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14.地仙、疾駆する
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洞天と外界は別世界であり、当然季節等もまったく違う。
時折、様子を見に行かないと、見誤るのである。とは言うものの、本来なら夏が終わり、初秋というくらいの筈。だったが。
「お~、吹雪いてる。」
「何を暢気な!コルノ、ほら、こっちに来なさい。」
住処の洞窟から出てみたら、一面銀世界…所か、猛吹雪である。
早くも半分雪に埋もれている蛇乱から、コルノを奪いとって、稀華は自分の周りを初夏の風で包む。
天仙である稀華と風は、非常に近しい。地仙の蛇乱が術でも何でもなく地を従える様に、稀華は風を従えているのだ。
「シュ…」
如何にコルノがただの蛇でないとは言え、寒さに対する耐性は未だ仙人に遠く及ばない。雪に埋まりながら、平然と突っ立ったままの蛇乱にくっついていたら、良くて冬眠である。
「ちょっと冷気が強すぎるな。」
「そうね。不自然な風があるわ。」
春夏秋冬吹く風は、風精そのものでもある。この辺りに吹き荒れる風に所々、風精の居ないものが混じっているのを、稀華は感じていた。
「女神…じゃねぇな。早すぎる。」
礎の間に再び忍び込んだ女神共は、陽と月の午精コンビに叩き潰されて、暫くは回復出来ない筈だ。
「空を見てくるわ。」
「任せた…と、コレ持って行ってくれ。」
ポンと投げ渡されたのは、半分の貝殻。
「夫婦貝じゃない。」
「何かあったら、互いに連絡な。」
この宝貝は、耳に当てればどれ程離れていても互いの声が聞こえ、持ってさえいれば互いの場所が判る。
「ふぅん?じゃ、行ってくるわね。」
稀華とコルノを見送って、蛇乱はおもむろに片足で立つと、独楽の様に回転。
あっさりと積もった雪を突き抜けて、凍った地面に降り立つと木沓の踵を打ち付ける。
雪があるのは、ダロス大陸の東側の一部と、僅かに地峡の西の端まで。
やはりおかしい。
と、蛇乱はそこで表情を固くすると、一跳びで雪上に跳び出し、猛烈な勢いで東に疾駆した。
風を纏って空に昇る。
天に、では無い。腐っても管理者である女神が閉じた以上、天仙といっても実力が足らない稀華では、天に帰還するのは不可能と言って良いだろう。
しかし、単に雲を抜け、世界を見下ろす高度に至る位は簡単だ。
「ねえ、コルノ。」
「シュ。」
つい、口元が緩む。
「あいつ、夫婦貝だって。」
凶眼で、無愛想の塊。非常識の権化。
「心配性よねぇ…そんなに、私、弱くないのよ?」
「シュ~。」
ふふ。と、笑みが零れてしまう。
「任せた。だって。」
見下ろす雲に奇妙な動き。何かある。
ソロリソロリと近付いた時、貝から蛇乱の呼ぶ声が聞こえた。
「すまん。俺では対処出来ん。」
「ぷっ」
おい、と睨まれてもまるで恐くない。
困り果てた声で呼ばれ、駆け付けて見れば心底情けない顔の地仙が待っていた。
「まさか、遭難者に…ぷくくっ…」
地峡から、僅かにダロス大陸に入り込んだ森の中、雪に埋もれた小屋で、半分死人になっている兵士を見つけたまでは良かった。
蛇乱の術ならば、只人の命脈が尽きていようと関係ない。とは言え…
「意識を取り戻す度に、心臓発作を起こされる。こっちが堪らん。」
「アハハハハハ」
ついに吹き出す稀華。
さもありなん。稀華自身、心臓が止まった事があるのだ。仙人でも無い、ただの兵士がこの地仙を直視して、無事でいられる筈もない。きっと、地獄の怪物とでも思っている事だろう。
「ひでぇ…」
突然の吹雪に、ダロス大陸を調査しに踏みいった自分達調査隊は、やはりダロスは呪われているのだと思いました。
前日…いえ、夜が明ける位までは季節は初秋といった所で、我々はあと、三日程で帰国する予定だったのです。
突然気温が下がり、雪が降ってきたかと思うと、あれよあれよと言う間に猛吹雪に変わってしまいました。
夜営地に、簡易な小屋を組んであったのが幸いしました。隊の誰も欠ける事なく、避難出来たのは行幸であったと思っています。
しかし、簡易な小屋には火の気は無く、身を寄せあっていてもどんどん体は冷えていく一方で、とても長くは保つまいと我々は絶望したのです。
