異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第一部

32

 午後の分の業務を気合い入れてこなし、イスが来る頃にはだいたい今日の分の業務を終わらせることが出来た。
「シャハラ、待たせた」
「こっちこそ、せかしちゃってごめんね。もうすぐで終わるから、ちょぴっと待っててねー。あ、団長室行ってる?奥の部屋でロルフが寝てるけど」
「行かない」
 めちゃくちゃハッキリした物言いに、誰かがブフゥと吹き出した。ホント、遠慮ってものを知らないからねー。無表情で言い方も素っ気ないから、最初に接した人はだいたいビックリしちゃうのよね。
「じゃあコレ、ちょっと読んでおいて」
 今回の顛末をまとめたレポートを、イスに渡す。部外者の人が読んでもいいように、秘匿事項は除いたレポートをルーディに新たに書き起こしてもらったものだ。
 イスはざっと目を通して、眉間にグッと皺を寄せる。
「遠距離用通信具を壊したのか?」
「気にするのそこぉー?」
 手を休めずに突っ込むと、イスがふぅとため息をついた。
「私に関わるのはそこだろう」
「まぁそうですけれども。壊しちゃったのは申し訳ないけどさー。そこはホラ、ロルフも酷い目に遭ったんだからちょっと同情しても…」
「しない」
「容赦ないわー。ちなみに修理費はウチで持つつもりなんだけど、ちょっと負けてくれたりなんかは…」
「しない」
「世知辛いわー」
 まあここで負けちゃったら、人件費とか材料費とか、どっかで皺寄せが来ちゃうもんね。イスさん商売に厳しくて頼もしいわー。
「だいたい、お前はいつもロルフに甘いと思う。あいつがトラブルを起こすたび、尻拭いをしてやってるじゃないか」
「団長だからねぇ。それはロルフに限らず、団員のトラブルは全力で庇うし全力で解決できるよう努力しますよ」
「家でも甘やかしている」
「家族だからねぇ。ロルフはロルフなりに大変なんだから、甘やかしたっていいじゃん」
「なら私のことも、甘やかすのだな?」
 ヒュウ、と聞き耳を立てていたらしい周囲からヤジが飛ぶ。
 ……あぁん?
「アンタねー、職場で何を言って…」
「先ほどロルフは甘やかすと、この場で言った」
「あー、うーん、はい…」
 そうね、そう言ったわ。揚げ足取られて反論できねーわ。
「はいはい、甘やかしますよ。その代わり、家に帰ってからね?」
「わかった。楽しみにしている」
 無表情のままそう言い、再びレポートに目を落としたイスを横目で見ながらため息を吐く。あー、もう。明日以降のランチで、エリィ&ルーディコンビからの質問攻めに遭いそうで怖いわ…。「どんな風に甘やかしたんですかぁ?」とかニヨニヨしながら聞いてくる二人の顔が想像できるわ…。
 げんなりした気持ちで再び手を動かして書類を片づけていると、イスが再び口を開いた。
「…よほどのことがなければ、高額にはならないと思う」
「ん?なに?」
「遠距離用通信具だ。アレはそうそう作り直せるようなものではないから、かなり丈夫に作ってある。強化の附術もお前に刻んでもらっている。ロルフが通信具を真っ二つに叩き割ったのでなければ、せいぜいパーツの交換程度で済むはずだ。そうなれば、費用は大した額ではない」
「ほんと?じゃあ、やたらと高額な修理費請求してきたら相談するわー」
「そうしてくれ」
 この言葉は心強いわ。もし不当に修理費請求しようとしたら、内訳要求してイスに確認してもらおっと。
「迷惑掛けるねー」
「仕方ない。ロルフも『一応』家族だ。…私も、協力するのはやぶさかではない」
 イスが『一応』を強調しつつも、少し声を落として早口で呟いたので、私は目を細めて彼を見つめる。…ふふ。
「ありがとう、助かる」
「いや、いい」
「ちなみに家族割引は…」
「しない」
 ダメかー。ま、半分冗談みたいなものだけどね。
 それから書類を書き上げて、中身を他の事務員にもチェックをしてもらい。問題ないということで、後の処理はシウに頼んでおいた。
「じゃあ、これで今日の分は大丈夫そうかな?」
「ええ、急ぎの物はありません」
「それなら、一度団長室でローブの事でイスと話してくる。ダービー伯領の通信具に、朝に連絡した時は繋がらなかったよね?」
「ええ、再度掛けてみましょうか?」
「うん。時間を置いて何回か掛けてみて。連絡とれないにしろ、取ろうと努力したって言い訳は欲しいしね」
「かしこまりました」
 壊れた通信具がどういう状態かはわからないけど、うまくいけばこちらから発信した記録が残るかもだし。できる手は打っとかないとね。
「もし繋がったら、すぐに私に代わってね」
「承知いたしました」
「私も話が終わり次第帰るから、皆も時間になったら帰宅してね!」
「はーい!」
 よい子の返事が聞こえて来たので、イスを伴って団長室に向かった。


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