異世界チートで世界を救った後、待っていたのは逆ハーレムでした。

異文

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混血系大公編:第一部

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「さてルードルフ。ちょっとは頭が冷えたかしら?」
「……」
 上体を起こし、座り込んだままのルードルフ。バツが悪いのか、ムスっとした顔で目線を合わせない。
「あんたは、自分の方が私より強いと思ってたでしょ?確かに同じ条件でやり合えば、私の方が圧倒的に弱いでしょうね。でも私たちの戦いは、ルール厳守のお上品な御前試合じゃないの。やったもん勝ちの世界なの。だからアンタより私の方が強い。わかるね?」
「……」
「テメェ!」
 返事をしない彼を、他の団員が怒鳴りつける。それを制して、私はお金の入った袋を取り出す。
「はい、これ今回の任務の報酬。帰りの分は差し引いて、ロルフがかけた迷惑料はプラスで…こんなもんかな」
 頭でそろばんを弾きながら、だいたいの金額を算出する。
「それとプラス、退職金でこれだけ。こんだけあれば、再出発するのに困らないよね?」
 バッとルードルフの顔がこちらを向く。親に見捨てられた子どものような、ひどく傷ついた顔。さっきまで意気がっていた男が、なんて顔してんだか。
「アンタがやった事は、ウチの信用問題に関わることなの。知ってる?信用って崩れるのは一瞬なの。先人たちが命懸けで築き上げてきた信用を、アンタひとりの甘っちょろい考えで、失墜させるわけにはいかないのよ。私は傭兵団のトップだから。多くの団員たちの命と生活を背負ってるからね」
「あ…」
 ようやくことの重大さがわかって来たんだろうか。ルードルフの顔がこわばっている。
「誰でも失敗はあるよ。特に若いうちはね。自らの過ちを認めて、反省できる男なら私だって追い出したりはしない。でも貴方はどうだった?ルードルフ。…残念だよ」
 彼が紐を通して胸に掛けている、団員の証のエンブレムを取り上げる。受け取ろうとしないお金を無理矢理握らせて、ポンポンと肩を叩いてやる。
「じゃあ、元気でね」
 呆然としたままのルードルフを置いて、私は歩き出す。他の団員たちも、ルードルフに「じゃあな」「元気でやれよ」などと口々に声を掛けて私に続く。イスは当然私の隣に並んでいて、魔術師姉弟も彼に従う。
 背後でひとりだけ、「団長の言葉、よく思い返せよ」と声を掛けていたお節介がいるけれど…。早足で私の隣に追いついて来たアンリに苦笑する。
「お優しいことで」
「そ?アイツ剣筋は良かったからさ、ちょっともったいないなぁって。…あ、余計なお世話だった?」
「いんや、いいと思うよ」
 入団してからいっぱしの傭兵になるまで、ウチだってそれなりに手間とコストを掛けているわけで。戦後に入ったルーキーの中でも才能のある子だったから、惜しいなという気持ちも確かにある。
「…言いすぎたかな?」
「いんや。アイツんとこの隊長も、生意気だってんで最近持て余してたみたいよ。団長にまで食ってかかるようじゃ、遅かれ早かれこうなってたデショ」
 お互いに肯定して、ふたりでニヤッと笑う。自分の選択に不安を感じた時、肯定して背中を押してくれる存在ってありがたいよね。
 イスさんからちょっと嫉妬のオーラを感じ取ったけど…傭兵団内部のことだし、やましい事もないのでスルーしておこうっと。
 
 
 
 それから伯爵邸に到着し、気持ちを切り替えた。なんかやたらキラキラの眼差しでこちらを見つめる魔術師姉弟に目を向ける。
「じゃあ申し訳ないけど、修理をお願いね」
「ハイ、お任せください!さきほどの附術師さまの附術の威力、素晴らしかったです!」
「そうね弟よ!それに生きる伝説の附術師様に頼られるなんて光栄の極み!弟よ、命を掛けて遂行するわよ!」
「Aye,Aye,Sis!」
「やりづれぇわー」
 こっちはこっちで、私に対するリスペクトが高くて怖い。イスさんも目を逸らしてるし…あなたも苦労が多いわね。
 そんなテンションの高い魔術師姉弟は、ここでお別れしてダービー伯と合流してもらう。若いけれどイスのお墨付きの魔道具師さん達だからね、問題なく修理をしてくれると思う。多分…きっと。おそらく…。
 とにかくそちらはお任せして、私達もやるべきことをやらなきゃね。
 私達はレディを迎えに行く。彼女に付き添う護衛騎士は、昨日レディを軽々お姫様抱っこして見せた、背の高い女性騎士だった。ふたりとも目立たないようローブを羽織り、地味な装いをしている。ちゃんとこちらの指示を守ってくれたようだ。それでも動いてローブが少し翻ると、レディのスタイルの良さがわかっちゃうんだけどね。団員の誰かがピュイっと口笛を吹いたので後方を睨みつけると、ウチの女性団員がきつめのツッコミを入れてくれていた。ナイス。
「英雄殿、どうぞよろしくお願いします」
「ええ、承りました」
 女性騎士と挨拶を交わす。
「レディ、私も一緒に馬車に乗りますが、かまいませんか?結界を展開できる魔道具を持っているので、その方が安全です」
「…構いませんわ」
「ありがとうございます」
 レディはぼんやりとしていて、最初に会った時の激しさが嘘のようだ。彼女は女性騎士にエスコートされて馬車に乗り込む。私も続けて乗り込もうとすると、女性騎士がニコッと微笑んでそのまま手を差し出して来た。私までエスコートしてくれるのか!騎士様ってそういうのが身についてるんだなぁ。ウチの傭兵どもは誰も手を貸してくれないぞ…。何ならもたついてると「重いケツだなァ持ち上げてやろうか?!」とか言ってヤジ飛ばしてくるもの…アイツら許さん。
「なんか私まですみません…」
「いいえ。光栄です」
 そう言って爽やかに微笑む。いやぁ、ほんとカッコいいわこの人。女子校にいたらファンクラブできちゃうレベルだね。
 でもあんまり見てるとイスさんの嫉妬が怖いので、ささっと馬車に乗り込む。私は見惚れてませんよー。そうしてレディの向かい側に腰を下ろすと、女性騎士が御者台に乗り込みコンコン、と壁を叩いて合図して来た。こちらもノックを返すと、馬車は緩やかに出発した。

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