11 / 19
海都と芹
しおりを挟む
「あら?芹くんはまだ?」
朝話した看護師さんが屋上に行っていない俺を見かけたからか聞いてくる。
「...そうなんです」
ベッドの上で芹を待つ。
それを聞いた看護師さんは交代で帰り、俺はそのまま窓の外を眺める。
けど時間になっても芹は来ない。
気づけば花火が打ち上げられて、19時になったのだと気づいた。
「...花火、終わるまでには来るかな」
窓に手を当て、少し遠い花火を見つめる。
15分して花火は終わった。
「...海都くん、あのね、急なんだけど君の緊急手術が決まったの」
花火が終わりぼーとしている俺に看護師さんは静かに告げた。
「...俺、芹を待ってるんです」
そう言うと看護師はなぜか泣きそうな顔をしながら、
「...君の命に関わることよ。今、ドナーが見つかって、あなたの緊急手術が決まったわ。今先生は準備に取り掛かってる。急いで」
そう言った看護師はそのまま呆然としてる俺を横たわらせ麻酔を打ち込んだ。
「芹がきたら伝えておいてくれませんか?手術になったって。俺生きて帰ってくるからって」
「....そうね、伝えるわ」
それを聞き、俺は目を閉じた。
再び目を開けて、医者が手術は成功しましたと言った時、俺は今後も芹と生きていけるんだと、涙をこぼした時に信じられない画面が目に飛び込んできた。
隣の人が見ていたテレビから音はないけれど、そこには俺の知る芹が映っていた。
「昨夜午後18:30頃、モデルをしていたセリこと中條芹くん、17歳が刺され、死亡が確認されました。なお犯人は____」
そんな字幕と共に芹の顔写真が出ている。
「せ、んせ」
言葉にならないまま画面を見続けると、医者の先生は視線の先に気づき、苦い顔のまま説明し出した。
「....彼は最後まで抵抗をし、とにかく心臓だけは必死に守り通していたそうです...」
先生は言葉にはしなかったが、芹の刺された数は全部で5箇所。
警察が止めるまで息があり、お腹、横腹、首とかは刺されていたにも関わらず、胸だけはと男の子は鞄で庇っており、刺されたにも関わらず教科書等で守られていたそう。
「...これ、芹くんから君に渡してくれと」
そう言って出されたのは一枚の紙。
なにと聞かなくてもわかる。これは芹が撮った写真だ。
海をバックにした砂のお城の写真だった。
それは幼少期、アニメで見たシーンだった。
そして海都が芹に言った言葉だった。
砂遊びという外に長時間いられない海都は芹に言ったことがある。
「海の砂のお城を見てみたい」って
それは綺麗な海と、すごく大きな城だった。
「....芹っ」
すごく自信ありげな顔をして俺に渡す予定だったのだろうか。
俺は笑顔ですごいと騒ぎ立てていただろうか。
でも、もうそれは叶わないことで。
海都と芹は初めて会ったのは4歳の頃。
それでも一緒にいた時間はきっと長いようでとても短い。
きっと3年間にも満たないだろう。
これからだったのだ。
海都が東京に来て残りの時間を芹と過ごしたかった。
それだけなのに。
違う形で海都は生き残り、これからも生き続けるはずの芹が死んだ。
それも無惨な形で。
俺は叫んで、吐いて、泣いて、過ごした。
それでも生きて過ごしていて気づいたことはあった。
犯人は言った。セリくんにモデルをやめて見られなくなるなら死んでほしかったと。
でも芹は違う形で生きている。
俺だけがわかる。感じてる。芹の心臓が俺の中で動くたび、生活をするたびに芹を感じた。
俺はみかんが嫌いだった。でも今は美味しいと感じる。
俺は左利きだった。今では右手でも書ける。
芹はずっと俺が生きている限り一緒に生きていける。
朝話した看護師さんが屋上に行っていない俺を見かけたからか聞いてくる。
「...そうなんです」
ベッドの上で芹を待つ。
それを聞いた看護師さんは交代で帰り、俺はそのまま窓の外を眺める。
けど時間になっても芹は来ない。
気づけば花火が打ち上げられて、19時になったのだと気づいた。
「...花火、終わるまでには来るかな」
窓に手を当て、少し遠い花火を見つめる。
15分して花火は終わった。
「...海都くん、あのね、急なんだけど君の緊急手術が決まったの」
花火が終わりぼーとしている俺に看護師さんは静かに告げた。
「...俺、芹を待ってるんです」
そう言うと看護師はなぜか泣きそうな顔をしながら、
「...君の命に関わることよ。今、ドナーが見つかって、あなたの緊急手術が決まったわ。今先生は準備に取り掛かってる。急いで」
そう言った看護師はそのまま呆然としてる俺を横たわらせ麻酔を打ち込んだ。
「芹がきたら伝えておいてくれませんか?手術になったって。俺生きて帰ってくるからって」
「....そうね、伝えるわ」
それを聞き、俺は目を閉じた。
再び目を開けて、医者が手術は成功しましたと言った時、俺は今後も芹と生きていけるんだと、涙をこぼした時に信じられない画面が目に飛び込んできた。
隣の人が見ていたテレビから音はないけれど、そこには俺の知る芹が映っていた。
「昨夜午後18:30頃、モデルをしていたセリこと中條芹くん、17歳が刺され、死亡が確認されました。なお犯人は____」
そんな字幕と共に芹の顔写真が出ている。
「せ、んせ」
