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海都と芹
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「あら?芹くんはまだ?」
朝話した看護師さんが屋上に行っていない俺を見かけたからか聞いてくる。
「...そうなんです」
ベッドの上で芹を待つ。
それを聞いた看護師さんは交代で帰り、俺はそのまま窓の外を眺める。
けど時間になっても芹は来ない。
気づけば花火が打ち上げられて、19時になったのだと気づいた。
「...花火、終わるまでには来るかな」
窓に手を当て、少し遠い花火を見つめる。
15分して花火は終わった。
「...海都くん、あのね、急なんだけど君の緊急手術が決まったの」
花火が終わりぼーとしている俺に看護師さんは静かに告げた。
「...俺、芹を待ってるんです」
そう言うと看護師はなぜか泣きそうな顔をしながら、
「...君の命に関わることよ。今、ドナーが見つかって、あなたの緊急手術が決まったわ。今先生は準備に取り掛かってる。急いで」
そう言った看護師はそのまま呆然としてる俺を横たわらせ麻酔を打ち込んだ。
「芹がきたら伝えておいてくれませんか?手術になったって。俺生きて帰ってくるからって」
「....そうね、伝えるわ」
それを聞き、俺は目を閉じた。
再び目を開けて、医者が手術は成功しましたと言った時、俺は今後も芹と生きていけるんだと、涙をこぼした時に信じられない画面が目に飛び込んできた。
隣の人が見ていたテレビから音はないけれど、そこには俺の知る芹が映っていた。
「昨夜午後18:30頃、モデルをしていたセリこと中條芹くん、17歳が刺され、死亡が確認されました。なお犯人は____」
そんな字幕と共に芹の顔写真が出ている。
「せ、んせ」
言葉にならないまま画面を見続けると、医者の先生は視線の先に気づき、苦い顔のまま説明し出した。
「....彼は最後まで抵抗をし、とにかく心臓だけは必死に守り通していたそうです...」
先生は言葉にはしなかったが、芹の刺された数は全部で5箇所。
警察が止めるまで息があり、お腹、横腹、首とかは刺されていたにも関わらず、胸だけはと男の子は鞄で庇っており、刺されたにも関わらず教科書等で守られていたそう。
「...これ、芹くんから君に渡してくれと」
そう言って出されたのは一枚の紙。
なにと聞かなくてもわかる。これは芹が撮った写真だ。
海をバックにした砂のお城の写真だった。
それは幼少期、アニメで見たシーンだった。
そして海都が芹に言った言葉だった。
砂遊びという外に長時間いられない海都は芹に言ったことがある。
「海の砂のお城を見てみたい」って
それは綺麗な海と、すごく大きな城だった。
「....芹っ」
すごく自信ありげな顔をして俺に渡す予定だったのだろうか。
俺は笑顔ですごいと騒ぎ立てていただろうか。
でも、もうそれは叶わないことで。
海都と芹は初めて会ったのは4歳の頃。
それでも一緒にいた時間はきっと長いようでとても短い。
きっと3年間にも満たないだろう。
これからだったのだ。
海都が東京に来て残りの時間を芹と過ごしたかった。
それだけなのに。
違う形で海都は生き残り、これからも生き続けるはずの芹が死んだ。
それも無惨な形で。
俺は叫んで、吐いて、泣いて、過ごした。
それでも生きて過ごしていて気づいたことはあった。
犯人は言った。セリくんにモデルをやめて見られなくなるなら死んでほしかったと。
でも芹は違う形で生きている。
俺だけがわかる。感じてる。芹の心臓が俺の中で動くたび、生活をするたびに芹を感じた。
俺はみかんが嫌いだった。でも今は美味しいと感じる。
俺は左利きだった。今では右手でも書ける。
芹はずっと俺が生きている限り一緒に生きていける。
朝話した看護師さんが屋上に行っていない俺を見かけたからか聞いてくる。
「...そうなんです」
ベッドの上で芹を待つ。
それを聞いた看護師さんは交代で帰り、俺はそのまま窓の外を眺める。
けど時間になっても芹は来ない。
気づけば花火が打ち上げられて、19時になったのだと気づいた。
「...花火、終わるまでには来るかな」
窓に手を当て、少し遠い花火を見つめる。
15分して花火は終わった。
「...海都くん、あのね、急なんだけど君の緊急手術が決まったの」
花火が終わりぼーとしている俺に看護師さんは静かに告げた。
「...俺、芹を待ってるんです」
そう言うと看護師はなぜか泣きそうな顔をしながら、
「...君の命に関わることよ。今、ドナーが見つかって、あなたの緊急手術が決まったわ。今先生は準備に取り掛かってる。急いで」
そう言った看護師はそのまま呆然としてる俺を横たわらせ麻酔を打ち込んだ。
「芹がきたら伝えておいてくれませんか?手術になったって。俺生きて帰ってくるからって」
「....そうね、伝えるわ」
それを聞き、俺は目を閉じた。
再び目を開けて、医者が手術は成功しましたと言った時、俺は今後も芹と生きていけるんだと、涙をこぼした時に信じられない画面が目に飛び込んできた。
隣の人が見ていたテレビから音はないけれど、そこには俺の知る芹が映っていた。
「昨夜午後18:30頃、モデルをしていたセリこと中條芹くん、17歳が刺され、死亡が確認されました。なお犯人は____」
そんな字幕と共に芹の顔写真が出ている。
「せ、んせ」
言葉にならないまま画面を見続けると、医者の先生は視線の先に気づき、苦い顔のまま説明し出した。
「....彼は最後まで抵抗をし、とにかく心臓だけは必死に守り通していたそうです...」
先生は言葉にはしなかったが、芹の刺された数は全部で5箇所。
警察が止めるまで息があり、お腹、横腹、首とかは刺されていたにも関わらず、胸だけはと男の子は鞄で庇っており、刺されたにも関わらず教科書等で守られていたそう。
「...これ、芹くんから君に渡してくれと」
そう言って出されたのは一枚の紙。
なにと聞かなくてもわかる。これは芹が撮った写真だ。
海をバックにした砂のお城の写真だった。
それは幼少期、アニメで見たシーンだった。
そして海都が芹に言った言葉だった。
砂遊びという外に長時間いられない海都は芹に言ったことがある。
「海の砂のお城を見てみたい」って
それは綺麗な海と、すごく大きな城だった。
「....芹っ」
すごく自信ありげな顔をして俺に渡す予定だったのだろうか。
俺は笑顔ですごいと騒ぎ立てていただろうか。
でも、もうそれは叶わないことで。
海都と芹は初めて会ったのは4歳の頃。
それでも一緒にいた時間はきっと長いようでとても短い。
きっと3年間にも満たないだろう。
これからだったのだ。
海都が東京に来て残りの時間を芹と過ごしたかった。
それだけなのに。
違う形で海都は生き残り、これからも生き続けるはずの芹が死んだ。
それも無惨な形で。
俺は叫んで、吐いて、泣いて、過ごした。
それでも生きて過ごしていて気づいたことはあった。
犯人は言った。セリくんにモデルをやめて見られなくなるなら死んでほしかったと。
でも芹は違う形で生きている。
俺だけがわかる。感じてる。芹の心臓が俺の中で動くたび、生活をするたびに芹を感じた。
俺はみかんが嫌いだった。でも今は美味しいと感じる。
俺は左利きだった。今では右手でも書ける。
芹はずっと俺が生きている限り一緒に生きていける。
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