202 / 305
混血系大公編:第二部
02
「これ、今日1日でこの料金なんですか?」
「ええ」
うわ。護衛料のところで、とても1日分とは思えないすごい金額が記載されてる。さすが皇帝の護衛…その分プレッシャーもすごいけど。まぁでも私個人の契約で、経費諸々は私が負担すると考えればそこまで法外な金額じゃないか。込み込みってことだもんね。
「ご納得いただけましたら、サインを」
ジョバンニさんにすいっとペンとインクを渡される。ヴァレさんのサインは既に入っている。その下の欄に私のサインをしろ、と圧が強い。でも待って、最後の文章が全然読み取れないんだけど。急いで解読しようとするけれど、見たことのない単語だからわからない。古い言葉なのかな?えっと…アモー…アモルかな?クピディ…?
「シャトラ、難しく考えなくていいよ」
「ヴァ、えっと、陛下」
イスと話していたはずのヴァレさんが、私の様子が気になったのか声を掛けてくれる。
「私は自分の身くらい守れるし、君には附術もある上に優秀な仲間もいる。それに皇帝になる前は、一人でそこらを歩き回っていたこともあるじゃないか」
「そこはまぁ、そんなに心配はしていないです。近衛騎士の方々を除いて、民間で陛下の護衛を引き受けられるのなんて、ウチくらいしかないですし」
「言うねぇ」
ふふん。そりゃ優秀な部下たちばかりですからね、自負くらいしますよ。
「でもこの最後の文面?ちょっと見たことのない言葉で」
「最後の?ああ…。シャトラはふだん大雑把なくせに、契約書の類は隅々までよく見てるよねぇ」
そりゃあ、前団長の超大雑把な契約書で、散々痛い目見てきましたから。
「気にしなくていい、皇族や貴族が使う古臭い言い回しだよ。誓いの言葉に付随して来るんだ」
「ふうん…?」
過去にヴァレさん達傭兵団と接していた時にも、みんなそんなこと言ってたな。貴族は歴史を誇る者が多いから、古い言葉で回りくどい言い方をしがちとか。あと伝統を重んじるせいか面倒な手続きが多いとか。めんどくせーって文句言って笑ってる人が多かったけれど、これもそういうものなのか。
契約書を交わすわけだから、イスかビョルンにも見てもらって意見を聞きたかったけど…でもさすがに皇族や貴族の事情には明るくないから、わからないか。それにビョルンは騎士さんたちと話に花が咲いているようだし、イスも何か難しい質問でもされたのか考え込むような仕草をしている、
それプラス、ジョバンニさんの圧がすごい。無条件にハンコ押しちゃいそうなぐらい怖い。ハンコないけど。
「大丈夫、私を信じて」
そんな私に掛けられた、穏やかで優しい声。
かつて私を励まし、背中を押してくれた声。この人ならば、私を騙すことなんてしないと、信じさせてくれるような。
…よし、ヴァレさん。貴方なら私の不利益になるようなことはしないって、信じてるよ!
意を決してサインをする。ジョバンニさんはインクが乾くのを待ってから、丁寧に1枚を厳かな筒の手紙入れに入れ、1枚を私に手渡してくれた。
「それでは何卒、陛下をよろしくお願いいたします」
深々を頭を下げられ、え、嫁にでも出すの?とちょっとおかしくなってしまった。
「あ、お茶をいま淹れますので」
「お構いなく。至急帰城し、やらねばならぬことがありますので」
そう告げると、ビョルンと話している騎士さん方に声を掛けた。騎士さんたちはちょっと名残惜しそうにしていたけど…ビョルンに憧れてるのかな?ジョバンニさんがピリっと注意をすると、慌てて彼に従った。
「では陛下。くれぐれも、長居しすぎないように」
「わかっているよ」
「英雄殿。プレゼン会場を中心に騎士を派遣しますが、広さを考慮して会場内には多く配置できません。ですのでメインの警護はお任せしますよ」
「はい。尽力します」
「それでは、陛下をよろしくお願いいたします」
再度全員で頭を下げ、彼らは去って行った。玄関でそれを見送って、また居間に戻る。
そこには「やっと解放されたわー」って感じの顔を隠しもせず、ニコニコで寛いでいる皇帝陛下のお姿が…。
…再度言わせていただきます。
ここ、貴族のお屋敷でもなんでもない、民間人の家なんですよ。
なのに皇帝陛下はいるわ、サークルオブメイジのトップはいるわ。
なんか、すごいことになっちゃったなぁ…。
「とりあえず、お茶でも淹れるかぁ…」
一息をつき、ロルフがいるミニキッチンに足を向けた。
「ええ」
うわ。護衛料のところで、とても1日分とは思えないすごい金額が記載されてる。さすが皇帝の護衛…その分プレッシャーもすごいけど。まぁでも私個人の契約で、経費諸々は私が負担すると考えればそこまで法外な金額じゃないか。込み込みってことだもんね。
「ご納得いただけましたら、サインを」
ジョバンニさんにすいっとペンとインクを渡される。ヴァレさんのサインは既に入っている。その下の欄に私のサインをしろ、と圧が強い。でも待って、最後の文章が全然読み取れないんだけど。急いで解読しようとするけれど、見たことのない単語だからわからない。古い言葉なのかな?えっと…アモー…アモルかな?クピディ…?