暫くして、戸を叩く音がしました。
隊の者は、全員小屋に居るのに、です。
誰何の声に応えて返ってきたのは、鉄が擦れる様な嫌な声でした。
『助けに来た』
そう聞こえました。そこで、一番扉に近いものが、戸の隙間から外を覗いたのです。
すると、その者は息をのみ、倒れたのです。
何が起きたのか…
倒れた者に、こちらが駆け寄るより早く、扉が開かれ、何かとてつもなく恐ろしいモノが入ってきたのです。
はい。いいえ。申し訳在りません。
そこから少しの間、記憶がはっきりしないのです
ただ、気がついた時、そこに居たのは、いえ、いらっしゃったのは…
かつて、ダロス大陸では女神信仰が盛んであったという。
王権を司る『支配の女神コッズ』
森の恵みを司る『木の女神ダニータ』
湖沼の恵みを司る『沼の女神イゲイタ』
銅と鉄を司る『石の女神ウウワ』
しかし、今、ミゼット大陸の国で四柱の女神をそう呼ぶ者はほとんど居ない。僅かな聖職者、神学者と、国の祭司を行う王族以外の者達は、祟り神としか見ていないのが実状だ。すなわち。
『苛烈の女神コッズ』
『腐毒の女神ダニータ』
『病気の女神イゲイタ』
『錆の女神ウウワ』
言うことを聞かない子供に絵姿を見せて
「コッズに食べられちまうよ!」
と脅かしたり、病気や毒に侵された時に像を火にくべたり、鍛冶屋が作業場の床にウウワの名を刻んだプレートを埋めて踏みながら鉄を打ったりするのである。
帰国したダロス大陸調査隊の報告にある、
翠の子竜を連れた美しく、慈愛に満ちた女神と言うのは聞いたことがない。
「女神マレーカと、恐ろしき鬼神ジャラ…」
鬼神ジャラは姿こそ恐ろしいが、吹雪をもたらした悪しきモノを討ち滅ぼす、正しき存在であると、女神は語った。
そして、まだダロス大陸に悪しきモノが残っており、人が近付くのは危険だと。しかし、ジャラがその全てを討った時には、ダロスは千年の呪縛から解き放たれ、今の地峡をも越える祝福の地と成るだろう…
かの女神は、調査隊にそう語り掛けたのだという。
かくて、ナカーラ世界の片隅に、新しき女神信仰が生まれた。この後、シンハ王国では、優しき女神マレーカの絵姿を翠の子竜の像と共に家の中に祀り、扉の上には恐ろしい姿の鬼神ジャラを象った魔除けを飾る様になっていく。
時折、様子を見に行かないと、見誤るのである。とは言うものの、本来なら夏が終わり、初秋というくらいの筈。だったが。
「お~、吹雪いてる。」
「何を暢気な!コルノ、ほら、こっちに来なさい。」
住処の洞窟から出てみたら、一面銀世界…所か、猛吹雪である。
早くも半分雪に埋もれている蛇乱から、コルノを奪いとって、稀華は自分の周りを初夏の風で包む。
天仙である稀華と風は、非常に近しい。地仙の蛇乱が術でも何でもなく地を従える様に、稀華は風を従えているのだ。
「シュ…」
如何にコルノがただの蛇でないとは言え、寒さに対する耐性は未だ仙人に遠く及ばない。雪に埋まりながら、平然と突っ立ったままの蛇乱にくっついていたら、良くて冬眠である。
「ちょっと冷気が強すぎるな。」
「そうね。不自然な風があるわ。」
春夏秋冬吹く風は、風精そのものでもある。この辺りに吹き荒れる風に所々、風精の居ないものが混じっているのを、稀華は感じていた。
「女神…じゃねぇな。早すぎる。」
礎の間に再び忍び込んだ女神共は、陽と月の午精コンビに叩き潰されて、暫くは回復出来ない筈だ。
「空を見てくるわ。」
「任せた…と、コレ持って行ってくれ。」
ポンと投げ渡されたのは、半分の貝殻。
「夫婦貝じゃない。」
「何かあったら、互いに連絡な。」
この宝貝は、耳に当てればどれ程離れていても互いの声が聞こえ、持ってさえいれば互いの場所が判る。
「ふぅん?じゃ、行ってくるわね。」
稀華とコルノを見送って、蛇乱はおもむろに片足で立つと、独楽の様に回転。
あっさりと積もった雪を突き抜けて、凍った地面に降り立つと木沓の踵を打ち付ける。
雪があるのは、ダロス大陸の東側の一部と、僅かに地峡の西の端まで。
やはりおかしい。
と、蛇乱はそこで表情を固くすると、一跳びで雪上に跳び出し、猛烈な勢いで東に疾駆した。
風を纏って空に昇る。
天に、では無い。腐っても管理者である女神が閉じた以上、天仙といっても実力が足らない稀華では、天に帰還するのは不可能と言って良いだろう。
