異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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中東系エルフ魔術師編

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「何か用だったか?」
「ううん、様子見に来ただけ」
「そうか。シュエンはどうだった?」
「それがビンゴ!でもシュエンの反応はよくわかんないのよねぇ」
「アイツは常に冷静なのはいいが、感情が読み取れんからなぁ。真面目でしっかりした奴なのは確かだが、女性相手に上手く立ち回れるタイプでもないしな」
 その辺はヴィッテさんの頑張りに期待か。まぁ後のことは私は知らん。大人同士の関係だし、口出しすることでもないよね。
「それにしてもビョルン、子どもの相手も上手なのねぇ。さすがだわ」
「そうか?誰が相手でも同じようなものだと思うぞ。相手を見て、対話する。それだけだ」
 コミュ力天元突破か。見習ってほしいわ、2名の男どもに。
 ビョルンと他愛のない会話をしながら、思い出す。子ども達と接していた、優しい横顔。ヒヤリと冷たいものが胸に差し込む。子ども達は可愛い。親御さんたちはただただ幸せなだけじゃない。知っている。知っているけれども。
 そこはまだ、私が辿り着けないところ。
「子ども達、可愛いね」
「そうだなぁ」
「…もし、このまま子どもを作れなかったら。別れてくれていいからね」
 ふと口からついて出た言葉。いつも穏やかなビョルンが、急にビリっとした空気を纏う。そこでやっと、自分の言葉が間違っていたことに気づく。いやだ、私、なんてことを。自分の口を押さえるけれど、出てしまった言葉は戻らない。
 怖くてビョルンを見れないでいると、怒りを抑え込むような重いため息が聞こえた。
「…お前にとって俺は、その程度なんだな」
「ビョルン、ちが…ッ」
「違わない。お前はいつだって、誰でも切り捨てられるようにしている。お前は俺に理想を押し付けると言ったが、お前だってそうだ。お前は自分の理想にそぐわなかったら、俺でもロルフでも切り捨てるつもりだろう?」 
 ビョルンが低い、低い声でそう告げる。否定したいけど、彼の言ったことは的を得ていて、何も反論できない。私は今は自分が1番大切だから、自分を守るためなら、自分以外を切り捨てられる。
「子どもが欲しいかって?そりゃあ欲しいさ。だがそれはお前との子だ。他の女じゃない。お前の腹ん中に俺のをぶちまけて、孕ませて、その腹が膨らむのを…!」
 ビョルンがそこまで言った時、幼い子どもの泣き声が響き渡った。はしゃいでいた子どもが転んでしまったのか、慰めている母親の声が聞こえる。
 それでビョルンは我に返ったのか、片手で目を覆って、重くて長いため息を吐いた。
「…すまん」
「ううん、悪いのは、私だよ」
「違う、そうじゃない。俺が多くを望みすぎているんだ。…頭を冷やして来る」
 そう言って、離れて行ったビョルンの背中を見つめる。
 ああ、失敗した。私はなんてひどいことを言ってしまったんだろう。辛い思いをしているのは私だけじゃない。私たち家族の問題だってのに。
 ジョッキの中に残っていたエールを、一気に煽る。モヤモヤした気持ちをアルコールと一緒に飲み下して、お腹の奥からため息を吐き出した。
 


 それから少し気を取り直して、ロルフを探して歩いた。ビョルンには後で謝り倒すしかない。それでもビョルンが私の事を許せなかったり、嫌になってしまったら、受け入れるしかない。私が悪いんだもの。
 そう覚悟を決めて周囲を見回しながら歩いていると、ロルフがカップを片手に、ウチの壁にもたれかかっているのを見つけた。周囲には喧騒から離れてゆっくりしたい人たちが自然と集まったみたいで、お互いあまり干渉せずに飲んだり食べたりを楽しんでいた。リュートだっけ?ギターみたいな楽器でゆったりした曲を弾いている人もいる。ここはここで、すごくいい雰囲気だね。皆で騒ぐだけが宴会じゃないよね。
 後は当直で飲むのをセーブしてる奴らも、だいたいはこの辺にいるみたい。アンリあいつどこ行った?
「ロルフ、どう?楽しめてる?」
「ああ、問題ねぇよ」
 ゴチ、とジョッキとロルフのカップをぶつけて、またちょっとエールを煽る。会場を彷徨いていると無限に注がれるのよね。でもそろそろセーブしないと危ないかな。許容量超えるととすぐ眠くなっちゃうからなー、私。
 家の壁にもたれかかっていたロルフに並ぶ。肩が触れ合うくらい。こういう距離感も、今では当たり前になったね。
 すると私がいることに気づいたのか、ご近所の方が遠くから手を振って声を掛けてくれた。
「英雄さんたちに乾杯!今日は美味い酒と美味い飯をありがとう!」
 そこかしこで乾杯!の声が上がり、ロルフもちょいっとカップを上げる。周囲で静かに飲んでいた人も、こちらに向けてカップを上げてくれた。
「…思ったより、楽しめてるみたいね」
 ロルフの様子を見る限り、気分を害した様子はない。
「近寄って来る奴がいなきゃァな。…こうやって、陽気に飲み食いしているのを眺めるのは、嫌いじゃねぇ」
 そうやって宴会の様子を眺める目は、少し寂しそうだけれど、とても穏やかで。私の知らない、ロルフだけの大切な思い出があるのかな。
「そっか、よかった」
 ロルフって、酒場のお姉さんは大嫌いだったけど、酒場にはよくいたもんね。単にお酒を飲むためだと思ってたけど、あの光景を見るのが好きだったんだね。
「ロルフの料理ね、みんな絶賛してたよ。ロルフが作ったって言ったらビックリしてた」
「…ヘッ、そうかよ」
 そっけなく言うけど、私にはわかるぞ。照れてるだろ。
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