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毒華の剣
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王女宮に緊張が走る。
革命軍は、そこで初めて異様な気配に気付いた。王女の背後、王女宮から大勢の……百人以上の怒りが自分達に向いているのだ。
「……おやめなさい」
スッと、扇を持つ手が横に伸ばされる。膨れ上がる何かが暴走しないように。
「皆の忠心、心より嬉しく思います。けれど出てくる事は許しません」
「………!!」
王女宮が声なき悲痛に震える様だと、革命軍の誰もが胸をうたれる。
「お、おい……別に……」
「毒華!」
誰かの気弱な制止を振り切るように、ジャンは大きく叫んで王女を睨み付けた。
「王国の未来の為に、貴様を斬る!」
誰もが萎縮する程の気迫。
しかし、王女はそれでも怯む事はない。
「ならば、おやりなさいな。私の首を落として、王国の未来が作れるのならば、喜んでこの首を差し上げますわ……ただし」
絶対零度の視線と、全てを圧倒する覇気がその場に満ちる。
「王女たる私を弑する以上、嘘は赦しません。誰もが苦しむ事も、飢える事も、哀しむ事もない、永遠の安寧を作れなかったその時は、覚悟をなさい」
扇が突きつけられる。あたかも光の剣の様に。
ドレスは白銀の鎧。
ティアラは勇ましき兜。
流れる髪は輝く翼の様に。
それは大神聖教会で伝えられる神の娘
いと気高き天騎士クァリエルの如く
息をするのも忘れた観衆は、魅いられたかの様に膝を折る。
やがて、神の娘は剣を下ろし、静かに目を閉じた。
そして……
革命軍は、そこで初めて異様な気配に気付いた。王女の背後、王女宮から大勢の……百人以上の怒りが自分達に向いているのだ。
「……おやめなさい」
スッと、扇を持つ手が横に伸ばされる。膨れ上がる何かが暴走しないように。
「皆の忠心、心より嬉しく思います。けれど出てくる事は許しません」
「………!!」
王女宮が声なき悲痛に震える様だと、革命軍の誰もが胸をうたれる。
「お、おい……別に……」
「毒華!」
誰かの気弱な制止を振り切るように、ジャンは大きく叫んで王女を睨み付けた。
「王国の未来の為に、貴様を斬る!」
誰もが萎縮する程の気迫。
しかし、王女はそれでも怯む事はない。
「ならば、おやりなさいな。私の首を落として、王国の未来が作れるのならば、喜んでこの首を差し上げますわ……ただし」
絶対零度の視線と、全てを圧倒する覇気がその場に満ちる。
「王女たる私を弑する以上、嘘は赦しません。誰もが苦しむ事も、飢える事も、哀しむ事もない、永遠の安寧を作れなかったその時は、覚悟をなさい」
扇が突きつけられる。あたかも光の剣の様に。
ドレスは白銀の鎧。
ティアラは勇ましき兜。
流れる髪は輝く翼の様に。
それは大神聖教会で伝えられる神の娘
いと気高き天騎士クァリエルの如く
息をするのも忘れた観衆は、魅いられたかの様に膝を折る。
やがて、神の娘は剣を下ろし、静かに目を閉じた。
そして……
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