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第一章 ヨナン・グラスホッパー編
28. カナワン伯爵
しおりを挟むカナワン城塞都市の城主の館。カナワン伯爵の執務室。
「伯爵様、今戻りました」
先程、ヨナン達をつけていた2人組のうちの1人が、執務室のテーブルに座って書類を読んでいたカナワン伯爵に話し掛ける。
カナワン伯爵は50歳くらい。白髪混じりのロマンスグレーの髪をオールバックにした、威厳のある男である。
「で、どうだった?」
「報告通り、やはり、グラスホッパー騎士爵の子息の子供達で間違いありませんでした」
「ふむ。やはり、そうだったか」
カナワン伯爵は、やっぱりなと頷く。
「そして、カララム王国学園に所属してる、他の兄弟姉妹同様、巨大な戦闘力を擁していると思われます。ただ、1人の少年を除いて」
「ん?どういう事だ? みんなグラスホッパー騎士爵の戦闘スキルを受け継いでるのではないのか?」
「ハイ。ただ1人、グラスホッパー騎士爵の実子じゃない養子の少年が居るのです」
「そうなのか?」
「そうです!」
カナワン伯爵の使いの男は、眼力強くカナワン伯爵に進言する。
「なんか、圧が凄いな……どうやら、お前は、その養子の少年が気になってるという事だな?」
カナワン伯爵は圧を感じまくり、その少年についての話を振る。
「ハイ。その少年は、なんと13歳の少年であるというのに、私共大人2人と渡り合って、堂々と交渉してきたのでございます」
「カナワン伯爵家の敏腕家宰のお前と対等に渡り合って、話し合ったというのか?」
「そうです! しかも、その少年は鑑定スキルLv.3を擁しておりました!」
「何だと! 鑑定スキルLv.2が実在してるかも分かってないのに、それを越える鑑定スキルLv.3だと!」
カナワン伯爵は、相当驚いている。
決して、鑑定スキルが、ハズレスキルなどとは侮っていない。
「ハイ。現在、鑑定スキルも使っていけば、知れる範囲が多くなってくるという事が分かってます。
例えば、私が持ってる鑑定スキルは、現在+5にまでに育っております。
鑑定スキル+5になると、人の名前以外にその人物が持ってる所持スキルなどが分かりますが、鑑定スキルLv.3ともなると、どこまで情報が開示されるのやら……」
「その鑑定スキルLv.3を持ってたから、我がカナワン伯爵家最高の頭脳であるお前と、その少年は渡り合えたと?」
「ハイ。どうやら、トップバリュー男爵家の悪事を見抜いてるようでしたし、とてもトップバリュー男爵家を敵視していました」
「そこまでの少年なのか?」
カナワン伯爵は、驚愕している。
「ハイ。じゃなければ、不毛である筈のグラスホッパー家が、公爵芋なるとても甘い芋を品種改良など出来よう筈がありません!
あれは、完全に、鑑定スキルLv.3の知識でのみ成し遂げられる快挙でありましょう!」
カナワン伯爵家最高の頭脳と言われている、カナワン伯爵の実の弟、オビ・カナワンは知らなかった。
公爵芋は、全く鑑定スキルLv.3と関係無い事を。
どっちかというと大工スキルを持ってたから、大森林を開拓できた訳で、鑑定スキルも、男爵芋を20等分にして種芋に出来るか悩んでたレベルである事を。
ヨナンと鑑定スキルLv.3を、過大評価してしまっている、オビワンこと、オビ・カナワンには、決して分からない事であった。
「そうか。それでは是非、グラスホッパー騎士爵家を、是非、我々の陣営に招き入れなければならないな!
グラスホッパー騎士爵家の強力な戦力もそうだが、その鑑定スキルLv.3を持つ少年が、我々の陣営に入ってくれたならば、強力な頭脳までも手に入るという事だからな!」
そして、カナワン伯爵家、最高の頭脳であるオビワンの実の兄、カナワン伯爵家領主イト・カナワンも、同じく、過大にヨナンを評価する1人になっていたとは、鼻糞をほじりながら馬車を操り、グラスホッパー領に帰る途中の今のヨナンには、全く預かり知らぬ事だったのだ。
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