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風見あんずの秘密の設定_2
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次の日の配信でも、スマートフォンに表示されるメッセージに従うと、視聴者の反応は前日以上に盛り上がった。
『もっと胸元を強調するように座って』
というハイライトされたコメントに従い、姿勢を変えるとコメントが一気に増えた。
普段なら絶対にしないような仕草も、風見あんずを通すことで恥ずかしさが薄れる。
それに、視聴者の反応が良いと自分も不思議と嬉しくなってくる。
私はただ"言われたこと"に従っただけだったが、それだけなのにこんなにも大きな反響を得られることに、快感を覚え始めていた。
「ねぇ、みんな。私ってどんな風に見えてるのかな」
ふと気になって問いかける。
「教えてよ、私のこと。どんなふうに見えてるのか知りたいなー」
再びコメントに目を向ける。
『かわいい』『美しい』『綺麗』『色気がある』
そんな文字が流れていく。なんだかくすぐったい気持ちになり、自然と笑みがこぼれてしまう。
「ありがとう。うれしいなぁ」
その瞬間、全身に電撃が走ったような感覚に襲われた。
頭の中が真っ白になり、胸の奥がきゅっと締め付けられるような甘美な痛み。
そして経験したことのない幸福感に包まれた。
「ねぇねぇ、みんなは私のどんな格好見てみたい?次の新衣装発表でみんなに見せたいな」
これもスマートフォンがくれたアドバイスの一つだった。新たな装いを見せることが最も効果的なのだと言われ、思い切って言ってみたのだが……
『せっかく胸も大きいんだし水着はどう?』
というコメントが流れた。
「なっ!?」
慌てて両手で胸を隠した。そんな直接的なコメントに顔が急に熱くなっていく。
「そ、そんなの恥ずかしいよぉ……」
口ではそう言いながらも、心臓の鼓動がどんどん早くなるのがわかった。
『無理しないでいいよ』
『照れてるの可愛い』
などの温かい言葉が流れてくる。中には興奮を抑えきれないといった様子の声もあり、それもまた嬉しかった。
「わ、わかったわよ。みんながそう言うんだったらちょっと考えてみようかな」
『やったー!』
コメント欄が一気に沸き立つ。
「まだ決定じゃないからね?でも、楽しみにしててね♡」
照れ臭さを隠すようにそう言うと、自分でも驚くほど艶っぽい声が出た。
その後も新しい衣装の提案が次々と流れてきて、そんな衣装を着た風見あんずの姿を思い浮かべるに胸がドキドキしてくる。
この日の雑談配信も盛り上がりあっという間に時間が過ぎていった。
「じゃあまた明日も見てくれると嬉しいな!バイバーイ♪」
配信終了ボタンを押す前にもう一度鏡を見る。
そこには恍惚とした表情を浮かべた少女がいた。私が指で頰を撫でると、彼女も同じように顔を動かす。その姿は紛れもなく私自身だった。
配信を切り終え、脱力するようにベッドに倒れこむ。頭の中ではまだ先ほどの幸せの余韻が残っていた。
***
「最近、なんか変わったね」
休日の女子会。いつもの3人でお茶を飲んでいる時、一人の友人から突然告げられた。
「そう?気のせいじゃない?」
「なんか、こう……女っぽくなったというか」
「そうそう、前はそんな恰好してなかったじゃない」
そう指摘されて、自分の服装に目を落とす。
「そうそう。せっかく胸おっきいのに隠すみたいな服ばっかり着てさー」
「ねー!私たちもずーっとアドバイスしてきたのに」
(あれ……?)
今朝服を選ぶときは何も思わなかったが、こうして改めて指摘されると確かにそうかもしれない。胸元のボタンもいつもより1つ多く外し、スカート丈も短くなり、ウエスト回りのラインがはっきりとわかるようになった。
(でも、これくらい……普通……よね?)
