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185. 全滅
しおりを挟む暫くの間、階段フロアーの扉の前で、戦いが続いたが、ミカサの魔素が切れるのをキッカケに、呆気なく『三日月旅団』は全滅してしまった。
どこからともなく、メリル達姫付きメイド達がやってきて、『三日月旅団』の死体を階段フロアーに運んできた。
「この娘達の方が、『三日月旅団』のメンバーよりかなり実力が上のようね」
シャンティーさんが、感心したようにメリル達を見渡す。
無理もない、メリルが闘気を発しただけで、魔物達は萎縮し逃げ出してしまい、そして悠々と、何事もないように、『三日月旅団』の死体を階段フロアーに運んできたのだ。
姫付きのメイド、その名も『メイドさん』が、『三日月旅団』の死体に、姫印のポーションを振りかける。
この姫印のポーションは現在、姫の魔素を使って、メイドさんのお乳から作り出されているらしい。
実はそれにも理由があり、最初は姫が自ら、よく怪我をして戻ってくるヤナトやスイセイ達の為にポーションを作っていたのだが、姫のポーションは激苦だったのだ。
効き目は凄いが、味がヤバ過ぎるのだ。
しかし、姫は気が付いた。
メイドさんは姫に、美味しいイチゴオレを毎日、オッパイから生み出し吸わせてくれる。
姫印のポーションをメイドさんのオッパイから作ったら、皆が飲みやすいポーションになるのではと。
早速、メイドさんに命じてポーションを作らせると、ミルク味の美味しいポーションが出来上がった。
ヤナト達に飲ませても、効き目は前のポーションと変わらないようだったのだ。
現在は、ミルキー味、イチゴオレ味、ミックスオレ味の3種類があり、アジトのダンジョンで1つ3万マーブルで売り出しているとゴキ男爵が言っていた。
少し脱線してしまったが、姫印のポーションをかけられた『三日月旅団』のメンバー達は、スグに生き返った。
「アンタ達の実力は、見させてもらったわ!
と、言っても予想通りだけど。
シローが言ってたように、アンタ達は魔法の火力に頼りすぎね!
今のままなら、発見された未攻略ダンジョンには連れていけないわ!
ただ、足でまといになるだけだからね!
先ず、連携より先に、個人のレベルアップね!」
『三日月旅団』のメンバーは余程ショックだったのか、しょんぼりしている。
「まあ、私に任せて貰えば、これくらいどうって事がないので良いとして、
そんな事より、そのポーションの方が大問題よ!
そのポーション、完全にエリスのポーションと被っているわ!
と、いうかパクリよね!」
シャンティーさんは、プンプンである。
無理もない。
今まで独占してきた最高級ポーション市場に、新しく姫印のポーションが、ライバル製品として参入してきたのだ。
すかさず、メリルがシャンティーさんに歩み寄る。
「シャンティー様、申し訳ございません。
この姫様印のポーションは、モフウフでのみ販売しており、他の場所で販売する気は全くございませんので、どうか御容赦願います。
それからこれは、我々ゴトウ族からの気持ちで御座います。
どうか、お受け取り下さいませ」
メリルはそう言うと、用意していた重そうな袋をシャンティーに渡す。
シャンティーは袋の中身を確認する。
「エッ!!
うわぁぁあぁぁぁ!! 凄い!
いっ……1億マーブルはあるんじゃないの?!
えぇ……と……
ウン…… まあ、ポーションの件は、モフウフで販売するだけなら問題ないかな!」
シャンティーは、コロッと態度を変え、姫印のポーションの件は不問とした。
「それじゃあ、一応、アンタ達も挑戦してみる?」
シャンティーは話を変えたかったのか、俺達に、あの無慈悲な攻撃が永遠に続けられるダンジョンの挑戦を提案する。
俺には無理だ。
何故なら、俺は『三日月旅団』の誰と戦ったとしても勝てる気がしない。
そんな俺が、ダンジョンに挑戦しても速攻で殺られるのは目に見えている。
『三日月旅団』は先程、呆気なくダンジョンで全滅してしまったが、それでも今まで見てきたパーティーの中で、群を抜いて強かったのだ。
「やっと私達の出番なのニャ!
物凄く退屈だったのニャ!」
「シャンティーさん! エリスさん!
僕の成長を見ていて下さいね!」
ブリトニーとアンちゃんは、何故かヤル気満々だ。
「そうと決まれば、スグに始めていいわよ!
『三日月旅団』も『犬の尻尾』の後について行きなさい!」
「エッ! わ……私達も、またアソコに戻るんですか?」
ミカサ達は、小刻みに震えている。
無理もない。
たった5分前に、ダンジョンで死んだばかりなのだ。
普通、この世界で、死んだ人間が生き返る事などない。
死の恐怖を味わったばかりの人間が、再び、死地に乗り込むなんてできる筈がないのだ。
「心配する事はないわ!
アンタ達には、エリスや私にかかっている精霊の加護を特別に付けてあげるわ!
さっきのレベルの魔物の攻撃なんて、私達に傷を付ける事さえできないから!
エリス! それじゃあ、お願いね!」
「シャンティーちゃん! 了解!
それじゃあ、行くわよ!
精霊さん達、『三日月旅団』さん達にも加護を与えてね!」
エリスが、呪文を唱えたと言うか、普通に精霊にしてもらいたい事を喋った。
『三日月旅団』のメンバーが、一瞬光に包まれた。
「精霊の加護は、無事に済んだようね!
それでは行くわよ!!」
ブリトニーとペロが、シャンティーの合図と同時に、階段フロアーの扉を開け放ち、どう考えても有り得ないような魔物の巣窟となっているダンジョンに向かって、勢い良く飛び出して行ったのだった。
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