いとこ

かなん

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体育

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今日の体育は卓球だった。
2人1組になって試合をしていく。
勝ち進んでいくトーナメント戦になっていた。

「わ、もう初めで嵐とだ」

「海都くんは卓球上手いん?」

「全然」

そう言ってから向かい合う。

「俺、中学で卓球部で選抜組だったから負ける気がしないわ~」

余裕そうにラケットの上でピンボールをコンコン当てながら喋っている。

言われた言葉に海都はムッとする。
海都は負けず嫌いだった。

それから夢中で卓球をした。
それはもう経験者と渡り合えてるくらいの接戦で、嵐はこれで本当に未経験者かよ...!と心の中で呟きながら球を返す。

かかっていた回転をものともせずに海都も返す。
ラリーが続いた。

いける!とスマッシュを打とうとした瞬間。
どくんと胸が鳴った。
咄嗟に海都はしゃがむ。

「おい!」
嵐が慌てて駆け寄ってきてくれた。
「...大丈夫。ちょっと脱水症状かな...飲み物飲んでくる」
そう言って俺は離脱して、嵐に勝ち進んでもらった。
俺は保健室に行き、休ませてもらうことにした。

寝てた。爆睡だった。
起きたら夕方で、先生が起きた俺に気づきこちらに来て言う。
「よく寝てたから寝させておいたわ。この子もとても心配してた。毎時間様子見に来て、放課後になったら飛んできて、気づいたら寝ちゃったのね」

俺の手を握りなが寝る芹を見る。
芹の目の下にはクマがあった。
こっちに来てからずっと気づいてたクマ。
仕事が忙しいんだと思っていたけれど、この前仕事を辞めると言っていた芹が最後にひっぱりだこで疲れていたことを知った。芹は何も言わないけれど本当はモデルの仕事を好きなことは知ってる。
それでも早く辞めて。もっと一緒にいたい。
そう思ってしまう俺は酷いやつだろうか。

「ん」
俺がずっと見てしまったせいかすぐ芹は目を覚ました。
それから起き上がっている俺を見た芹はあわてて大丈夫か?!と飛び起きた。

「...大丈夫。それよりごめん、体操着借りっぱなしになったね」

「そんなことはいい。...本当に大丈夫なんだな?」
そう真剣に聞かれ、俺は「本当に大丈夫」といい、ベッドを降りた。

俺の荷物は嵐が持ってきてくれたみたいでそれを芹が持ってくれた。

「海都は体調悪いから荷物は俺が持つ」

「俺、持てるよ」
苦笑いで言うと芹はこちらを睨み

「持つ」
と言って俺の手を引いた。


握る手も歩く速度も優しくゆっくりで笑ってしまった。
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