本当はもっと露出を増やそうと思ったけれど、さすがに女子友達と会うのにそこまで肌をさらけ出す必要もないか、と控えめにした……はず。でも……。
「へん……かな?」
友人達は顔を見合わせたあと、満面の笑みを浮かべて言った。
「すっごい良いと思う!!」
その言葉を聞いた瞬間、胸につかえていたものがすっと消えた気がした。今まで自分を抑圧してきた何かが解き放たれたような感覚。
それから一週間が過ぎ、私のチャンネル登録者数は5000人を超えた。スマートフォンからのガイドは徐々に大胆になっていき、あるとき、新たな提案が表示された。
『風見あんずの秘密の設定を視聴者に教えてみては?』
今までと毛色の違うメッセージに少しだけ戸惑った。
『もっと胸元を強調するように座って』
というハイライトされたコメントに従い、姿勢を変えるとコメントが一気に増えた。
普段なら絶対にしないような仕草も、風見あんずを通すことで恥ずかしさが薄れる。
それに、視聴者の反応が良いと自分も不思議と嬉しくなってくる。
私はただ"言われたこと"に従っただけだったが、それだけなのにこんなにも大きな反響を得られることに、快感を覚え始めていた。
「ねぇ、みんな。私ってどんな風に見えてるのかな」
ふと気になって問いかける。
「教えてよ、私のこと。どんなふうに見えてるのか知りたいなー」
再びコメントに目を向ける。
『かわいい』『美しい』『綺麗』『色気がある』
そんな文字が流れていく。なんだかくすぐったい気持ちになり、自然と笑みがこぼれてしまう。
「ありがとう。うれしいなぁ」
その瞬間、全身に電撃が走ったような感覚に襲われた。
頭の中が真っ白になり、胸の奥がきゅっと締め付けられるような甘美な痛み。
そして経験したことのない幸福感に包まれた。
「ねぇねぇ、みんなは私のどんな格好見てみたい?次の新衣装発表でみんなに見せたいな」
これもスマートフォンがくれたアドバイスの一つだった。新たな装いを見せることが最も効果的なのだと言われ、思い切って言ってみたのだが……
『せっかく胸も大きいんだし水着はどう?』
というコメントが流れた。
「なっ!?」
慌てて両手で胸を隠した。そんな直接的なコメントに顔が急に熱くなっていく。
「そ、そんなの恥ずかしいよぉ……」
口ではそう言いながらも、心臓の鼓動がどんどん早くなるのがわかった。
『無理しないでいいよ』
『照れてるの可愛い』
などの温かい言葉が流れてくる。中には興奮を抑えきれないといった様子の声もあり、それもまた嬉しかった。
「わ、わかったわよ。みんながそう言うんだったらちょっと考えてみようかな」
『やったー!』
コメント欄が一気に沸き立つ。
「まだ決定じゃないからね?でも、楽しみにしててね♡」
照れ臭さを隠すようにそう言うと、自分でも驚くほど艶っぽい声が出た。
その後も新しい衣装の提案が次々と流れてきて、そんな衣装を着た風見あんずの姿を思い浮かべるに胸がドキドキしてくる。
この日の雑談配信も盛り上がりあっという間に時間が過ぎていった。
「じゃあまた明日も見てくれると嬉しいな!バイバーイ♪」
配信終了ボタンを押す前にもう一度鏡を見る。
そこには恍惚とした表情を浮かべた少女がいた。私が指で頰を撫でると、彼女も同じように顔を動かす。その姿は紛れもなく私自身だった。
配信を切り終え、脱力するようにベッドに倒れこむ。頭の中ではまだ先ほどの幸せの余韻が残っていた。
***
「最近、なんか変わったね」
休日の女子会。いつもの3人でお茶を飲んでいる時、一人の友人から突然告げられた。
「そう?気のせいじゃない?」
「なんか、こう……女っぽくなったというか」
「そうそう、前はそんな恰好してなかったじゃない」
そう指摘されて、自分の服装に目を落とす。
「そうそう。せっかく胸おっきいのに隠すみたいな服ばっかり着てさー」
「ねー!私たちもずーっとアドバイスしてきたのに」
(あれ……?)
今朝服を選ぶときは何も思わなかったが、こうして改めて指摘されると確かにそうかもしれない。胸元のボタンもいつもより1つ多く外し、スカート丈も短くなり、ウエスト回りのラインがはっきりとわかるようになった。
(でも、これくらい……普通……よね?)
本当はもっと露出を増やそうと思ったけれど、さすがに女子友達と会うのにそこまで肌をさらけ出す必要もないか、と控えめにした……はず。でも……。
「へん……かな?」
友人達は顔を見合わせたあと、満面の笑みを浮かべて言った。
「すっごい良いと思う!!」
その言葉を聞いた瞬間、胸につかえていたものがすっと消えた気がした。今まで自分を抑圧してきた何かが解き放たれたような感覚。
それから一週間が過ぎ、私のチャンネル登録者数は5000人を超えた。スマートフォンからのガイドは徐々に大胆になっていき、あるとき、新たな提案が表示された。
『風見あんずの秘密の設定を視聴者に教えてみては?』
今までと毛色の違うメッセージに少しだけ戸惑った。
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