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268. 肝心な所
しおりを挟む「メイドさん! ありがとうなのです!」
「姫様、こちらこそありがとうございました」
姫がメイドさんに頭を下げると、何故か、お乳を与えていた側のメイドさんも、姫に頭を下げる。
多分メイドさん的には、逆にご褒美を貰った感じなのだろう。
どう見てもメイドさんは、姫に3回はイカされていた。
流石は3歳児にして、【必ずイカせる】スキル持ちの姫である。
お乳を吸うだけで、短時間に3度もイカせてしまう3歳児など、姫以外には何処にも存在しないだろう。
「姫様の召喚作業が終わったようですね!
それでは、これからの作戦の概要を説明いたします!」
サンアリが、タイミングを見計らって話に入ってきた。
「今から、ゴトウ様と姫様方には中央戦線に向かってもらいます。
既にガルム達、第1陣2万人は中央戦線に到着したと連絡が入っております。
そこで、まずはゴトウ様にガルム達第1陣を覆うように【聖級結界】を張ってもらいます!
敵は、全員空を飛べるデーモンなので、正直第1陣の歩兵部隊は、空からの攻撃の的になってしまうだけですからね。
なので【聖級結界】の中から悪魔達を弓や攻撃魔法で撃ち落とす役目となります!」
「オイ……
そんなんで、北の大魔王軍50万人の悪魔軍団に勝てるのかよ?」
「正直、まともに正面から戦っては勝てませんね!
我等、新漆黒の森軍は【聖級結界】をフルに使った長期戦に持ち込むつもりです!
何せ相手は空まで飛べる50万人の爵位持ちの悪魔軍団、こちらは2万人の歩兵と、300人の爵位持ちのデーモン部隊、20倍もの戦力差があるのです!」
「ゾッとするのニャ……」
流石にブリトニーも青ざめる。
「作戦としては、相手の標的である姫様は【聖級結界】の中に居てもらい、敵に攻撃魔法を放ったり、味方の回復作業をしてもらう事になります。
そして姫様が召喚した不死のデーモン軍団とブリトニー様や大吉様のような空を駆ける事のできる者達が、【聖級結界】の外にいる悪魔軍団を少しずつ殲滅していくのが、おおまかな作戦であります!」
「気の遠くなるような作戦だな……
しかし、作戦としては悪くない。
俺達は【聖級結界】に守られ、死んでも復活する姫が召喚したデーモン達がいるのだ、少しずつでも敵を倒し続ければ必ず勝てる筈だ!」
「でもそんなに簡単にいくのかな?
【聖級結界】が絶対に破れないと知っていて、そもそも敵が攻めてくるの?」
アンちゃんがサンアリに、疑問を投げかける。
「アマイモン様が言うには、【聖級結界】は爵位持ちの悪魔100人による集団巨大魔法なら3メートル程の穴を開ける事は可能だと仰っておりました。
勿論、5分程で【聖級結界】は修復されるようですが。
なので北の大魔王軍は、集団巨大魔法を連発して攻めて来るだろうと、アマイモン様は仰っておりました」
「それはかなりヤバいだろ!
連続して撃たれて、悪魔達が【聖級結界】の中になだれ込んできたらひとたまりもないだろ!」
「そうでございますね!
なので【聖級結界】の外で戦ってもらうブリトニー様や大吉様、それからハラ様とペロ様、300人のデーモン部隊は、集団巨大魔法のリジェクト任務を遂行してもらう事になります!」
「たった300人で、巨大魔法を展開している敵の懐に特攻しないといけニャいの?
サンアリは私に死ねと言っているのかニャ?」
ブリトニーはプルプルと小刻みに震えながら、サンアリを鋭い目付きで睨みつける。
「その為に、姫様にわざわざアジトにいるデーモン達を召喚して貰ったのです!
死んでもアジトに戻るだけで済むデーモン達には、死ぬ気で特攻してもらいます!
ブリトニー様は、流石に体が吹き飛ぶ程の攻撃を受けてしまったら死んでしまいますので、危なくなったら直ぐに【聖級結界】に戻って来てもらっても構いませんから」
「サンアリさん! 僕の仕事は何をすればいいの?
僕は空を飛べないから、【聖級結界】の中で、戦況を見守っていればいいのかな?」
アンちゃんがサンアリに、自分の役目を確認する。
「勿論、アン様にも役目はを御用意しております!
アン様には【聖級結界】の上で待機してもらい、飛んで来た集団巨大魔法を大盾で弾いてもらいます!」
サンアリが真面目な顔をして、滅茶苦茶な事を言った。
「そんなの無理だよ!
【聖級結界】をも破る集団巨大魔法なんでしょ!」
アンちゃんが当惑な表情を浮かべて、首を横にブンブン振る。
「大丈夫でございますよ!
牛魔王様と牛田さんを付けますので、3人で力を合わせて集団巨大魔法を弾いて下さいませ!」
「3人だから大丈夫だと言う話じゃないと思うんだけど!」
「アン様なら大丈夫でございます!」
サンアリが、自身満々に言い切った。
アンちゃんはサンアリに呆れて、諦めの表情だ。
「それで、俺は何をするんだ?」
一応、俺もサンアリに役割を聞いてみる。
「ゴトウ様は、総大将なので【聖級結界】の中でドッシリと、構えて下さいませ!」
その答えは、俺が何にも役に立たないと、暗に言っているような気がするのだが……
俺の今までの修行は、一体なんだったんだ。
どうせ、何もしなくても良かったんだったら、あんな常軌を逸した修行などしなくて良かったのではないのか……
「マスターは秘密兵器なのです!
必ず、最後の肝心な時に出番が回ってくる筈なのです!」
姫が俺の心を読んで、必死に慰めてくれた。
こんな役立たずの俺を慰めてくれるなんて、姫はなんて良い子に育ったんだ。
俺の教育は間違っていなかったぞ!
「まあ、作戦としてはこんな感じでございますね。
敵の数を減らす事に成功して、ベルフェゴールが満を持して出陣してきたら、最後は姫様にベルフェゴールにトドメを刺してもらう段取りになっております!
アマイモン様が仰るには、ベルフェゴールは聖剣である草薙の剣か、エクスカリバーでしか倒せないとの事ですので!」
どうやら最後の肝心な所も、俺に出番は回って来ないようだった。
応援ありがとうございます!
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