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風見あんずの秘密の設定_3
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(秘密の設定?)
自分では風見あんずに特別な設定など作っていなかった。
ただ「明るく元気な女の子」というイメージだけで始めたのだ。しかしスマートフォンの画面をタップすると、詳細が表示された。
『設定:風見あんずは中出しされた相手に完全に支配され、世界で一番好きになってしまう体質』
私は息を呑んだ。
こんな卑猥な設定、自分では絶対に思いつかないものだった。
心臓が早鐘を打ち、顔が熱くなる。
でも、恥ずかしさと同時に、なぜか体の奥底に熱いものが広がるのを感じた。
(そんな……中出し……だなんて……)
でも、画面を見つめているとなぜかその設定が魅力的な設定なのではないか?という感情も湧き上がってくる。
配信はあくまで演技。現実の自分とは別の人格を演じているに過ぎない。
それに、初めは元気なカジュアルな衣装だった風見あんずも、今ではかなり肌の露出が多くなっていた。
先日リクエストされた水着衣装も、今作成中のものが完成すれば、ほぼ紐ような布面積のものが出来上がるはずだ。
そんな今なら、こんな大胆な設定も、演技の一部として受け入れられるのでは?
(でも、こんなこと言えないよ……)
と心の中で一瞬呟いたものの、さすがに肌の露出を増やした程度では、最近は視聴者数が伸び悩んでいた。
それにこれまでのスマホからのメッセージはすべて成功していた。
拓海のアプリを信じてみる価値はあるかもしれない。
葛藤の末、私は勇気を振り絞った。
「あの……実は風見あんず、秘密があるの」
視聴者のコメントが一気に増える。
「風見あんずね……」少し声を下げて、
「中に出された相手のことを、世界一好きになっちゃう体質なんだ……♡でも誰にも言っちゃダメだよ?」
コメント欄が爆発した。今まで見たことがない速度でコメントが流れ、投げ銭が次々と飛び込んできた。
『俺とヤろうぜ』
『俺が相手だ』
『〇ませてやる』
『ってことは風見あんずちゃん彼氏いないの?俺と付き合ってよ』
といった下卑たコメントが大半を占めた。
いつもより卑猥な言葉が並ぶコメント欄に背筋がぞくっとするような興奮を覚える。こんな反応は初めてだった。
ーーーそして、視聴者は皆、この秘密の設定に食いついてきた。
「あはは、だからだれともしたことないんだ♡だって、好きでもない人に支配されたくないじゃん♡」
そう言いながら、私は自分の言葉に驚いていた。
こんなセリフ、普段の私なら死んでも言えないものだ。
しかし、風見あんずの後ろに隠れているからこそ、こうして大胆になれる。
カメラに向かって軽くウインクをすると、それだけでコメント欄の勢いが増した。
「ほらほら、あんまり変なコメントばっかりいうとアーカイブ消しちゃうからね」
コメントの流れが速すぎて、もはや何を言っているのかわからないほどだ。
だけど少なくとも今この瞬間だけは、彼らの時間を私が独り占めしているという事実に高揚感を覚える。
「えへへ、みんなありがとー♡でもごめんね?今は大好きな人としかシないから……ね♡」
それからもどうやって配信を締めたらいいかもわからないほど興奮したコメントが続いた。私は適当に返事をしながら、とりあえず配信を終了した。
配信終了ボタンを押し、ヘッドフォンとトラッキング用の機材を外すと、一気に現実が自分を包んできた。
私は鏡の前で自分の顔を見つめた。顔が赤く、瞳は普段より輝いているように見える。
「私、今日……何、したんだろう……」
途中から何を言ったかあまり覚えていない。
ただ、とてつもない興奮だけが体に残っている。頭がぼーっとして、思考がまとまらない。
ゆっくりと立ち上がり、冷蔵庫を開ける。ミネラルウォーターを取り出し、コップに注ぐ。一口飲むと、少しだけ冷静さを取り戻したような気がした。
「すごい……ほんとに、ファンの人が私を求めてくれてる……」
恥ずかしかった。あんな言葉、自分で言うと思わかなった。
でも、その羞恥心の奥には、微かな高揚感があった。
これまで経験したことのない反応を得られたことへの喜び。そして、自分の中から解放された何かへの不思議な解放感。
その夜、私は初めて官能的な夢を見た。夢の中で自分は風見あんずになっていて、多くの視聴者に囲まれている。
彼らの視線が肌に触れるようで、心地よい興奮を覚える。そして最後に現れたのは拓海だった。彼は夢の中で私を優しく抱きしめ、耳元でささやいた。
「本当の自分を解放していいんだよ」
私は汗だくで目を覚ました。
胸は高鳴り、体は火照っていた。下着に触れると、そこが湿っているのに気づき、顔を赤らめた。スマホを手に取ると、拓海からのメッセージが届いていた。
『順調ですね。あなたの本当の姿が少しずつ現れ始めています』
私はその言葉に、恐怖と期待が入り混じる感情を抱いた。これはただのVTuber活動なのだろうか?それとも、もっと別の何かが起きているのだろうか?
