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混血系大公編:第三部
06
それからヨハネスさんの案内で、騎士隊の訓練場に向かった。中に入るのはお邪魔になるので、外から見学させてもらうのだ。
「中に入っても構わぬぞ」
「突然ですし、遠慮しておきます。それに、ビョルンがいるから騒ぎになりそうですし…」
そう言うと、ビョルンはちょっと心外だというように鼻を鳴らした。
「おい、俺はロルフとは違って、ちゃんと『待て』ができる男だぞ」
「もう、なに言ってるの。ビョルンはよくても、騎士さんに勝負を挑まれちゃうかもしれないでしょ」
ビョルンは国内最強格で名の知れた戦士だからね。普通に生活している時だって、武者修行中の戦士に戦いを挑まれることがちょいちょいあるんだから。
「戦闘職ってけっこうな確率で『戦闘中毒(バトルジャンキー)』がいるからね。そんな人に見つかったら、長くなっちゃうでしょ」
ヴァレさんのお仕事があとどれくらいかかるかはわからないけど、多分そこまで待たされないと思うのよね。
「む…そうだな。じゃあお前の陰にかくれて、目立たないようにするか」
「無理ー!そんなおっきな体隠せないわよ。ヨハネスさんよろしく」
「略すな!私でも、こんなでかい図体を隠せるか。だがお前の意見は最もだ。少し離れたところから見学しよう」
そういって見晴らしのいい場所へ案内してくれる。ちょっと距離はあるけど、訓練場
全体を見渡せる見晴らしのいい場所だ。
「うわぁ、広いですねぇ!」
当然だけど訓練場は、ウチの傭兵団とは比べ物にならないくらい広い。その中でもたくさんの騎士さんたちが、得物を打ち合い、訓練に励んでいる。
「ここは見ての通り対人戦用の訓練場だが、西門から出てすぐの所には馬上訓練のできる広場もあるぞ」
「ひえー。さすが皇城…規模が違いますねぇ。ビョルンはそっちに行ったことあるの?」
「何度かな。だが俺たちは馬上で剣を振るう機会は少ないし、大規模な集団戦をすることもあまりないからな。こっちの訓練場で充分だ」
確かにねー。所属の傭兵団員を全部投入すれば、大規模戦も可能だろうけど…もう1回ボナ・ノクテムが起きない限り、そんな機会は訪れないわよね。
「機会が少ないと言っても、ゼロではないだろう。今度合同訓練で来た時に、馬上訓練もやってみるか?私がいい馬を手配しておいてやる」
「ほう?それはありがたい。楽しみだ」
「…いや、待て。ビョルンの得物はあの大剣だったな。あんなもの馬上で振るわれたら、ウチの馬が潰されてしまう。前言撤回だ、やりたければ自分で馬を手配してから来い」
「自分が誘ったのに…」
ちょっとひどいと思ったけれど、まぁ事実だからね。ビョルンの体重&剣を振るう勢いに耐えられる馬は、多分ほとんどいない。それこそ魔獣と掛け合わせたような、特別な馬(とんでもなく高価)でもない限りはね。
ヨハネスさんの物言いに、ビョルンもわかっていたのか苦笑して了承した。
雑談をしながら見学をしていると、騎士さんが数名、こちらへ駆け寄ってきた。皆さん顔が、こう、興奮を抑えられない感じで目がキラキラしている…。
「ヨハネスシュレーゲルスタインハウゼン隊長、お客人への発言の許可を願います!」
「あー…、許可する」
察したヨハネスさんが躊躇いつつも許可すると、騎士さんたちはビョルンに向かって一斉に頭を下げた。
「ボナ・ノクテムの英雄ビョルン殿ですよね!どうか我らと、手合わせをお願いいたします!」
ほら、やっぱり。騎士団の中にも『戦闘中毒(バトルジャンキー)』は存在するのよ…。
彼らはどうやらビョルンに憧れていて、以前から手合わせしたいと願っていたらしい。「自分たちは、前回ビョルン殿の来城時に外勤だったもので、お目通りが叶わなかったのです!」
「次の来城時に、お会いできるとも限らず…お時間があれば、どうか許可をいただけないでしょうか!」
だからか、すごく必死に頼み込んでいる。これはちょっとやそっとじゃ引かない感じがするぞ。
さあビョルン、どう返答する?
ヴァレさんの方はもうちょっと時間がかかりそうだし、少しくらい時間を取ってもいいと思うけれど。ぶっちゃけ用事があるのは私だし…究極、ビョルンは後からまた合流してもいい気がするしね。
ヨハネスさんも私に同意見なのか、騎士さんたちを止める様子はなく、ビョルンの判断に任せるようだ。
そのビョルンは困ったように頭をぽりぽりかくと、ちらりと私に視線をくれた。
「あー、その申し出は嬉しいが…今日は妻の付き添いなもので。あまり自由にできるわけじゃないんだ」
あっ、逃げやがった!
騎士さんたちはビョルンに向けた熱意そのまま、私の方へグルンと向き直った。
怖い!
「奥様!」
「は、はい?!」
「一戦でも構いませんので、夫君との手合わせの許可をいただけないでしょうか!」
ひぃ、目が必死すぎて怖い!この人らどんだけビョルンのこと好きなの?!