「シャトラ、難しく考えなくていいよ」
「ヴァ、えっと、陛下」
イスと話していたはずのヴァレさんが、私の様子が気になったのか声を掛けてくれる。
「私は自分の身くらい守れるし、君には附術もある上に優秀な仲間もいる。それに皇帝になる前は、一人でそこらを歩き回っていたこともあるじゃないか」
「そこはまぁ、そんなに心配はしていないです。近衛騎士の方々を除いて、民間で陛下の護衛を引き受けられるのなんて、ウチくらいしかないですし」
「言うねぇ」
ふふん。そりゃ優秀な部下たちばかりですからね、自負くらいしますよ。
「でもこの最後の文面?ちょっと見たことのない言葉で」
「最後の?ああ…。シャトラはふだん大雑把なくせに、契約書の類は隅々までよく見てるよねぇ」
そりゃあ、前団長の超大雑把な契約書で、散々痛い目見てきましたから。
「気にしなくていい、皇族や貴族が使う古臭い言い回しだよ。誓いの言葉に付随して来るんだ」
「ふうん…?」
過去にヴァレさん達傭兵団と接していた時にも、みんなそんなこと言ってたな。貴族は歴史を誇る者が多いから、古い言葉で回りくどい言い方をしがちとか。あと伝統を重んじるせいか面倒な手続きが多いとか。めんどくせーって文句言って笑ってる人が多かったけれど、これもそういうものなのか。
契約書を交わすわけだから、イスかビョルンにも見てもらって意見を聞きたかったけど…でもさすがに皇族や貴族の事情には明るくないから、わからないか。それにビョルンは騎士さんたちと話に花が咲いているようだし、イスも何か難しい質問でもされたのか考え込むような仕草をしている、
それプラス、ジョバンニさんの圧がすごい。無条件にハンコ押しちゃいそうなぐらい怖い。ハンコないけど。
「大丈夫、私を信じて」
そんな私に掛けられた、穏やかで優しい声。
かつて私を励まし、背中を押してくれた声。この人ならば、私を騙すことなんてしないと、信じさせてくれるような。
…よし、ヴァレさん。貴方なら私の不利益になるようなことはしないって、信じてるよ!
意を決してサインをする。ジョバンニさんはインクが乾くのを待ってから、丁寧に1枚を厳かな筒の手紙入れに入れ、1枚を私に手渡してくれた。
「それでは何卒、陛下をよろしくお願いいたします」
深々を頭を下げられ、え、嫁にでも出すの?とちょっとおかしくなってしまった。
「あ、お茶をいま淹れますので」
「お構いなく。至急帰城し、やらねばならぬことがありますので」
そう告げると、ビョルンと話している騎士さん方に声を掛けた。騎士さんたちはちょっと名残惜しそうにしていたけど…ビョルンに憧れてるのかな?ジョバンニさんがピリっと注意をすると、慌てて彼に従った。
「では陛下。くれぐれも、長居しすぎないように」
「わかっているよ」
「英雄殿。プレゼン会場を中心に騎士を派遣しますが、広さを考慮して会場内には多く配置できません。ですのでメインの警護はお任せしますよ」
「はい。尽力します」
「それでは、陛下をよろしくお願いいたします」
再度全員で頭を下げ、彼らは去って行った。玄関でそれを見送って、また居間に戻る。
そこには「やっと解放されたわー」って感じの顔を隠しもせず、ニコニコで寛いでいる皇帝陛下のお姿が…。
…再度言わせていただきます。
ここ、貴族のお屋敷でもなんでもない、民間人の家なんですよ。
なのに皇帝陛下はいるわ、サークルオブメイジのトップはいるわ。
なんか、すごいことになっちゃったなぁ…。
「とりあえず、お茶でも淹れるかぁ…」
一息をつき、ロルフがいるミニキッチンに足を向けた。
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