いとこ

かなん

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あのまま夜を2人で過ごした次の日。

「おはよ」
芹は先に起きていたようで、俺が起きたことに気づいた芹はスマホをいじっていた手を止めた。

「...おはよ」
おはよと言った芹に返事をするも、視線は無意識に昨日のことを思い出させ、芹の唇を見て顔が熱っていくのがわかる。

隠そうと思い、布団を上まで持ち上げる。

「...なに。照れてんの?」
そうニヤニヤした顔で海都を見続ける芹。

「~~!!なんで逆にお前は照れないんだよ...!」
そう布団の中にあった手を出し芹の胸元に当てる。

「...もう俺は照れは経験済みなんだよ」
ぼそっと何かを呟いた芹の言葉に、顔を布団に埋めていた海都は聞き取れず、「なに?」と聞き返してももう笑っているだけで教えてくれなかった。

そう。芹は、中学2年の頃寝ている海都にキスをしたことがあった。
そして目が覚めた海都を見ることができなかった時を思い出した。
(...あのとき緊張から勢いよくしたせいで歯があたっちゃって、海都の唇に傷つくって、目が覚めた後身に覚えのない傷に海都が不思議そうにしてて、俺めっちゃ恥ずかしかったし、バレないかドキドキしたな...)

「あ!やば、もうこんな時間じゃん。起きないと」
そう言われて時計を見ると、もう7:00だった。
芹は起きてからもう30分も経っていたことに驚き、2人で学校に行く準備を始めた。

「そう言えば今日体育あるんだった」
昨日も体育があり持って帰ってきた体育着。
昨日の大雨で袋はびちょびちょで洗濯をし忘れた。
案の定、体操服は湿っていて流石に着られない。
仕方ない、今日は半袖ハーフパンでするしかと思っていたら真上から体操着が被せられた。

「俺、5限体育だから返しにきてね」
そう言って芹は自分の体操着を貸してくれた。

「ありがとう...!」
同じ洗剤を使っているはずなのに自分のとは違う芹の匂いのする体操着にちょっと嬉しくなった海都はニヤけながら体操着を鞄にしまった。

それから2人でパンを焼いて食べてから学校へ向かった。


「あれ~海都くんのその体操着、学年違うね?」
最近友人になった嵐に自分が着ている体操着のラインの色が違うことを言われる。

「あ、うん。昨日の雨で乾かなくて、芹の借りた」
そう言って芹から借りた体操着を頭からかぶる。

「うわーそれ女子が羨ましがるやつだー」
そう言って着替え終わり体育館に向かうと嵐の言う通り女子に聞かれた。

「それってセリくんのー?いいなー、私も着たーい」

「あ、うん。借りたいなら芹に聞いて借りて」
そういうと女子はちょっと顔を顰めて、元いたグループに戻って行った。

「ばっか、セリくんにそんなん言えるわけないだろ」
あーあ、恨まれたな。と嵐は腕を肩に回して来ながら言う。

「逆恨みもいいところだね」

「お前は知らないと思うけど、セリくん笑わないで有名だからな。冷たいって。」
それは海都の知らない芹。

「...芹って笑わないの?」
自分といる時との違いにびっくりする。

「クールだよクール!まじで」
最近はお前といると笑うけど、それに周りがどんだけ驚いてることか。
そういって嵐はスマホでセリの写真を何枚か見せてくれた。
そこに写っているセリは確かに笑顔がない。

「お前ってセリくんの写真とか見ないの?」

「....うーん、あんま見ないかな」
芹が見られたくないって言っていたこともあるし、自分がシマにいたときは芹を見ると会いたくなりそうで見ないようにしてた。ただ、会いにきてくれるのを待ってた。
自分の知らない芹を見たくなかったっていうのもあったのかもしれないと、今写真を見せられて思った。
だって、あまりにも遠い。さっきまで隣にいたはずなのに。





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