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大人のおもちゃ_1
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それから数週間、私のVTuber活動は急速に人気を集めていった。
登録者数は2万人を超え、配信のたびに多くの投げ銭が送られてくるようになった。
私自身も変化していた。以前は緊張していた配信も、今では楽しみになっている。風見あんずのキャラクターに入り込むことが、日に日に自然になっていっていた。
「みんなー、元気だった?今日は結構暑かったけど大丈夫だったかなー?」
今では、例のスマホがなくてもどんな話をすればいいかもわかるようになっていた。
伝えたい事を素直に言葉にできるようになった気がする。
「こうやって暑い日が続くと胸の谷間が蒸れちゃうんだよねー。ほら、見て見てー」
胸元を見せつけると、コメント欄が大きく盛り上がった。
「あはは、みんなおっぱい好きなんだね。えっちなんだから♡」
スマートフォンからのガイドも徐々に大胆になっていった。『胸元を強調するような角度で話して』『唇を舐めながら話して』といった提案に従うたびに、視聴者の反応は熱くなり、私自身も奇妙な高揚感を覚えるようになっていた。
「んー、夜になったのに暑いなー。そうだ、今夜だけ夏バージョンのパジャマ着てみるねー」
風見あんずの衣装も、配信ごとに露出度が増していった。
肩が出るドレスから、胸元が大きく開いたトップス、そしてミニスカートへ。
視聴者が喜ぶなら、と思い切って採用したデザインだったが、不思議なことに私自身も、風見あんずがセクシーな衣装を着るのを楽しむようになっていた。
「じゃーん!どう?似合ってるかな?」
胸元が開いていて、生地も薄く、ガーターベルトをつけただけの白いレースのネグリジェ。ほとんど下着同然の格好ではあったが、不思議と恥ずかしさはなかった。むしろそれが自然なような気がしていた。
「んふふ、みんなのアドバイスを聞いてつくっちゃった♡こういうのは嫌い?」
挑発的に笑うと、大量のコメントがついた。
『最高!!』
『エロすぎる!』
『次もそれでお願いします』
自分の着ている服を褒められるのは心地よかった。
「ふふっ、ありがとっ♡」
視聴者とのコミュニケーションも徐々に変わってきた。以前は下ネタは苦手だったが、最近では平気で口にすることができるようになっていた。
「私、最近あんまり一人でしてないんだよねー。なんか気持ちいいこととか分からないのかなぁ?誰か教えてーって思ってるんだけどぉ」
『俺が教えてあげようか?』
「えー!ほんと?でも、どうやって教える気ぃ?あなた男の子でしょ?」
そう言いながら、人差し指を口元に当てて微笑む。
こんな台詞、以前の自分からは絶対に出てこない。
徐々に波になってきた、そんな手ごたえを感じていた。
そんなある日の配信中、特に多くのコメントが流れる中、スマートフォンは一つのコメントをハイライトした。
『大人のおもちゃを入れながら配信してみたら?』
私は息を呑んだ。それが意味することは分かる。
でも、これまでの提案とは次元が違う。
これまでは衣装や仕草、話し方といった表面的なもの。しかし、これは実際の肉体に関わること。風見あんず風見あんずの向こう側にいる、本当の私の体に。
(そんなこと……できるわけ……)
さすがに私は心の中で否定した。
しかし、スマートフォンの画面を見つめていると、やっぱり心が揺れ動き始める。
風見あんずの人気は確実に上がっている。
それを支えているのはこのスマートフォンのメッセージだ。
今までそれに従って、何か悪いことが起きただろうか?
配信もうまくいき、昔よりも注目され、むしろ、人生が好転しているとさえ言える。
収入も増え、自信もついた。以前の私は誰にも注目されない存在だったが、今や数万人が風見あんずを見ている。
(それに……別に……ばれるわけじゃ……ないし……)
そう、私が実際どんな服装で配信していてもばれるわけではない。
それに、実際に手を動かすわけじゃないからトラッキングデバイスも、私がそういったものをつけているのがわかるわけでもない。マイク感度を下げれば音だって……。
その日の配信後、インターネットでいままでアクセスしたことすらないアダルトショップのショッピングページを開いていた。
『おすすめ』と書かれたものをいくつかクリックしショッピングカートに入れていく。
もう一度先ほどのスマートフォンに目を落とす。
『大人のおもちゃを入れながら配信してみたら?』
震える指先で注文確定ボタンをクリックする。
「何やってるんだろう、私……」
戸惑いつつもそれでも注文をキャンセルすることはしなかった。
そして二日後、茶色の小包が届いた。
次の配信の日、私は自室で長い間、届いた大人のおもちゃを見つめていた。初めて触る小さなピンク色の卵型の機会は、思ったよりも可愛らしいデザインだった。
「本当にこんなことするの?」
と自問自答を繰り返したが、心の奥では既に決断していた。
「視聴者には絶対わからないはず……これも演技の一部よ」
そう自分に言い聞かせ、準備を整えた。体内にピンク色の卵を装着し、リモコンをそっとポケットに入れる。スイッチはまだ入れていない。鏡を見ると、外見上は何も変わらない。
