異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第三部

02

 私は改めて、皇城を見上げた。 
 あれって物見台の役割があるのかな?各所に聳え立つ尖塔は、天を突くような大きさだ。近くから見ているから、視線を上げて行ってもなかなか天頂が見えない。のけぞるようにして見上げていたら、隣にいたビョルンは私が倒れるとでも思ったのか、サッと背中に腕を差し出してきた。
 子ども扱い?
 さすがに倒れはしないわよ…と思いつつふと悪戯心が湧いて、私はそのまま後ろに倒れた。
「おっと」
 ぐるんと視界が上に移動して、目に入って来たのは青い空と、白い雲。くすんだ金色の髪と、少し見開かれた深く青い瞳。
 背中を支える力強い腕に安心して身を任せながら、ニヤッと笑いかける。するとそんな私を見て、彼もまた目を細めてみせた。
「まったく…毎日見ているだろう?」
 そのまま支えられて立たせてもらいながら、私は「まぁねぇ」と同意した。
 皇城は小高い丘の上に建っている。かつ建物自体もそりゃあ立派で背も高いので、1~5番街のどこからでもだいたい見えるようになっているのだ。
「でも目の前にするとさ、やっぱ壮大だよねぇ」
「まぁ、確かにな」
「お城の土地だけで、ちょっとした村くらいのスペースあるわよね」
「そうだな」
「しばらくここで過ごすのかー。…大丈夫かな?」
 最後の部分はほぼ独り言のつもりで、小声で言ったんだけど。聞き逃さなかったみたいで、大きな体を屈めて顔を近づけてきた。
「何だって?」
「ああ、いや、大丈夫かなって。ホラ、こんなに広いと私なんか城内で行方不明になっちゃわないかな~って」
 私の言葉に、ビョルンは口をパカっと開けて笑った。
「わははっ!まさか。いくらお前でもそんな…」
 とそこまで言いかけて、彼は急に真顔になる。
「いや、お前なら、ありうるか…?」
 …私の方向感覚に対する評価は、地に落ちているようだ。


 そんな雑談をしていると、列も進んであと5組くらいまで迫ってきていた。
 受付の様子も見えるようになって、文官っぽい恰好の人が何やら聞き取ったり書きとったりしているのを、大変そうだなーなんて思いつつ聞き耳を立てる。
 ふむふむ。受付で身分証を見せて、何か質問されて答えてるっぽい。「今日の目的は~…」ってうっすら聞こえてきたから、入城目的を質問されるのかな。入国審査みたいな感じか。
 私の場合、傭兵団のエンブレムを身分証代わりにしちゃうことも多いんだけど…いちおう、ウチの傭兵団は有名だからね…ここでは正式な身分証である帝都民証を提出した方がいいかな。準備しとこうっと。
 バッグの中をガサガサ探るうちに、列が進んだみたいだ。ビョルンに促されて前に少し進む。
 あとは質問にどう答えるか、頭の中でシミュレーションしておこうっと。
 入城目的は、「仕事のため」でいいかな?皇族のプライベートエリアの防犯システムを…なんて言ったらまずいか。じゃあ陛下から依頼を受けて…と答える自分を想像して、めっちゃ嘘くさいなと思い直す。真実なんだけど、私みたいなド平民がいきなり「皇帝陛下から直々に依頼されて参りました!」とか言い出したら、私が受付ならまず詐欺を疑うわ。絶対信じんわ。
 うんうん悩んでいるうちに、また列が進んだ。あー、そもそもこの依頼、極秘の可能性あるかも?あれ、やっぱ馬車頼まなきゃいけなかったのかな?イラっときて勢いで断っちゃったけど、失敗だったかな?いかん、悩み過ぎてわからなくなってきた。
 とりあえずビョルンに相談を…と思って見上げると、彼は門の方に視線を向けていた。
 何を見てるのかな?と思って視線を追うと、ちょうど門の所から騎士の恰好をした人たち数名、出てくるところだった。
 それと同時に並んでいる列のそこかしこから、「きゃあ」と密やかながら黄色い歓声があがる。
 騎士の方々みなさん、背が高くてガタイもよくて、制服がバッチリ決まってかっこいいよね。私も悩み事をしばし忘れて、見とれてしまう。彼らは難しい顔をして何かを話し合っているようだけれど、そんな姿も絵になるね。
 そのうち他の騎士に何か指示を飛ばしながら、ひときわゴージャスな騎士が出てきた。周囲からさらに歓声が上がる。制服の装飾もそうなんだけど、ブルネットの髪と少し濃い目の肌は、典型的なお貴族様って感じで華やかだ。それに遠目でもわかるくらい、顔立ちがハッキリしていてイケメンで…、…あれ、あの人どっかで見たことあるような。
「ねぇねぇビョルン、あの人どっかで見たことない?」
 目いっぱい背伸びをしてビョルンに耳打ちすると、彼は呆れたような視線をこちらに向けてきた。
「は?おいおい、忘れちまったのか?あの人は…」
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