異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

文字の大きさ
126 / 249
混血系大公編:第一部

08

しおりを挟む
「イスは、何がいい?」
「何でもいい」
 相変わらず、食に興味ないなー。
「自分で食べるものは自分で決めてよー。あ、でもピザも美味しそうじゃない?今日は新鮮なイカがいっぱい入ったからイカがオススメです!って言ってたもんね。こうなったらイカづくしでいくかー。イス、ピザも頼んでシェアしようよ!」
「構わない」
「決まり!すみませーん、注文お願いしまーす!」
 声を掛けると、ちょうど他のお客さんを席に案内し終わったヴィッテさんが、こちらにピュッとやって来た。うーん、ごめん。アンツィラットみあるわー。
 ヴィッテさんに注文を頼んでから、イスとの会話を再開した。
「引っ越した時から、あのヴィッテさんのお母さんが良くしてくれてね。娘さんである彼女も話しやすい子で、仲良くなったの」
 そして我が傭兵団の団員と、周囲が見ててもどかしくなるようなモダモダの恋愛中…。ヴィッテさんは頑張ってアピールしてるんだけど、シュエンがなー、あいつなー、本当に反応がわからん…。誘われたら応じてるし、自分から誘ってもいるみたいなんだけどね。
「イスもよくわかったね?塔所属の魔術師さん、いっぱいいるだろうに」
「塔内のメンバーは全員、名と顔と研究内容は把握している」
「おおん…」
 イス、自分が覚える必要がないと判断した人の名前は、一切覚えないくせに。自分の部下はちゃんと覚えてるのね…。まあ塔長だものね。責任持って務めていらっしゃって、何よりです。
「だが、家が近所ならちょうどいいな」
「何が?」
「バイオトイレのテストだ。ドゥーロの後に責任者になったのが、先ほどのアンツィラットの兄…マシューだ。父親のサイモンはそのサポートだな」
「おい!」
 ヴィッテさんをアンツィラット呼ばわりすんな!
 でもバイオトイレ開発の責任者って、ヴィッテさんのお兄さんだったんだ!世間は狭いね。
「テストする地域をどこにするか、悩んでいた。自分の住む地域に声を掛けるのが1番だろうが、2人ともあまり家に帰ってないから近所との交流もなく、2番街だから地域の賛同が得られるか不明だと」
 ああー、ウチの魔術師も、たまにしか帰って来れないもんね。そりゃご近所さんのことわからないか。
「じゃあ、プレゼンしようよ。ちょうどイスの紹介も兼ねて、地区長さんと宴会やりたいねーって話してたとこなの。そこで人集めてバイオトイレのプレゼンして、みんなの賛同をもらうの。そうすればイスとサイモンさんとマシューさんも顔覚えてもらえるし、テストだってやりやすくない?テスト期間はサイモンさんとマシューさんがいつでも対応できるように自宅待機してもらえば、家にも帰れるし。どう?」
 提案すると、イスが何度も頷いてくれる。
「それはいい案だな。あの地区…11区の住民は、協力的な人間が多いか?」
「結束力は強い感じよ。しっかり趣旨を理解して貰えば、賛同してもらえると思う」
「それは重畳。発案者に、お前の名前を出してもいいか?賛同を得やすそうだ」
「もちろん。ついでに皇帝陛下の肝入りって言っちゃってもいいんじゃない?スポンサーでしょ?」
「そうだな。聞いてみよう」
 そんな風に話を詰めていると、料理が届けられたので中断する。さすがに料理の前で、トイレの話をするのもどうかと思うので。
 ヴィッテさんは別の接客中みたいで、料理はスレンダーで雰囲気イケメンな感じのお兄さんが届けてくれた。…誉め言葉ですよ。男って髪型と眉毛(+αで髭)でイケメン具合が決まるってマジで思うわー。素がイケメンってわけじゃなくても、自分を魅力的に見せるやり方を知ってる人ってすごいよね。私はそういうセンスあんまりないし、傍から見ておかしくならないようにするのが精一杯。誰か私を毎日コーディネートしてくれ。センスのいい人求む。
 爽やかに「ごゆっくり」と去って行く彼にお礼を言い、後ろ姿を目で追う。彼はヴィッテさんに声を掛け、二人でニコニコ雑談を交わしている。うーん、これは。傍から見ると、いい雰囲気に見える。シュエン、うかうかしてられないんじゃない?
 そちらが気になって、パスタを取り分けつつチラチラと様子を伺っていると、手の甲のところをツン、と摘ままれた。
「んっ、なに?」
「他の男を見ないでくれ」
 あらやだ、イスさんたら嫉妬してくれてるの?
「見てたのは、ヴィッテさんと仲良さそうだったからだよ。そういう意図はないって」
「本当か?お前はよく、私といる時もイケメンだとか言っては男を目で追っていたではないか」
 おっと、イケメンだって思ってたのバレてるわー。
「それは婚約する前でしょ?もー。イスだって、周囲に美女がいたら思わず見ちゃわない?」
「見ない。お前のいう美女は、皮膚の健康状態がいい者のことか?骨格が均等に配置されている者のことか?だからと言って、興味を惹かれることはない」
「そういう認識…?」
 その皮膚と骨格でみんな悩むんですけどね。でも確かに、イスって誰が相手でも態度が変わらないか。
「そもそもその美女とやらに、目を惹かれるのはお前だろう。ここに来る途中も化粧が濃く露出度の高い女に目をやって…」
「濃くないよめっちゃ映えるメイクだったじゃーん。健康的なセクシーさで素敵だったよね。メイクの上手な女性も好きなんだよねー」
「隣に私がいるというのに…」
 イスはピザをカットしつつ、ブツブツと文句を言うのを止めない。イスだってイケメンだから、周囲の人にチラチラ見られてたけどね。うーん、めんどくさい感じになってきたぞ。
「ハイハイ、ごめんね。ホラ、せっかくのパスタが冷めちゃうから食べよ!ピザもカットしてくれてありがとねー」
「……」
 少々強引に話題を変えて、イスの前に取り分けたパスタをひょいっと置く。自分の取り分け皿を差し出すと、ジトリとこちらを見つつカットしたピザを載せてくれた。
「うわっ、すごい美味しい!イカが肉厚ー!イスはどう、好きな味?」
「…まあ、いいと思う」
「それってけっこう好きってことよね。よかったー」
 そうして美味しい料理を堪能しながら、今日のこの後の予定を話し合う。イスの雰囲気も普通に戻ってきたな、よしよし。
 それで上手いことイスの気分を切り替えられたと思ったんだけど、ここでちゃんとイスのご機嫌を取っておかなかったことを私は夜にちょぴっと後悔することになる。後悔は後にするもんだから仕方ないんだけどね。読みの浅かった自分が悪いんだけどね。
 ああ、もう少しヨイショしとけばよかった…。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。 そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!? 貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!

処理中です...