252 / 305
混血系大公編:第三部
01
「わー!でっかいねぇ!」
私とビョルンは、帝都が誇る皇城の前に立っていた。
もちろん、ヴァレさん…こと皇帝陛下との約束を果たすためだ。とはいえ、来たからってすぐにお城に入れてもらえるわけじゃないんだけどね。迎えの馬車を断っちゃったから、城門前の受付で入城許可証をもらわなければいけない。
辻馬車から降りてずらーっと並んだ列を見た時は、『迎えの馬車、断るんじゃなかった…』ってちょっぴり後悔したものだけれど。
まぁ、隣にビョルンもいてくれるしね。のんびり順番が来るのを待ちましょうか。
それでは時間もあることだし、久しぶりに今までの経緯をおさらいしようかな。
・日本でゲーム好きなアラフォー会社員だった「私」が、車に轢かれて異世界転移をかます。
・剣と魔法ありの、中世ヨーロッパっぽい雰囲気の異世界に転移。
・言語理解チートあり。文字チートはなし。
・物に魔術効果を付与できる「附術(ふじゅつ)」という、ある意味チート能力あり。
・生きるためお金を稼ぐため、転移時に最初に出会った傭兵団に所属。様々な任務をこなすうちに、世界規模の脅威『ボナ・ノクテム』が発生する。
・任務中に仲良くなった仲間たちと共に、『ボナ・ノクテム』の元凶である『対するもの(コントラ)』と呼ばれる敵対勢力と戦い、退ける。
・とりあえず脅威は去って1年。そこそこ穏やかに過ごしていた所で、なんやかやあって、同じ傭兵団の北欧系イケメン戦士2人に求婚される。
・脅さr…押し切られて、2人と結婚を決意。ここ複婚OKな国だったよビックリ。でも諸事情あってすぐに婚姻手続きができなかったため、婚約状態で同棲スタート。
・諸事情あって、友人の中東系イケメン魔術師に体を診察してもらったら、なんと自分が過去に大事件を起こしたエルフ魔術師が作ったホムンクルス…人工生命体だということが発覚。ただ体は普通の人間と一緒みたいなので、あんまり気にしないようにしてるけどね。
・そこからひと悶着あって、友人の魔術師にも求婚された上に、またも押し切られて婚約。彼とも半同棲スタート。
・その後もなんやかんや事件に巻き込まれ…ボナ・ノクテムの時の仲間だった、混血系イケメンの皇帝陛下と再会。
・なにか裏でいろいろ暗躍している人たちがいるのか?自然界ではありえないサイズのスライムが帝都5番街に出現し、弓術を得意とする皇帝陛下も仲間にしてこれを撃破。
・陛下たちは私たちの知らない情報を掴んでいるのか…自身の暗殺を危惧していて、私に附術による防犯システムの構築を依頼してきた。断りたかったんだけど、国のトップを張る人たちに敵うはずもなく…しばらく皇城に泊まり込みでシステムを構築しないといけなくなったので、入城許可をもらうための列に並んでいるところだ。
うーん、長い回想だった!お付き合いいただきありがとうございます。
いろいろ思い返しているうちに、列は少しずつ進んでいる。それでもまだ10組くらいは前にいて、後ろにさらに5組くらい待ち人が増えている。
「ホントにすごい人ねぇ。今日って何かイベントがあるのかな?」
私の発言に、ビョルンは顎を撫でながら首を傾げた。
「どうだろうな?だが一般開放されているところは、人気の観光スポットらしいからな。俺が見た感じでは、長い列ができていることが多いぞ」
「へぇ、そうなんだ。あ、じゃあ仕事で来るときも、こんなに長い列に並んでいるの?」
「仕事の時は、事前に許可証をもらって西門から入城するんだ。その方が騎士隊の待機所が近いからな」
「へぇ~」
「まぁ最近は、許可証を提示する前に通されるようになっちまったが…」
「あははッ!顔パスってやつね、あなた目立つもんねぇ」
ビョルンは2m近い、筋骨隆々の大男だ。その上についている顔もイケメンとくれば、目立たないわけがない。列に並んでいる人たちの中でも、ビョルンのことをチラチラ見ながらナイショ話している気配がするものね。
「やれやれ、もう悪いことはできんなぁ」
「んふふ。やだ、何か企んでたの?」
「それは秘密だ」
「あら、妻にも言えない秘密なんて…」
怪しい、と言いかけたところで「はっ!」と気づいて言葉を止めた。
これ、ビョルン連れて行けば西門から入れちゃうんじゃない?いま受付中の人が手間取っているのか、列の進みが鈍くなっちゃったし。西門の受付が並んでなきゃの話だけど…。
ただ私がそう考えたことに気づいたのか、ビョルンはやれやれというように首を振った。
「…言っておくが、西門に受付はないぞ。本来は関係者しか通らない場所だが、仕事の時は事前に許可をもらっているから門番に通してもらえるんだ。そこにも陛下から通達が行っていれば、可能性はなくもないが…」
「あ、やめとこ」
私は即座に自分の考えを却下した。
自分たちの後ろにも、続々と人が並んで行っている。一度抜けて、やっぱり西門がダメで並び直しになったら目も当てられない。大人しく順番を待とう。
