【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ

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83. 高い買い物

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「それでは、今日の本題にはいりましょう!
 こちらのフロアーにお越し下さいませ!」

 俺達は、ヨネンさんに導かれるまま奥の部屋に移動する。
 奥の部屋にある武器や防具は、またまた額が跳ね上がって、全商品1億マーブルオーバーである。

「こちはのお部屋は、お得意様しか入れない、神級の商品を置いてあるVIPルームです」

 ヨネンさんが、事も無げに説明する。

「神級の武器や防具って、普通に売ってるんですね……」

「売ってますよ! 神級の武器や防具が無いと、S6以上のダンジョンは攻略できないと言われていますから。
 勿論、『白虎』などの聖級の上と言われる刀なら、S6でも問題ないですけどね!」

「しかし、こんなに高い商品を買う人なんているんですか?」

 俺は気になり質問する。

「たくさんおいでになりますよ!
 貴族の方や王族の方や、魔王様なんかもお得意様ですね。
 何せ南の大陸は、王国、魔王が乱立していますからね!
 神級の武器や防具をコレクションしている方が、多々いるんですよ」

「そ……そうなんですか……」

 まあ確かに、この世界は王や魔王、はたまた大魔王も乱立してるようだしな……
『犬の尻尾』など同じギルド内に、大魔王3人と勇者が1人いると言うし……

「取り敢えず、値段がついてる神級の武器や防具は誰でも買えますよ!
『白虎』のように、値段が付いてない物は、半分非売品で私が判断して、認めた方にしかお売りしませんが」

 ヨネンさんの話を聞いていたアナ先生が、『白虎』をギュッと抱き締める。
「もう自分の物よ!」と、アピールしているみたいだ。

「それでは、今回、紹介したい商品をお見せしましょう!」

 ヨネンさんはそう言うと、ショーケースに入っていた、見た目ipadのような物体を取り出した。

「これはダンジョン管理用の魔道具です!
 これは昔、天才魔道具士と言われたゾイ·ソラニが作り出した、ダンジョン管理用魔道具の簡易版になります!
 因みにこの魔道具は、僕の作品でもあります。
 今回は、この魔道具を紹介しようと、『鉄血の乙女』の皆様方に、ドワーフ王国直営店にお越し頂きました!」

 見た目はipadだが、ちゃんと使えるのか?
 この世界はネット環境も整っていないのに……しかも、簡易版って……

「簡易版って、正規版は買えないんですか?」

 俺はヨネンさんに質問してみる。

「正規版は、モフウフ王宮で使われていて、お売りするとしたら50億マーブルはくだらないです!」

「ご……50億マーブルですか……」

「ハイ、50億マーブルです!
 正規版はダンジョン管理以外にも、通話ができたり、メールができたり、その他にも、その日の天気、その日の新聞、雑誌や有名書籍、地図、マップラー機能、方位磁石、占い、ハウツー、チャット機能など、便利な機能がたくさん付いておりますからね!」

「殆どipadですね……」

「ハイ! ゴトウ様がゾイ様に、ipadをヒントに作らせたと言われておりますから!」

 成程ね。またゴトウ·サイトか。
 しかし、50億マーブルは高すぎる。

「50億マーブルは、僕達には無理ですね……」

「そこで、僕が作った簡易版があるのです!
 簡易版の機能は、ダンジョン管理とマップラーと方位磁石の機能だけを付けた、正にダンジョン管理専用端末となっているのです!」

「それって便利な物なんですか?」

「フフフフフ。良く聞いてくれました!
 現在、世界樹のダンジョンのフロアーボスの選定や、各階層の間取りや罠はアド様しか出来ませんよね!
 それがこの簡易ダンジョン管理端末を使えば、この端末に登録している者なら誰でも出来てしまうのです!」

 ヨネンさんは、自信満々に力説する。

「それって、別にアドに頼めば済む話ですよね?」

「エーサクさん、世界樹ダンジョンの階層はどれだけあると思ってるんですか?
 確か400階層ですよね!
 実際、世界樹のダンジョンなら更に階層を増やす事も可能ですし、その時、どの階層をどうしたとか、思い出せない事ってありますよね!
 そんな時、僕が作った簡易版ダンジョン管理端末を見れば、どの階層でどんなフロアーボスを設置したのかが一目で分かると言う訳です」

 ヨネンさんは、いつ間に設定したのか、世界樹のダンジョンを設定した端末を見せながら画面をスワイプしてみせる。
 スワイプしていくと、1階層から400階層までのフロアーボスや上級結界が張ってあるフロアーが、確かに一目で分かるようになっていた。

「勝手に、何してるんですか!」

「すみません!
 実際に自分達が管理しているダンジョンを使えば、説明しやすいと思って。
 まあ、取り敢えず見て下さいよ!」

 ヨネンさんは、全く反省していないようだ。
 大した事ないような顔をして、そのまま説明を続ける。

「例えばこの56階層をタップすればその階層のマップが出てきて、間取りや、罠を仕掛けた場所が分かるという訳です!」

 ヨネンさんは、56階層目をタップすると、ヨネンさんが言うように56階層のマップが登場した。

 そのマップには、罠の場所やお宝が出現している場所、果ては魔物がいる位置などこと細かく情報が網羅されているではないか。

「エー君、これは想像以上に凄いわね……」

「これって、ビー子にもできるの?」

 アナ先生もビー子も興味津々のようだ。

「操作を覚えれば、誰にでもできます!
 階層移動なんかも、実際モニターを見ながら、移動させたい階層を長押ししながら、移動させたい場所にスワイプして離すだけですからね!」

 と言いつつ、ヨネンさんは、勝手に56階層と53階層を入れ替えてしまった。
 確かに、凄く簡単だ。
 しかし、ヨネンさんが俺達の敵だったとしたら凄く恐ろしい。
 世界樹のダンジョンを管理できる端末を、既にヨネンさんが持っているのだ……
 この端末をヨネンさんが誰かに売ってしまったら、俺達のダンジョンは簡単に攻略されてしまう事になる……

 これは暗に、俺達を脅しているのか?

「ビー子、これ欲しい!」

 クッ! ビー子は単純でいい。しかし、この端末をヨネンさんが持ってるのはまずい。

「ヨネンさん、これってお幾らになるんですか?」

 俺は恐る恐る聞いてみる。

「ちょっきり1億2000万マーブルです!」

「エー君! 安いわよ!」

 アナ先生が、興奮しながらヨネンさんに渡されたダンジョン管理端末を操作している。

 完全に騙されてる気がする。
 最初に正規版が、50億マーブルと聞かされた後に、1億2000万ーブルという金額はかなり安い気がするが、そもそも俺達にとって1億2000万マーブルは大金なのだ。

 俺達は完全にヨネンさんの策略に嵌り、金銭感覚が完全に麻痺してしまっているようである。

 俺が頭の中でグルグルと思案をしていると、ヨネンさんが間髪入れずに新たな提案をしてきた。

「それでは、今日は『白虎』も買ってもらいましたので、特別に、1億マーブルに値引きしてしまいましょう!」

「買った!」

 俺達は完全にヨネンさんの手の上で、踊らされているようだ……
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