異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

文字の大きさ
7 / 305
北欧系戦士兄弟編

07

「わかった。する」
「おっ」
「あ?」
「結婚。ビョルンとロルフと、する」
 観念して、私は答えた。
 もーなんか、いろいろ納得はできないんだけど!ロルフの目つきが相当ヤバかったからね、断ったら無事じゃすまなかったと思われる。Marry or DieならMarryを選ぶよ!
 私の答えを聞いたビョルンはホッとしたような顔をし、ロルフの目から殺気が晴れた。
「よし!よーし!言ったな?取り消しは効かねぇぞ?撤回したらブッ殺すぞ?わかってんだろーな!」
「わかってるよ。私は約定を違えないのが信条なの。知ってるでしょ?」
 ロルフの顔にパッと喜色が浮かぶ。こういう無邪気な喜び方するから、憎めないのよね。
「…ッそうだな!ああ、もちろん知ってる!離婚もナシだからな?いいな!」
「ハイハイ、わかってるって。だからナイフを仕舞ってくれるかしら、旦那様?」
 そう呼びかければ、わずかに惚けた顔をしたあと、ロルフの目にジワッと色気が滲んだ。
「…もちろんだ、シャーラ」
 そう言って、ナイフの刃先をツゥっとあごまで滑らせた。
 皮膚が切れるか切れないかの、ギリギリの刺激。さらにおへその下あたりに硬いものをグッと押し付けられ、お腹の奥がゾクゾクする。
「ん…ッ」
 思わず声が漏れてしまい、ロルフはニヤニヤしながらナイフを仕舞い、私の上から降りた。
「おい秘書!結婚するにゃ何すりゃいいんだ?」
「わぁビックリ。ご存知ないのに結婚すると仰ったんです?」
「うるせぇ、さっさと教えろ!」
 ロルフがシウと話し始めたのを見て、ふぅっと一息ついた。首を触って血が出てないことを確かめる。
 あーーー、疲れた。なんか負けた気がするし。『んッ』ってなんだよ、くそ。
「大丈夫か?」
 ビョルンが差し出した手を取り、身を起こす。
「大丈夫に見えますぅ?」
「ああ、悪かったな。だがよかった。今回ばかりはロルフを殺らにゃならんかと肝を冷やした」
 それに煽りすぎだぞ、と注意を受けた。
 まぁ確かにね、ロルフの想いに気付きながら、追い詰めた自覚はある。その結果がコレなんだから、自業自得ってものだ。もしあの時、ロルフの想いを否定していたら?彼は激情を抑えられずに、ナイフを引こうとしただろう。そうしたらビョルンは全力で止めただろうし、そうなればロルフも無事ではすまなかっただろう。
 ビョルンはロルフの想いを否定せずに、私が了承するように話を持っていってくれた。それでなんとか、この場が丸く収まったのだ。
「ビョルンはよかったわけ?こんな急に結婚が…3人で決まって」
「恋人期間を楽しめないのは残念だな。だが、いずれはこうなることを望んでいた。だから嬉しいよ」
 そうか、ビョルンは複婚制度が当たり前の世界の人だものね。妻に自分以外の夫がいて、嫉妬とか感じないものなのかな?不思議な感覚。
 首をひねっていると、ビョルンが急に私の前に跪いた。
「な、なに?」
「すまない、俺からのプロポーズがまだだったな」
「えっと、そうだっけ?」
 なんかもう色々お腹いっぱいなんですけど。
 だけど遠慮しようとするこちらにはお構いなしに、ビョルンは私の左手を優しく取った。
「シャーラ、俺の唯一。お前はとても魅力的だから、他にも求婚者は絶えないだろう。それでも、お前の夫となる栄誉にあずからせてほしい」
 深く青い目でこちらを見つめながら、ちゅ、と薬指に口付ける。
 ひぃぃ、何コレさっきと違ってめっちゃまともなプロポーズなんだけど!嬉しいやら恥ずかしいやらで顔がカァっと赤くなり、右手で口を押さえる。
「愛してるよ、俺の女神。結婚してくれ」
 するりと返されて、今度は手のひら。懇願するように、ちゅ、ちゅ、と口付けられる。最後に薬指の腹に唇を寄せて。
 ちろり、熱い感触。
 舐められた…ッ!
「んぅ…ッ」
 口を押さえていたのに、声が漏れ出てしまう。腰がゾクゾクして、足に力が入らなくて、崩れ落ちそうになったところをビョルンに抱き寄せられる。跪いたまま器用に抱えられ、逃げる術を失う。おでこをくっつけてきて、くすんだ金色が顔にかかる。青い、青い瞳に、吸い込まれてしまいそう。
「返事を聞かせてくれ、シャーラ」
「ビョルン…」
 この世界に来た時。気がついたら森の中にいて、魔獣に襲われたところで助け出してくれたのがビョルンだった。任務中なのに一緒に連れて行ってくれて、身寄りがないことを知ると前団長に交渉して、傭兵団の雑用係として雇ってもらえることになった。そこからふとしたきっかけで自分に附術の才能があることに気づいて、みんなと一緒に任務をこなしたり戦ったりできるようになって。紆余曲折あって、今じゃ傭兵団の団長にまでなっちゃったんだけど…。
 今までずっと、この逞しい腕が支えてくれていた。釣り合わない、いつかきっと私じゃない素敵な女性の手を取るのだろうと、気持ちを育てないようにしてきたけれど。こんなふうに差し出されてしまったら…。
 この手を取らない選択肢なんて、ない。
「うん、結婚、しよう?私もビョルンが、好きよ」
 心から微笑んで、答える。
 ビョルンの大きな手が私の頬に触れ、知らぬうちに零れた涙をその唇で吸い。
 ふふ、ヒゲが当たってくすぐったい。
 彼もまた、少し泣きそうな顔で笑ったあと。深く優しい、口づけをくれた。

感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。 そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!? 貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!