言葉にならないまま画面を見続けると、医者の先生は視線の先に気づき、苦い顔のまま説明し出した。
「....彼は最後まで抵抗をし、とにかく心臓だけは必死に守り通していたそうです...」
先生は言葉にはしなかったが、芹の刺された数は全部で5箇所。
警察が止めるまで息があり、お腹、横腹、首とかは刺されていたにも関わらず、胸だけはと男の子は鞄で庇っており、刺されたにも関わらず教科書等で守られていたそう。
「...これ、芹くんから君に渡してくれと」
そう言って出されたのは一枚の紙。
なにと聞かなくてもわかる。これは芹が撮った写真だ。
海をバックにした砂のお城の写真だった。
それは幼少期、アニメで見たシーンだった。
そして海都が芹に言った言葉だった。
砂遊びという外に長時間いられない海都は芹に言ったことがある。
「海の砂のお城を見てみたい」って
それは綺麗な海と、すごく大きな城だった。
「....芹っ」
すごく自信ありげな顔をして俺に渡す予定だったのだろうか。
俺は笑顔ですごいと騒ぎ立てていただろうか。
でも、もうそれは叶わないことで。
海都と芹は初めて会ったのは4歳の頃。
それでも一緒にいた時間はきっと長いようでとても短い。
きっと3年間にも満たないだろう。
これからだったのだ。
海都が東京に来て残りの時間を芹と過ごしたかった。
それだけなのに。
違う形で海都は生き残り、これからも生き続けるはずの芹が死んだ。
それも無惨な形で。
俺は叫んで、吐いて、泣いて、過ごした。
それでも生きて過ごしていて気づいたことはあった。
犯人は言った。セリくんにモデルをやめて見られなくなるなら死んでほしかったと。
でも芹は違う形で生きている。
俺だけがわかる。感じてる。芹の心臓が俺の中で動くたび、生活をするたびに芹を感じた。
俺はみかんが嫌いだった。でも今は美味しいと感じる。
俺は左利きだった。今では右手でも書ける。
芹はずっと俺が生きている限り一緒に生きていける。
0
あなたにおすすめの小説
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
オレンジの奇跡~夕と凪、僕らが交わる世界~
けいこ
BL
両親が営む小さな旅館『久我屋』を手伝いながら、BL小説を書いている僕。
穏やかにゆっくりと過ごす日常に満足していたある日、僕の前にとんでもなく魅力的な男性が現れた。
今まで1度も誰かを好きになったことがない僕にとっては、この感情が何なのか理解できない。
複雑に揺れ動く心に逆らえず、今までとは明らかに違う現実に戸惑いながら、僕の心はゆっくり溶かされていく……
初恋ミントラヴァーズ
卯藤ローレン
BL
私立の中高一貫校に通う八坂シオンは、乗り物酔いの激しい体質だ。
飛行機もバスも船も人力車もダメ、時々通学で使う電車でも酔う。
ある朝、学校の最寄り駅でしゃがみこんでいた彼は金髪の男子生徒に助けられる。
眼鏡をぶん投げていたため気がつかなかったし何なら存在自体も知らなかったのだが、それは学校一モテる男子、上森藍央だった(らしい)。
知り合いになれば不思議なもので、それまで面識がなかったことが嘘のように急速に距離を縮めるふたり。
藍央の優しいところに惹かれるシオンだけれど、優しいからこそその本心が掴みきれなくて。
でも想いは勝手に加速して……。
彩り豊かな学校生活と夏休みのイベントを通して、恋心は芽生え、弾んで、時にじれる。
果たしてふたりは、恋人になれるのか――?
/金髪顔整い×黒髪元気時々病弱/
じれたり悩んだりもするけれど、王道満載のウキウキハッピハッピハッピーBLです。
集まると『動物園』と称されるハイテンションな友人たちも登場して、基本騒がしい。
◆毎日2回更新。11時と20時◆
既読無視の年下幼馴染みの部屋に行ったら、アイドルグッズだらけだった。しかも推しは俺
スノウマン(ユッキー)
BL
国民的アイドルの朝比奈 春人(あさひな はると)はいつもラインを既読無視する年下の幼馴染、三上 直(みかみ なお)の部屋をとある理由で訪れる。すると部屋の中はアイドルのグッズだらけだった、しかも全部春人の。
『幼馴染の弟ポジジョン×国民的アイドルのお兄さん』になる前のドタバタコメディです。
【完結】期限付きの恋人契約〜あと一年で終わるはずだったのに〜
なの
BL
「俺と恋人になってくれ。期限は一年」
男子校に通う高校二年の白石悠真は、地味で真面目なクラスメイト。
ある日、学年一の人気者・神谷蓮に、いきなりそんな宣言をされる。
冗談だと思っていたのに、毎日放課後を一緒に過ごし、弁当を交換し、祭りにも行くうちに――蓮は悠真の中で、ただのクラスメイトじゃなくなっていた。
しかし、期限の日が近づく頃、蓮の笑顔の裏に隠された秘密が明らかになる。
「俺、後悔しないようにしてんだ」
その言葉の意味を知ったとき、悠真は――。
笑い合った日々も、すれ違った夜も、全部まとめて好きだ。
一年だけのはずだった契約は、運命を変える恋になる。
青春BL小説カップにエントリーしてます。応援よろしくお願いします。
本文は完結済みですが、番外編も投稿しますので、よければお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる