【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ

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90. 侵入者

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 三日間もの間、徹夜で繰り広げられた お城のお披露目パーティーの片付けも終わり、無駄にデカいベットで、ドロ沼のような深い眠りについていると、突然、
「緊急事態発生!! 緊急事態発生!!」という、iPad型ダンジョン管理端末からの、けたたましい爆音が、城中に鳴り響いた。

「一体、何事なの!」
 アナ先生が飛び起き、枕元に置いてあった愛刀『白虎』を握る。

 俺とビー子とクモも、初めての事態なので、何が起こったのか呑み込めない。

 確か緊急事態が起こると、ダンジョン管理端末から警告音が響き渡ると、ヨネンさんが言っていた気がする。

 俺達は急いで、iPad型ダンジョン管理端末を覗くと、『1階階段フロアー、上級結界が破壊されました!!』と、端末の画面が赤く点滅しながら、映し出されていた。

「上級結界を破壊って……冒険者では無い者が、俺達のダンジョンに侵入したという事ですか?」

「そのようね。冒険者なら誰しも冒険者ブレスレットを持ってるので、『上級結界』を破壊せずとも、階段フロアーには入れる筈ね」と、アナ先生は、冷静に分析する。

「という事は、俺達のダンジョンを狙う敵の仕業と言う事ですか?」

「それも『上級結界』を破壊できるという事は、かなりの手練だという事よ!」
 アナ先生の指摘に、俺とビー子とクモに緊張が走る。

 緊急事態発生!! 緊急事態発生!!

 また、iPad型端末が、けたたましく鳴り響いた。

「大変よ! 次は50階層の『上級結界』が破られたようよ!」と、あまりに早い侵入速度に、アナ先生が焦っている。

「ちょっと、早すぎませんか?
 1階層の階段フロアーが、破壊されてから、まだ10分も経ってませんよ!」

「そうね……」と、アナ先生は短く返答し、考えだす。

 兎に角、ヤバい事は確かだ。
『上級結界』を破壊しながら、最下層に向かってくる奴が、俺達の知り合いとは思えない。

 そして、『上級結界』を破壊できそうな俺達の知り合いと言えば、センコーさん、サンアリさん、ヨネンさんの3人だけだ。
 だが、この3人なら、俺達と普通に連絡をとって、世界樹のダンジョンの最下層にやって来る。

「ビー子が、やっつける!」

「100階層で、迎え撃つクモ!」

 ビー子とクモは、既に臨戦態勢だ。

「駄目よ!」と、アナ先生が、はやるビー子達を引き止める。

「何で?」ビー子が、アナ先生に聞き返す。

「相手は、私達の敵で間違いないわ!
 それも、かなりの強敵よ!
 多分、私達が束にかかっても勝てるかどうか分からないわ!
 それなら、折角ダンジョンを運営してるんだから、利用しないとね!」と、iPad型ダンジョン管理端末を拾い上げ、端末をイジり出した。

 アナ先生は、ピコピコと、各階層のフロアーボスを次々に替えていく。
 ダンジョンの魔素濃度によって置けるフロアーボスの強さが決まっているので、その階層に置ける最強のフロアーボスを配置していくのだ。
 350階層より下の階層には、種族の最上位種のロード級を置けるだけ置いていく。
 それも無理矢理5匹とか、有り得ない数のフロアーボスをボス部屋に詰め込んだりしている。

「アナ先生! 罠もたくさん増やした方が良いんじゃないですか?」

 俺の指摘に、アナ先生は、「そうね!」と、短く返し、落とし穴の罠なども、これでもかという程、配置する。

 3分程弄り倒して、納得したのか、iPad型端末を「良し!」と、机に置いた。
「これだけやれば、ダンジョン攻略速度も落ちる筈よ!」
 アナ先生はたわわな胸を揺らしながら、エッヘンの胸を張る。
 相当、自分の編成したフロアーボスのラインナップに自信があるようだ。

 緊急事態発生!! 緊急事態発生!!

 アナ先生の自信とは裏腹に、無常にも再び、iPad型端末が鳴り響く。
 侵入者が、100階層まで到達したようだ。

「アナ先生! 全く敵の攻略スピードが落ちてませんよ!」と、俺は、アナ先生に向かって叫ぶ。

「エー君、落ち着いて! 私達でも、A級の魔物ぐらい瞬殺でしょ!
 侵入者は、私達より手練だから、300階層ぐらいまでは余裕の筈よ!」と、アナ先生は、冷静に俺を諭す。

「じゃあ何の為に、ダンジョンの改造を?」
 俺はアナ先生に、疑問を投げかける。

「私達と戦う前に、少しでも疲れさせる為に決まってるじゃない!
 300階層に到達したら、流石の侵入者でも、手こずる筈だからね!
 それに、私達はiPad型ダンジョン管理端末を持ってるから、敵の位置が手に取るように分かるのよ!
 敵が疲れて休息を取る時に、攻撃をしかけるのも良いかもしれないわね!」と、アナ先生はiPad型端末を俺達に見せながら演説する。

 確かに敵がいる場所が、iPad型端末を見れば一目で分かる。
 画面に映し出されている魔物を示す赤丸が、次々に消えていくのだ。
 即ち、赤丸の消える場所に、敵がいるという事だ。

 しかし……

 侵入者の攻略スピードが、早すぎる。
 敵は、全く道に迷う素振りも見せない。
 階段フロアーから、フロアーボス部屋に、最短の距離を突き進んでいるのだ。

「アナ先生、本当に大丈夫ですかね?
 やっぱり このスピード、普通じゃないですよ……」

「大丈夫よ! 私達だって、それ程苦労せずに、この世界樹のダンジョンを攻略できたじゃない!」

 アナ先生は、何故か自信満々だ。
 よっぽど、自分が配置したフロアーボスに自信があるのか?

 俺は、嫌な予感しかしないというのに……
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