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42. 盾
しおりを挟むサンアリと今後の話し合いを終えて『ミノ一番』を出た。
次に今日やるべき事として、アンちゃんのメイド服をオーダーしなくてはならない。
メイド服は既成品ではないので、できるだけ早くオーダーしておいた方が良い。
決して俺がメイド好きなどという事は、断じて無いのだ。
「そうだ! アンちゃんのメイド服をオーダーしにいかないといけないな!」
俺はわざとらしく独り言を、皆に聞こえるように大きめな声で呟いた。
「メイド服?」
アンちゃんが怪訝な顔をして、俺の顔を見てくる。
「 ご主人様はメイド服が好きなのニャ!
性奴隷はご主人様を喜ばせるのが仕事ニャ!
例え、ご主人様の性癖が変わっていたとしても我慢するのニャ!」
「ハ…ハイ……僕もある程度は我慢するつもりなので、メイド服くらいなら大丈夫だと思います」
やはり性奴隷にメイド服を着せるのは変だったのか……
ファンタジー世界なら、ギリギリ有りだと思っていたが……
可愛い女の子に、メイド服を着せて萌えるのは、完全に日本限定の文化だったという事か……
まぁいい。
ブリトニーも、性奴隷はご主人様を喜ばせるのが仕事だと言っていた。
アンちゃんは俺の性奴隷なので、遠慮なくメイド服を着てもらう。
僕っ子ロリ少女に、メイド服。
考えただけでも興奮する!
早く着せたい!
姫と、ブリトニーのメイド服をオーダーしている防具屋に急がねば!
自然と足が早くなる。
「ご…ご主人様! お待ち下さいニャ!
なんで急に走り出すんですか!」
ブリトニー達が後ろから叫んでいる。
し…しまった……
アンちゃんのメイド服姿を想像してたら、いてもたってもいられず、無意識に全力疾走してしまっていた……
俺はなんて変態なんだ……
自分でも薄々気が付いていたが、こっちの世界に来てから何でも思い通りに事が運んでしまうので、タカが外れてしまっていたようだ……
忘れていた……
中庸だ。平成を保つのだ。
今回も己の欲望に走りすぎて、完全に変態になってしまっていた……
ヤバイ……皆に白い目で見られる……
保護者として接している姫だけには、変態だと思われたくない……
ご…誤魔化さなければ……
「ぎゅ…牛魔王との戦いに向けてのトレーニングだ!
お前達。 防具屋まで競走だ!」
我ながら完璧な言い訳を思い付いた。
おかしな所は、何も無い筈だ
ーーー
全速力で走り、息も絶え絶えで防具屋に到着した。
「ご主人様が 、ドラクエルのメイド服を早く買いたいという気持ちは理解できますが、我々まで巻き込まないで下さいニャ!」
ブリトニーがハァハァ言いながら、俺に苦情を言う。
バ…バレていたか……
「ブリトニー! マスターは牛魔王を倒す為のトレーニングをしてただけですよ!
決してメイド服が好きな訳ではありません!
マスターに謝りなさい!」
姫が、刺すような殺気を発してブリトニーに注意する。
「うぅ…姫様、マスターごめんなさいなのニャ……」
姫は身内には手を出さなくなったが、それでも殺気はダダ漏れだ……
「サイト君は何故メイド服が好きなの?
メイド服は家事使用人が着る、エプロン付きの仕事着だよね?
そんな物が好きだなんて、変わってるよね」
アンちゃんが不思議そうに訪ねてくる。
「メイド服は男のロマンなんだ!」
俺は強気に答えた。
「奴隷にメイド服を着せるなんて聞いた事ないよ。
メイドは、階級の高い人達のお屋敷で働くので、それなりの教育を受けた人がなるものだけど……
でもその点は問題ないのか……
姫ちゃんは元漆黒の森の本物のお姫様だというし、ブリトニー姉様も元漆黒の森の近衛騎士だったみたいだし。
ん……?
逆にその2人を奴隷にしている、サイト君は何者なの?」
アンちゃんが考え込んでいる。
「マスターがメイド服が好きなら、それを可愛く着こなすのが奴隷の義務なのです!
