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160. ヨネン·ドラクエル
しおりを挟む「それでは、改めて施設の説明をするワン!
ペントハウス内は後から勝手に見れば良いワン!
先ず、3階『シルバーウルフ』本拠地だワン!」
ブリジアはそう言うと、屋上ペントハウスビーチ前の巨大リビングにある階段を降りる。
階段を降りると10畳程の空間が広がり、大きな扉がある。
「ここまでが、妾のプライベートルームだワン!
ここを出ると、『シルバーウルフ』本拠地、兼、ウルフデパート従業員の寮になっているワン!
ここからは、ウルフデパートCEOとして振る舞うので、ご主人様勘弁して下さいワン!」
ブリジアは、そう言うとナイスバディのエロそうな狼耳族に変身した。
勿論、裸ではない。
日本の着物のような物を羽織っている。
よく外国人が、映画で寝巻に着ているようなエロそうな着物だ。
流石に、超有名デパートのCEOとしては、裸の幼女姿では不味いらしい。
扉を開けて中に入る。
冒険者と見られる者は、全員モフウフにいる為、見当たらないが、ウルフデパートの従業員らしい者は何人か見られる。
「この部屋を『犬の尻尾』のムササビ本部にすれば良かろう!」
CEOとしての言葉使いに変わったブリジアが扉を開けると、200畳程の広大な何も無い空間が現れた。
「結構広いな」
「この部屋で狭いのなら、いつでも言ってくれ!
まだまだ部屋はたくさんあるのでな!」
さっきまで、ワンワン言っていた裸の幼女が、完全に貫禄のあるエロCEOになってしまった。
そのギャップに少しだけ萌える。
「ああ、そうさせてもらう」
「それでは、ウルフデパートを見て回るとしよう。
1階は、高級店とカフェのフロアーになっている。
2階は、庶民的な人気店とお食事所じゃな!
先ずは1階からじゃ!」
ブリジアは、エレベーターのような物の前に案内する。
「これは魔女様の世界に実際にあった、エレベーターという乗り物じゃ!
魔女様の世界では、電気という動力で動いていたと聞いておったのじゃが、この世界には電気はないので代わりに魔力で動いておる」
見た目は、ブリジアが言うようにエレベーターだが、俺の知っている鉄の扉の、日本によくあるようなエレベーターではない。
よく古い外国の映画に出てくる、木製の豪華だが洗練された装飾がされたエレベーターだ。
様式はよく分からないが、前の世界でいうと、多分ゴシック様式というのだろう。
豪華なのに派手過ぎないのだ。
まさに、高級店に相応しい趣きのエレベーターだ。
エレベーターで1階に降りると、従業員が仕事をしているフロアーに降りてきた。
エレベーターからブリジアが現れたのを従業員が見つけると、全員立ち上がり、「社長、おはようございます!」と、直立不動で挨拶をする。
「うむ。おはよう。妾の事は気にせず仕事を続けよ」
ブリジアが、威厳のある声でそう言うと、従業員達は一礼してから、何事も無かったように淡々と仕事に戻る。
良く教育されている。
流石は、超一流デパートといったところか。
この従業員の挨拶を見ただけで、お客への接客態度も分かるというものだ。
従業員のフロアーを抜けて、従業員出入口と思われる扉を出ると、エレベーターと同じよようなゴシック様式なイ○ン·モールが現れた。
イ○ン·モールの豪華バージョンだ。
イ○ン·モールのように吹き抜けになっており解放感がある。
客は、イ○ンとは違い、7割が冒険者なのだが……
暫く歩くと、一際賑わっている店を発見する。
3店舗分をぶち抜いた広い敷地に、凝った内装。
どうやら、武器、防具、魔道具、雑貨の総合店舗のようだ。
「あの店は、凄いな!
よっぽどの有名店なんだろうな」
「あの店の事なら、妾よりアン殿の方が詳しいと思うぞ!」
ブリジアが、アンちゃんの方を向く。
アンちゃんの顔を見ると、何やらバツの悪そうな顔をしている。
「取り敢えず、入ってみるか!」
「エッ、エッ、ここに入るんですか?
きょ…今日じゃなくても、僕がいない時に……」
何やらアンちゃんがとても慌てているが、俺はそのまま店の中に入って行く。
「いらっしゃいませ!」
店舗に入ると、ドワーフ族のような少し小さめの女性が、挨拶してきた。
「エッ! ひ……姫様?!」
ドワーフ族の女性は、アンちゃんを見て驚きの表情を浮かべている。
どうやら、この店はドワーフのお店らしい。
女性の声を聞いて、働いているドワーフ達がざわめいているが、皆、接客中の為、アンちゃんの事を気にしながらも、そのまま仕事を続けている。
「はぁー……だから、ここに来るのはヤダったんです。
白状します。
このお店は父の店。
というか、ドワーフ王国直営のお店です。
ドワーフ王国は、現在、ブリジアさんの『ウルフデパート』と組んで、直営店を『ウルフデパート』全店で出店してるんです。
一応、世界一の武器職人である父に、オーダーメイドで武器を頼む事ができる場所は、ウルフデパートの直営店か、ドワーフ王国にある本店のみになっています」
「と、言うわけじゃ。
アン殿のお父様のドラクエル殿には、感謝しておる。
『ウルフデパート』が、超一流と言われる所以は、ドワーフ王国直営店が出店していて、尚且つ、ドワーフ王国以外の場所で、唯一ドラクエル殿が、オーダーメイドを受け付ける場所だからじゃ」
そうこう話していると、奥から責任者と思われる12、3歳にしか見えない男の子が出てきた。
どう見ても子供なのだが、どこか威厳があり、この店の責任者という事が一目でわかるのだ。
その威厳のある男の子が、俺の前に立ち挨拶をしてきた。
「お初にお目にかかります。ゴトウ·サイト様。
私はこのお店の支配人を任されております、ヨネン·ドラクエルと申します。
ゴトウ·サイト様の元で、お世話になっているアン·ドラクエルの実の弟でございます」
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