「中に入っても構わぬぞ」
「突然ですし、遠慮しておきます。それに、ビョルンがいるから騒ぎになりそうですし…」
そう言うと、ビョルンはちょっと心外だというように鼻を鳴らした。
「おい、俺はロルフとは違って、ちゃんと『待て』ができる男だぞ」
「もう、なに言ってるの。ビョルンはよくても、騎士さんに勝負を挑まれちゃうかもしれないでしょ」
ビョルンは国内最強格で名の知れた戦士だからね。普通に生活している時だって、武者修行中の戦士に戦いを挑まれることがちょいちょいあるんだから。
「戦闘職ってけっこうな確率で『戦闘中毒(バトルジャンキー)』がいるからね。そんな人に見つかったら、長くなっちゃうでしょ」
ヴァレさんのお仕事があとどれくらいかかるかはわからないけど、多分そこまで待たされないと思うのよね。
「む…そうだな。じゃあお前の陰にかくれて、目立たないようにするか」
「無理ー!そんなおっきな体隠せないわよ。ヨハネスさんよろしく」
「略すな!私でも、こんなでかい図体を隠せるか。だがお前の意見は最もだ。少し離れたところから見学しよう」
そういって見晴らしのいい場所へ案内してくれる。ちょっと距離はあるけど、訓練場
全体を見渡せる見晴らしのいい場所だ。
「うわぁ、広いですねぇ!」
当然だけど訓練場は、ウチの傭兵団とは比べ物にならないくらい広い。その中でもたくさんの騎士さんたちが、得物を打ち合い、訓練に励んでいる。
「ここは見ての通り対人戦用の訓練場だが、西門から出てすぐの所には馬上訓練のできる広場もあるぞ」
「ひえー。さすが皇城…規模が違いますねぇ。ビョルンはそっちに行ったことあるの?」
「何度かな。だが俺たちは馬上で剣を振るう機会は少ないし、大規模な集団戦をすることもあまりないからな。こっちの訓練場で充分だ」
確かにねー。所属の傭兵団員を全部投入すれば、大規模戦も可能だろうけど…もう1回ボナ・ノクテムが起きない限り、そんな機会は訪れないわよね。
「機会が少ないと言っても、ゼロではないだろう。今度合同訓練で来た時に、馬上訓練もやってみるか?私がいい馬を手配しておいてやる」
「ほう?それはありがたい。楽しみだ」
「…いや、待て。ビョルンの得物はあの大剣だったな。あんなもの馬上で振るわれたら、ウチの馬が潰されてしまう。前言撤回だ、やりたければ自分で馬を手配してから来い」
「自分が誘ったのに…」
ちょっとひどいと思ったけれど、まぁ事実だからね。ビョルンの体重&剣を振るう勢いに耐えられる馬は、多分ほとんどいない。それこそ魔獣と掛け合わせたような、特別な馬(とんでもなく高価)でもない限りはね。
ヨハネスさんの物言いに、ビョルンもわかっていたのか苦笑して了承した。
雑談をしながら見学をしていると、騎士さんが数名、こちらへ駆け寄ってきた。皆さん顔が、こう、興奮を抑えられない感じで目がキラキラしている…。
「ヨハネスシュレーゲルスタインハウゼン隊長、お客人への発言の許可を願います!」
「あー…、許可する」
察したヨハネスさんが躊躇いつつも許可すると、騎士さんたちはビョルンに向かって一斉に頭を下げた。
「ボナ・ノクテムの英雄ビョルン殿ですよね!どうか我らと、手合わせをお願いいたします!」
ほら、やっぱり。騎士団の中にも『戦闘中毒(バトルジャンキー)』は存在するのよ…。
彼らはどうやらビョルンに憧れていて、以前から手合わせしたいと願っていたらしい。「自分たちは、前回ビョルン殿の来城時に外勤だったもので、お目通りが叶わなかったのです!」
「次の来城時に、お会いできるとも限らず…お時間があれば、どうか許可をいただけないでしょうか!」
だからか、すごく必死に頼み込んでいる。これはちょっとやそっとじゃ引かない感じがするぞ。
さあビョルン、どう返答する?
ヴァレさんの方はもうちょっと時間がかかりそうだし、少しくらい時間を取ってもいいと思うけれど。ぶっちゃけ用事があるのは私だし…究極、ビョルンは後からまた合流してもいい気がするしね。
ヨハネスさんも私に同意見なのか、騎士さんたちを止める様子はなく、ビョルンの判断に任せるようだ。
そのビョルンは困ったように頭をぽりぽりかくと、ちらりと私に視線をくれた。
「あー、その申し出は嬉しいが…今日は妻の付き添いなもので。あまり自由にできるわけじゃないんだ」
あっ、逃げやがった!
騎士さんたちはビョルンに向けた熱意そのまま、私の方へグルンと向き直った。
怖い!
「奥様!」
「は、はい?!」
「一戦でも構いませんので、夫君との手合わせの許可をいただけないでしょうか!」
ひぃ、目が必死すぎて怖い!この人らどんだけビョルンのこと好きなの?!
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