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ダンジョン編
41. キャンプ飯
しおりを挟む俺は食事の準備に取り掛かる。
ちょっと、ヤル気が漲っている。
俺はこんな日もあると思って、キャンプ用品を自作していたのだ。
俺がこの世界に転生される前の日本は、コ〇〇禍で、外食が控えられ、空前のキャンプブームが起きていた。
そんなキャンプブームに、俺もドップリ浸かっていたのだ。
まあ、ドップリ浸かっていたと言っても、家族もいないし友達もいないから、勿論、ソロキャンプなんだけど。
しかも、ヒッキーで、外に出るのも怖かったから、キャンプ道具はAmaz〇nで全て揃え、勿論、お家キャンプしかしていない。
そう、俺は、仲間とお外でキャンプするのに憧れていたのである。
まあ、ダンジョンの中でお外かというと語弊があるが、兎に角、俺は自分の部屋の中ではないキャンプは、初めての経験なのだ。
なので、映えるキャンプギアを気合い入れて作ってきていたのである。
まずは、イワ〇ニのジュニアコンパクトガスバーナー。
これは、俺が日本で住んでた頃も使っていたので、完璧に再現できた。
何せ、俺がやってたのは部屋キャン。
部屋の中で焚き火をする訳にはいかないしね。
そして、またまたイワ〇ニのタフ〇。
これも日本でも使っていた、お部屋キャンプでも映える人気商品。
このバーナー2つ使いで、俺は今からキャンプ飯を作るのだ。
でもって、座る椅子もちゃんと用意してるよ。
ヘリノッ〇スのチェアー。これは、お高くて日本時代は手が出なかったが、Amaz〇nで、しっかり商品をチェックしてたので、細部までに完全にコピーして作れてる自信がある。
兎に角、映える日本のキャンプギアを、これでもかと再現して作ったのである。
俺、金なくて、キャンプギアあまり買え無かったけど、基本ヒッキーだから、ネットだけはよく見てたんだよね!
しかもオタクだから、商品説明も隅々まで見て暗記してたので、完璧に細部まで再現できちゃうのだ!
日本の安アパートの部屋で、一人寂しく部屋キャンプとしてた時には考えられなかった映え具合。SNSにアップしてーー!!
まあ、それは置いといて、料理を作らなければ。お腹を空かせた女の子達を待たせる訳にはいかないのだ。
一国の姫様のお腹なんか鳴らせてしまったら、切腹ものの大罪になってしまうかも知れないし。
俺は、カセットボンベならぬ、魔力ボンベを、イワ〇ニのバーナーに取り付ける。
フフフフフ。これぞ、焚き火をしない俺の新兵器。
俺は、部屋キャンしかした事ないので、完全ガスバーナー派なのだ。
部屋で焚き火なんかやったら通報されて、部屋を追い出されちゃうからね!
兎に角、俺は、この魔力ボンベとガスバーナーを作りながら、この世界で普通に売れるかもと思ったりしてる。
勿論、この世界にも魔道具はある。魔物からドロップした魔核を嵌め込んで使うんだけど、そのドロップした魔核の大きさは様々で、買った魔道具に大き過ぎたり、小さ過ぎたりして上手くハマらない事が多々あるのだ。
そんな時、俺の魔力ボンベ。
完全に規格化されてるので、魔核のようにハマらない事など、絶対に無いのだ。
しかも、俺ってクラフト系の職業は、大体取ってるので、1個作るのも10秒程度。
しかも、鱗粉から魔力が無限に出てくるので、魔力もタダ。
こんなの絶対に売れるでしょ!
イワ〇ニのガスバーナーは、小さくなって持ち運び便利だし、魔力ボンベも軽い。
荷物を少なくしたい冒険者に、もってこいだよね!!
因みに、今回の遠征で使い勝手を試してから売り出す準備もしてたりする。
【この魔道具は、凄いですね。誰でも簡単に火を起こす事が出来るのですね。
しかも、火加減も調整出来るなんて!】
セリカが、滅茶苦茶驚いている。
確かに、焚き火じゃ火加減の調整は難しい。
成程。火加減の調整も自在に出来るのも、アピールポイントになるのか!
元日本人の俺には、当たり前過ぎて気付かなかった発想だ。
やはり、最初に自分達で使ってみて正解だった。
俺は、セリカ姫やマリンに、キャンプギアの使い勝手を確認しつつ、超絶旨い映えキャンプ飯を作ってやった。
【な……何ですか! この、オシャレな野営ご飯は!】
流石のセリカ姫も驚いている。
俺は、職業料理人もカンストしてるので、飯が旨いのは当たり前。
それに、映えまで加えたら、初めて見た人は、そりゃあ感動しちゃうでしょ!
本当に、SNSに投稿してーー!!
俺って、結構、日本時代、1人で映えるキャンプ飯作ってたんだけど、フォロワー1人も居なかったから見てくれる人も居なかったんだよね……
俺も、本当は目立ちたかったんだけど、目立つのはオタクの俺には無理だったのだ。
俺って、コミケとか行ってウッヒャー!!してる活動的なオタクじゃなくて、本当に、上手く人間関係が築けない真性オタクの引き籠もりだったから、目立つのは本当に無理だったのだ。
せめて、見た目が格好良かったら、外に出れたかもしれないけど、小太りなオッサンだったし、どう考えても無理!!
俺に出来る事と言ったら、生きる為、生活の為に仕事に行って、後の時間は家に引き篭る事だけ。
金持ちだったら、絶対に、仕事にも行ってないからね!人混み苦手だから、電車に乗るのだって怖いんだから!!
コンビニでも、人がたくさんレジに並んでたら、諦めるレベルだったんだから!!
ついでに言うと、床屋も怖いし、歯医者も怖い。
知らない人に近付かれると、本当にドキドキして緊張するんだから!!
ん?なのに今は、セリカ姫やマリンの胸の谷間に密着してても平気じゃないのかって?
人の気も知らないで……俺は克服するのに、この世界に来てから100年も掛かったの!!
勝手にストーカーしてくるシロとかと、たくさん話をして、会話に慣れ、それでも、森の外に出るのは怖くて、ずっと、外に出る切っ掛けを待ってたんだから。
正直、森を守ってた元四天王のドラゴンを倒したのだって、森に人間が入って来やすくする為の、1つの理由だったりするし……
兎に角、俺はヒッキーを卒業したかったのだ。
強くなって、自信も出てきて、そして、転生して可愛らしい容姿を得て、チャンスだと思ったのだ。
この、森の精霊さんの可愛らしい容姿なら、誰にでも受け入れられると……
そして、セリカ姫が来てくれた。
外の世界が怖くて、森に引き籠もってた俺を助け出してくれたのだ。
なので、俺はセリカ姫の為に、何だってしてあげる。一緒にお風呂に入ったり、体を隅々まで綺麗に洗ってあげたり、グフフフフ。(森の精霊さんの得な事しかない)
兎に角、俺は、セリカ姫が喜んでくれるのがとても嬉しいのだ。
ーーー
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
森の精霊さんは、1人寂しい部屋キャンが趣味だったようですね!
ドンマイ! だけど今は、セリカ姫やマリンが居るからボッチではないからね!
面白かったら、復活の呪文【お気に入り】を、押してくれると嬉しく思います。
応援ありがとうございます!
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