奴隷の本文は、お仕えしているご主人様を喜ばせる事なのです!」
「そ…そうでした…僕はサイト君の性奴隷になったんでした……
確かに、性奴隷はご主人様の性癖に合わせるのは当然の事でした。
あ…僕がご主人様の事をサイト君って呼ぶのも変ですよね。
これからは、ご主人様と呼ぶようにします!」
「それは駄目だ!
アンちゃんは俺の事をサイト君と呼んでくれ!
俺は17歳でアンちゃんは22歳だ!
アンちゃんがサイト君と呼ぶのは、当然の権利なのだ!」
見た目、歳下のアンちゃんに君付けで呼ばれると何故か興奮するので、これだけはやめてもらっては困る。
「わ…解りました……それより、なんで僕の歳をサイト君が知ってるの?
教えた記憶はないんだけど?」
「それはご主人様が、始まりの魔女のお弟子さんだからニャ!
ご主人様の不思議なとこは全て、始まりの魔女の弟子という事で片付けてしまえば問題ないのね!」
ブリトニーがどんどん適当になっていく……
本当に【魅力】が効いているのか……
こいつは俺とのSEXだけが目当てのように感じる……
そもそもネコ科の獣人なので基本自分のやりたい事だけをする自由人なのだろう……
これだけ俺のいう事を聞いてるだけでも奇跡なのかもな……
防具屋の扉を開けた。
「いらっしゃいませ!
これはこれはゴトウ様! メイド服は後2日程お待ち下さいませ!」
店の扉を開けるとスグに店の店主が俺の顔を見て挨拶してきた。
「早いな。 まだ1週間も経ってないぞ!」
「ハイ。 たまたま良質な女郎蜘蛛の糸がスグに手に入りましたので、納期を縮めて制作しております。
それで、今日はどういったご要件で?」
「また、メイド服のオーダーをお願いしたいのだが!」
「そちらの方ですか?」
店主がアンちゃんを見て聞いてきた。
「そうだ!」
「そちらの方の背の高さなら、今回余った生地でスグに制作できますので、まとめて2日後には完成いたしますよ!」
「そうか! そうか!
そいつは良かった! 早いに越したことはない! スグに制作に取りかかってくれ!」
「それでは採寸しますので、お嬢ちゃん はこっちに来てね!」
アンちゃんは完全にお子様だと思われてるようだ……
「失礼ですけど、僕は22歳のれっきとした大人ですから!
ドワーフ族だから、少し背が低いだけです!」
アンちゃんがプンプンしている。
「す…すみません… ドワーフ族の方だったのですか……
ついついゴトウ様は幼女がお好きだと思っていましたので、勘違い致しておりました」
オイオイ! 防具屋のおっちゃん、それは俺に対して失礼だと思うぞ……
しかし姫や、ロリっ子のアンちゃんを連れ回していたら、そう思われて当然か……
アンちゃんの採寸の間、店の中をぐるりと見て回った。
アンちゃんの職業は盾戦士だった筈だけど、そういえば盾持ってなかったな。
そもそも
盾戦士ってなんだ?
「ブリトニー! 盾戦士って知ってるか?」
「前衛職ニャ!
実際 見た事ないですけど大きな盾を持って、ひたすら防御し続けるだけの奇特な職業ニャ!」
ブリトニーにとって盾戦士は、奇特な人がやる職業かもしれないが、戦闘の時はパーティーを守る重要な職業だ。
そもそもブリトニーは、攻撃は避《よ》けるものだと思っていそうなので、盾職の重要性をまるで分かっていない。
ブリトニーの後ろにいたら、ブリトニーが避けた攻撃がそのまま飛んで来て、ダメージを受けてしまう。
これからは、ブリトニーの後ろではなくアンちゃんの後ろに立とう。
見た目が華奢な女の子に守って貰うのは、情けない気もするのだが、俺はアンちゃんに守って貰いたのだ!
ロリっ子アンちゃんが大きな盾を持って俺を一生懸命守る。
いい! 凄くいい! 懸命に敵の攻撃を防御するアンちゃん。 萌える。萌えるぞー!
よし! 決めた!
アンちゃんにゴツくて、大きな盾を買ってあげよう!
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