それに風見あんずも何も変わらずにこにこと画面の中で微笑んでいる。
でも私は違う。心臓が早鐘を打ち、頬が熱い。何か禁忌のようなものを犯す緊張と興奮が全身を駆け巡る。
登録者数は2万人を超え、配信のたびに多くの投げ銭が送られてくるようになった。
私自身も変化していた。以前は緊張していた配信も、今では楽しみになっている。風見あんずのキャラクターに入り込むことが、日に日に自然になっていっていた。
「みんなー、元気だった?今日は結構暑かったけど大丈夫だったかなー?」
今では、例のスマホがなくてもどんな話をすればいいかもわかるようになっていた。
伝えたい事を素直に言葉にできるようになった気がする。
「こうやって暑い日が続くと胸の谷間が蒸れちゃうんだよねー。ほら、見て見てー」
胸元を見せつけると、コメント欄が大きく盛り上がった。
「あはは、みんなおっぱい好きなんだね。えっちなんだから♡」
スマートフォンからのガイドも徐々に大胆になっていった。『胸元を強調するような角度で話して』『唇を舐めながら話して』といった提案に従うたびに、視聴者の反応は熱くなり、私自身も奇妙な高揚感を覚えるようになっていた。
「んー、夜になったのに暑いなー。そうだ、今夜だけ夏バージョンのパジャマ着てみるねー」
風見あんずの衣装も、配信ごとに露出度が増していった。
肩が出るドレスから、胸元が大きく開いたトップス、そしてミニスカートへ。
視聴者が喜ぶなら、と思い切って採用したデザインだったが、不思議なことに私自身も、風見あんずがセクシーな衣装を着るのを楽しむようになっていた。
「じゃーん!どう?似合ってるかな?」
胸元が開いていて、生地も薄く、ガーターベルトをつけただけの白いレースのネグリジェ。ほとんど下着同然の格好ではあったが、不思議と恥ずかしさはなかった。むしろそれが自然なような気がしていた。
「んふふ、みんなのアドバイスを聞いてつくっちゃった♡こういうのは嫌い?」
挑発的に笑うと、大量のコメントがついた。
『最高!!』
『エロすぎる!』
『次もそれでお願いします』
自分の着ている服を褒められるのは心地よかった。
「ふふっ、ありがとっ♡」
視聴者とのコミュニケーションも徐々に変わってきた。以前は下ネタは苦手だったが、最近では平気で口にすることができるようになっていた。
「私、最近あんまり一人でしてないんだよねー。なんか気持ちいいこととか分からないのかなぁ?誰か教えてーって思ってるんだけどぉ」
『俺が教えてあげようか?』
「えー!ほんと?でも、どうやって教える気ぃ?あなた男の子でしょ?」
そう言いながら、人差し指を口元に当てて微笑む。
こんな台詞、以前の自分からは絶対に出てこない。
徐々に波になってきた、そんな手ごたえを感じていた。
そんなある日の配信中、特に多くのコメントが流れる中、スマートフォンは一つのコメントをハイライトした。
『大人のおもちゃを入れながら配信してみたら?』
私は息を呑んだ。それが意味することは分かる。
でも、これまでの提案とは次元が違う。
これまでは衣装や仕草、話し方といった表面的なもの。しかし、これは実際の肉体に関わること。風見あんず風見あんずの向こう側にいる、本当の私の体に。
(そんなこと……できるわけ……)
さすがに私は心の中で否定した。
しかし、スマートフォンの画面を見つめていると、やっぱり心が揺れ動き始める。
風見あんずの人気は確実に上がっている。
それを支えているのはこのスマートフォンのメッセージだ。
今までそれに従って、何か悪いことが起きただろうか?
配信もうまくいき、昔よりも注目され、むしろ、人生が好転しているとさえ言える。
収入も増え、自信もついた。以前の私は誰にも注目されない存在だったが、今や数万人が風見あんずを見ている。
(それに……別に……ばれるわけじゃ……ないし……)
そう、私が実際どんな服装で配信していてもばれるわけではない。
それに、実際に手を動かすわけじゃないからトラッキングデバイスも、私がそういったものをつけているのがわかるわけでもない。マイク感度を下げれば音だって……。
その日の配信後、インターネットでいままでアクセスしたことすらないアダルトショップのショッピングページを開いていた。
『おすすめ』と書かれたものをいくつかクリックしショッピングカートに入れていく。
もう一度先ほどのスマートフォンに目を落とす。
『大人のおもちゃを入れながら配信してみたら?』
震える指先で注文確定ボタンをクリックする。
「何やってるんだろう、私……」
戸惑いつつもそれでも注文をキャンセルすることはしなかった。
そして二日後、茶色の小包が届いた。
次の配信の日、私は自室で長い間、届いた大人のおもちゃを見つめていた。初めて触る小さなピンク色の卵型の機会は、思ったよりも可愛らしいデザインだった。
「本当にこんなことするの?」
と自問自答を繰り返したが、心の奥では既に決断していた。
「視聴者には絶対わからないはず……これも演技の一部よ」
そう自分に言い聞かせ、準備を整えた。体内にピンク色の卵を装着し、リモコンをそっとポケットに入れる。スイッチはまだ入れていない。鏡を見ると、外見上は何も変わらない。
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