でも不思議と、その恐怖すら心地よく感じる自分がいた。
まるで、長い間閉じ込められていた何かが、少しずつ解放されていくような感覚。
私は暗闇の中で微笑んだ。次の配信が、今から待ち遠しかった。
自分では風見あんずに特別な設定など作っていなかった。
ただ「明るく元気な女の子」というイメージだけで始めたのだ。しかしスマートフォンの画面をタップすると、詳細が表示された。
『設定:風見あんずは中出しされた相手に完全に支配され、世界で一番好きになってしまう体質』
私は息を呑んだ。
こんな卑猥な設定、自分では絶対に思いつかないものだった。
心臓が早鐘を打ち、顔が熱くなる。
でも、恥ずかしさと同時に、なぜか体の奥底に熱いものが広がるのを感じた。
(そんな……中出し……だなんて……)
でも、画面を見つめているとなぜかその設定が魅力的な設定なのではないか?という感情も湧き上がってくる。
配信はあくまで演技。現実の自分とは別の人格を演じているに過ぎない。
それに、初めは元気なカジュアルな衣装だった風見あんずも、今ではかなり肌の露出が多くなっていた。
先日リクエストされた水着衣装も、今作成中のものが完成すれば、ほぼ紐ような布面積のものが出来上がるはずだ。
そんな今なら、こんな大胆な設定も、演技の一部として受け入れられるのでは?
(でも、こんなこと言えないよ……)
と心の中で一瞬呟いたものの、さすがに肌の露出を増やした程度では、最近は視聴者数が伸び悩んでいた。
それにこれまでのスマホからのメッセージはすべて成功していた。
拓海のアプリを信じてみる価値はあるかもしれない。
葛藤の末、私は勇気を振り絞った。
「あの……実は風見あんず、秘密があるの」
視聴者のコメントが一気に増える。
「風見あんずね……」少し声を下げて、
「中に出された相手のことを、世界一好きになっちゃう体質なんだ……♡でも誰にも言っちゃダメだよ?」
コメント欄が爆発した。今まで見たことがない速度でコメントが流れ、投げ銭が次々と飛び込んできた。
『俺とヤろうぜ』
『俺が相手だ』
『〇ませてやる』
『ってことは風見あんずちゃん彼氏いないの?俺と付き合ってよ』
といった下卑たコメントが大半を占めた。
いつもより卑猥な言葉が並ぶコメント欄に背筋がぞくっとするような興奮を覚える。こんな反応は初めてだった。
ーーーそして、視聴者は皆、この秘密の設定に食いついてきた。
「あはは、だからだれともしたことないんだ♡だって、好きでもない人に支配されたくないじゃん♡」
そう言いながら、私は自分の言葉に驚いていた。
こんなセリフ、普段の私なら死んでも言えないものだ。
しかし、風見あんずの後ろに隠れているからこそ、こうして大胆になれる。
カメラに向かって軽くウインクをすると、それだけでコメント欄の勢いが増した。
「ほらほら、あんまり変なコメントばっかりいうとアーカイブ消しちゃうからね」
コメントの流れが速すぎて、もはや何を言っているのかわからないほどだ。
だけど少なくとも今この瞬間だけは、彼らの時間を私が独り占めしているという事実に高揚感を覚える。
「えへへ、みんなありがとー♡でもごめんね?今は大好きな人としかシないから……ね♡」
それからもどうやって配信を締めたらいいかもわからないほど興奮したコメントが続いた。私は適当に返事をしながら、とりあえず配信を終了した。
配信終了ボタンを押し、ヘッドフォンとトラッキング用の機材を外すと、一気に現実が自分を包んできた。
私は鏡の前で自分の顔を見つめた。顔が赤く、瞳は普段より輝いているように見える。
「私、今日……何、したんだろう……」
途中から何を言ったかあまり覚えていない。
ただ、とてつもない興奮だけが体に残っている。頭がぼーっとして、思考がまとまらない。
ゆっくりと立ち上がり、冷蔵庫を開ける。ミネラルウォーターを取り出し、コップに注ぐ。一口飲むと、少しだけ冷静さを取り戻したような気がした。
「すごい……ほんとに、ファンの人が私を求めてくれてる……」
恥ずかしかった。あんな言葉、自分で言うと思わかなった。
でも、その羞恥心の奥には、微かな高揚感があった。
これまで経験したことのない反応を得られたことへの喜び。そして、自分の中から解放された何かへの不思議な解放感。
その夜、私は初めて官能的な夢を見た。夢の中で自分は風見あんずになっていて、多くの視聴者に囲まれている。
彼らの視線が肌に触れるようで、心地よい興奮を覚える。そして最後に現れたのは拓海だった。彼は夢の中で私を優しく抱きしめ、耳元でささやいた。
「本当の自分を解放していいんだよ」
私は汗だくで目を覚ました。
胸は高鳴り、体は火照っていた。下着に触れると、そこが湿っているのに気づき、顔を赤らめた。スマホを手に取ると、拓海からのメッセージが届いていた。
『順調ですね。あなたの本当の姿が少しずつ現れ始めています』
私はその言葉に、恐怖と期待が入り混じる感情を抱いた。これはただのVTuber活動なのだろうか?それとも、もっと別の何かが起きているのだろうか?
でも不思議と、その恐怖すら心地よく感じる自分がいた。
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私は暗闇の中で微笑んだ。次の配信が、今から待ち遠しかった。
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