私とビョルンは、帝都が誇る皇城の前に立っていた。
もちろん、ヴァレさん…こと皇帝陛下との約束を果たすためだ。とはいえ、来たからってすぐにお城に入れてもらえるわけじゃないんだけどね。迎えの馬車を断っちゃったから、城門前の受付で入城許可証をもらわなければいけない。
辻馬車から降りてずらーっと並んだ列を見た時は、『迎えの馬車、断るんじゃなかった…』ってちょっぴり後悔したものだけれど。
まぁ、隣にビョルンもいてくれるしね。のんびり順番が来るのを待ちましょうか。
それでは時間もあることだし、久しぶりに今までの経緯をおさらいしようかな。
・日本でゲーム好きなアラフォー会社員だった「私」が、車に轢かれて異世界転移をかます。
・剣と魔法ありの、中世ヨーロッパっぽい雰囲気の異世界に転移。
・言語理解チートあり。文字チートはなし。
・物に魔術効果を付与できる「附術(ふじゅつ)」という、ある意味チート能力あり。
・生きるためお金を稼ぐため、転移時に最初に出会った傭兵団に所属。様々な任務をこなすうちに、世界規模の脅威『ボナ・ノクテム』が発生する。
・任務中に仲良くなった仲間たちと共に、『ボナ・ノクテム』の元凶である『対するもの(コントラ)』と呼ばれる敵対勢力と戦い、退ける。
・とりあえず脅威は去って1年。そこそこ穏やかに過ごしていた所で、なんやかやあって、同じ傭兵団の北欧系イケメン戦士2人に求婚される。
・脅さr…押し切られて、2人と結婚を決意。ここ複婚OKな国だったよビックリ。でも諸事情あってすぐに婚姻手続きができなかったため、婚約状態で同棲スタート。
・諸事情あって、友人の中東系イケメン魔術師に体を診察してもらったら、なんと自分が過去に大事件を起こしたエルフ魔術師が作ったホムンクルス…人工生命体だということが発覚。ただ体は普通の人間と一緒みたいなので、あんまり気にしないようにしてるけどね。
・そこからひと悶着あって、友人の魔術師にも求婚された上に、またも押し切られて婚約。彼とも半同棲スタート。
・その後もなんやかんや事件に巻き込まれ…ボナ・ノクテムの時の仲間だった、混血系イケメンの皇帝陛下と再会。
・なにか裏でいろいろ暗躍している人たちがいるのか?自然界ではありえないサイズのスライムが帝都5番街に出現し、弓術を得意とする皇帝陛下も仲間にしてこれを撃破。
・陛下たちは私たちの知らない情報を掴んでいるのか…自身の暗殺を危惧していて、私に附術による防犯システムの構築を依頼してきた。断りたかったんだけど、国のトップを張る人たちに敵うはずもなく…しばらく皇城に泊まり込みでシステムを構築しないといけなくなったので、入城許可をもらうための列に並んでいるところだ。
うーん、長い回想だった!お付き合いいただきありがとうございます。
いろいろ思い返しているうちに、列は少しずつ進んでいる。それでもまだ10組くらいは前にいて、後ろにさらに5組くらい待ち人が増えている。
「ホントにすごい人ねぇ。今日って何かイベントがあるのかな?」
私の発言に、ビョルンは顎を撫でながら首を傾げた。
「どうだろうな?だが一般開放されているところは、人気の観光スポットらしいからな。俺が見た感じでは、長い列ができていることが多いぞ」
「へぇ、そうなんだ。あ、じゃあ仕事で来るときも、こんなに長い列に並んでいるの?」
「仕事の時は、事前に許可証をもらって西門から入城するんだ。その方が騎士隊の待機所が近いからな」
「へぇ~」
「まぁ最近は、許可証を提示する前に通されるようになっちまったが…」
「あははッ!顔パスってやつね、あなた目立つもんねぇ」
ビョルンは2m近い、筋骨隆々の大男だ。その上についている顔もイケメンとくれば、目立たないわけがない。列に並んでいる人たちの中でも、ビョルンのことをチラチラ見ながらナイショ話している気配がするものね。
「やれやれ、もう悪いことはできんなぁ」
「んふふ。やだ、何か企んでたの?」
「それは秘密だ」
「あら、妻にも言えない秘密なんて…」
怪しい、と言いかけたところで「はっ!」と気づいて言葉を止めた。
これ、ビョルン連れて行けば西門から入れちゃうんじゃない?いま受付中の人が手間取っているのか、列の進みが鈍くなっちゃったし。西門の受付が並んでなきゃの話だけど…。
ただ私がそう考えたことに気づいたのか、ビョルンはやれやれというように首を振った。
「…言っておくが、西門に受付はないぞ。本来は関係者しか通らない場所だが、仕事の時は事前に許可をもらっているから門番に通してもらえるんだ。そこにも陛下から通達が行っていれば、可能性はなくもないが…」
「あ、やめとこ」
私は即座に自分の考えを却下した。
自分たちの後ろにも、続々と人が並んで行っている。一度抜けて、やっぱり西門がダメで並び直しになったら目も当てられない。大人しく順番を待とう。
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。