しかし、単に雲を抜け、世界を見下ろす高度に至る位は簡単だ。
「ねえ、コルノ。」
「シュ。」
つい、口元が緩む。
「あいつ、夫婦貝だって。」
凶眼で、無愛想の塊。非常識の権化。
「心配性よねぇ…そんなに、私、弱くないのよ?」
「シュ~。」
ふふ。と、笑みが零れてしまう。
「任せた。だって。」
見下ろす雲に奇妙な動き。何かある。
ソロリソロリと近付いた時、貝から蛇乱の呼ぶ声が聞こえた。
「すまん。俺では対処出来ん。」
「ぷっ」
おい、と睨まれてもまるで恐くない。
困り果てた声で呼ばれ、駆け付けて見れば心底情けない顔の地仙が待っていた。
「まさか、遭難者に…ぷくくっ…」
地峡から、僅かにダロス大陸に入り込んだ森の中、雪に埋もれた小屋で、半分死人になっている兵士を見つけたまでは良かった。
蛇乱の術ならば、只人の命脈が尽きていようと関係ない。とは言え…
「意識を取り戻す度に、心臓発作を起こされる。こっちが堪らん。」
「アハハハハハ」
ついに吹き出す稀華。
さもありなん。稀華自身、心臓が止まった事があるのだ。仙人でも無い、ただの兵士がこの地仙を直視して、無事でいられる筈もない。きっと、地獄の怪物とでも思っている事だろう。
「ひでぇ…」
突然の吹雪に、ダロス大陸を調査しに踏みいった自分達調査隊は、やはりダロスは呪われているのだと思いました。
前日…いえ、夜が明ける位までは季節は初秋といった所で、我々はあと、三日程で帰国する予定だったのです。
突然気温が下がり、雪が降ってきたかと思うと、あれよあれよと言う間に猛吹雪に変わってしまいました。
夜営地に、簡易な小屋を組んであったのが幸いしました。隊の誰も欠ける事なく、避難出来たのは行幸であったと思っています。
しかし、簡易な小屋には火の気は無く、身を寄せあっていてもどんどん体は冷えていく一方で、とても長くは保つまいと我々は絶望したのです。
暫くして、戸を叩く音がしました。
隊の者は、全員小屋に居るのに、です。
誰何の声に応えて返ってきたのは、鉄が擦れる様な嫌な声でした。
『助けに来た』
そう聞こえました。そこで、一番扉に近いものが、戸の隙間から外を覗いたのです。
すると、その者は息をのみ、倒れたのです。
何が起きたのか…
倒れた者に、こちらが駆け寄るより早く、扉が開かれ、何かとてつもなく恐ろしいモノが入ってきたのです。
はい。いいえ。申し訳在りません。
そこから少しの間、記憶がはっきりしないのです
ただ、気がついた時、そこに居たのは、いえ、いらっしゃったのは…
かつて、ダロス大陸では女神信仰が盛んであったという。
王権を司る『支配の女神コッズ』
森の恵みを司る『木の女神ダニータ』
湖沼の恵みを司る『沼の女神イゲイタ』
銅と鉄を司る『石の女神ウウワ』
しかし、今、ミゼット大陸の国で四柱の女神をそう呼ぶ者はほとんど居ない。僅かな聖職者、神学者と、国の祭司を行う王族以外の者達は、祟り神としか見ていないのが実状だ。すなわち。
『苛烈の女神コッズ』
『腐毒の女神ダニータ』
『病気の女神イゲイタ』
『錆の女神ウウワ』
言うことを聞かない子供に絵姿を見せて
「コッズに食べられちまうよ!」
と脅かしたり、病気や毒に侵された時に像を火にくべたり、鍛冶屋が作業場の床にウウワの名を刻んだプレートを埋めて踏みながら鉄を打ったりするのである。
帰国したダロス大陸調査隊の報告にある、
翠の子竜を連れた美しく、慈愛に満ちた女神と言うのは聞いたことがない。
「女神マレーカと、恐ろしき鬼神ジャラ…」
鬼神ジャラは姿こそ恐ろしいが、吹雪をもたらした悪しきモノを討ち滅ぼす、正しき存在であると、女神は語った。
そして、まだダロス大陸に悪しきモノが残っており、人が近付くのは危険だと。しかし、ジャラがその全てを討った時には、ダロスは千年の呪縛から解き放たれ、今の地峡をも越える祝福の地と成るだろう…
かの女神は、調査隊にそう語り掛けたのだという。
かくて、ナカーラ世界の片隅に、新しき女神信仰が生まれた。この後、シンハ王国では、優しき女神マレーカの絵姿を翠の子竜の像と共に家の中に祀り、扉の上には恐ろしい姿の鬼神ジャラを象った魔除けを飾る様になっていく。
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