーボールなど、この大悪魔の我に効くと思っているのか!」

 世紀末悪魔は腕を組み、ビー子のファイアーボールを正面から受け止めた。

 案の定、世紀末悪魔は、高笑いとともに、コアも残さず消し炭になってしまった。

「……」

 世紀末悪魔のおバカ過ぎる成れの果てに、観戦していた冒険者達は、皆言葉が出ない。

 世紀末悪魔は、相手の力量も分からぬポンコツ悪魔だったようだ。

「ええっと、ビー子さんのA級冒険者試験は、合格となります!」

 暫く固まっていたエーバル冒険者の職員さんが、ビー子に勝ち名乗りを上げる。

「ビー子、やったよ!」

 冒険者職員の勝ち名乗りを聞いて、ビー子は、その場で喜んで飛び跳ねる。

 どうやら俺達の実力は、アナ先生が言ってたように、S級、SS級で間違いないようだ。

 ビー子に瞬殺された悪魔は、弱すぎる。
 俺やビー子と同じ悪魔であるとは思えない。
 やはり、俺とビー子がユニーク個体だからだろうか。

「続けて、貴方も冒険者試験をやりますか?」

 熟考していると、エーバル冒険者試験官か、俺に聞いてきた。

「勿論、やります!」

 俺は観覧席から、闘技場の中央に移動する。

「貴方の実力も、相当のように思われますので、A級から始めちゃいましょう!」

 エーバル冒険者職員は、有無を言わさずA級試験を始めてしまう。
 まあ、それでよいのだが。

「エー君! 貴方の実力を見せてあげなさい!」

「ご主人様! 頑張るのぉ!」

「頑張るクモ!」

 アナ先生、ビー子、クモが、俺にエールを送る。

「ワッハッハッハ!
 我を解き放つとは、愚かな!
 ここにおる者達を、全て皆殺しにしてやるぞ!」

 闘技場に現れた悪魔は、先程ビー子に瞬殺された世紀末悪魔のように、高笑いをしている。

 どこから、そんな自信がでてくるのやら……

 俺は悪魔を無視して、指先に魔素を集中させる。

 そして何も言わずに、悪魔に指先を向ける。

「ドピュン!」

 俺の指先から、圧縮された空気の玉が発射され、悪魔の脳天を貫いた。

「そ……そんな馬鹿な……」

 俺の前に立っていた、悪魔はそのまま後ろに倒れ絶命した。

 闘技場に観戦していた、冒険者のギャラリーが呆気にとられている。

 風魔法は、実質ただの風なので、肉眼では見えないのだ。

「え……えと、勝者、エーサクさん!
 A級冒険者試験合格とします!」

 エーバル冒険者職員が、勝ち名乗りを上げた!

「流石、私のエー君!」

「ご主人様、カッコイイ!」

「ご主人様、好きクモ!」

「お前、すげぇーなぁ!」

「流石、アナさんが連れて来ただけの事はあるな!」

「お前ら、中々やるな!」

 アナさんやエーバルの冒険者達から歓声が上がる。

 俺とビー子は、どうやら冒険者になれたみたいだ。

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