大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ

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第一章 ヨナン・グラスホッパー編

158. ハツカ・ナナ・グラスホッパーの邂逅

 
 ハツカ・ナナ・グラスホッパーは、野営訓練2日目から、攻勢に出て、他の班の生徒を斬りまくっている。

 お義父さんが見て下さってる。持てる力を出し切って頑張らなければ!

 そう。ハツカ・ナナ・グラスホッパーは、ヨナンが上空から、ずっとナナを見守ってる事を、木刀を持って土木スキルが発動してから、直ぐに気付いて居たのである。

「カイ君! お義父さんが見てくれてる!
 ちょっとペースを上げるから、なんとか付いて来てね!」

「何ですと! ヨナンさんが見てる!そしたら、ホーク男爵家の為に、死ぬ気で頑張らなければ!」

 何故か、カイ・ホークにも火がついた。
 カイ・ホークもまた、父親であるホーク男爵に、ヨナン・グラスホッパーの信用を得て、腹心になれと言われているのだ。

 それに、姉アイ・ホークから、実は、ハツカ・ナナ・グラスホッパーが、ヨナン・グラスホッパーの実の妹だと、内緒で知らされている。

 即ち、ハツカ・ナナ・グラスホッパーを助ける事こそが、ヨナン・グラスホッパーへのアピールに繋がるのだ。
 なにせ、姉の話では、ヨナン・グラスホッパーは、実の妹であるハツカ・ナナ・グラスホッパーを溺愛してるという話なので。

 そんな事情もあり、カイ・ホークも益々、この野営訓練に熱が入ってしまったのだ。

「サクラちゃん! 次の敵はどこに居るの!」

 ハツカは、幽体離脱して、ずっと、ハツカの頭上に浮いてるサクラ・ラグーンに向かって、大きな声で確認する。
 その時、その遥か上空で、猛スピードで移動しながら、ニコニコした顔をして、ずっと、ハツカを見守ってくれてるヨナンを確認しちゃうのだ。

「ナナちゃんから見て、右側200メートル先に居るわ!」

 すぐさま、サクラが教えてくれる。

「カイ君!」

「ラジャー!」

 すぐさま、カイ・ホークが、鷹の目Lv.3で、敵をロックオンする。

 カイ・ホークの鷹の目Lv.3は、目の前に遮蔽物があったとしても何も問題無い。
 そこに敵が居ると分かってたら、確実に見る事が出来るし、一度、ロックオンしてしまえば、絶対に敵を見失う事など無くなるのだ。

 ハツカとカイは、サクラの指示を受けながら、次々に敵を殲滅して行く。

 ハッキリ言うと、土木スキルを持つハツカと、ヨナンが大森林の木から製作した木刀を持つカイに敵う敵などいないのだ。

「お義父さん! 私の活躍見ててね!偉大なるお義父さんの養女として、恥ずかしくない活躍をしてみせるんだから!」

 ハツカの言葉に呼応するように、カイもサクラも頑張るのであった。
 何故なら、2人も、ハツカの事が大好きだから。

 サクラとカイは、利発で、性格が良く、誰に対しても分け隔てなく接するハツカに、自然に心惹かれてしまってたのであった。

 そして2人は、ヨナンが、ハツカの実の兄だと知ってるので、余計にハツカの為に、一肌脱ごうと思ってるのだ。

「ハツカちゃんの為!」

「ハツカさんを助ける事が、即ち、ホーク男爵家と、僕の出世の為!」

 まあ、カイだけは、少し邪念が入ってるのだけど。

 そんな事情もあり、ナナ班は休む事なく、敵を殲滅し続け、野営訓練に参加してる全ての班と生徒を殲滅させてしまったのであった。

「見てくれました!お義父さん! 私、お義父さんの為に頑張りましたよ!」

 ハツカ・ナナ・グラスホッパーは、上空に居ると思われるサクラ・ラグーンに話し掛けるフリをして空を見上げ、小声でヨナンに、自分が、ヨナンの為に頑張った事を伝えるのだ。

 そして、泣きながら、喜んでるヨナンの姿を確認したハツカは、ヨナンに喜んで貰えてると安堵して、とても嬉しい気分になるのだった。

「私、お義父さんの為に、頑張れた」

「ハツカちゃん!ミッションコンプリートだね!」

「ハツカさん。僕も、ヨナンさんにアピール出来たかな?」

 幽体離脱中なのに、何故か声を発する事が出来るサクラと、いつも言動に邪念が混じるカイが、ハツカに話し掛けてくる。

「ウン!コンプリート! そして、お義父さんにも、カイ君の活躍をアピール出来たと思うよ!」

 ハツカは、ニッコリ笑い、お互いの健闘を称え合う。
 そして、もう一度、幽体離脱中のサクラを見るフリをして、空を見上げるのだ。

 何故か、懐かしい感じがする、とても優しい人。
 いつも、自分を見守ってくれる、心暖かい人。

 ハツカ・ナナ・グラスホッパーは、養父ヨナン・グラスホッパーが、とても、とても大好きなのだ。
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