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混血系大公編:第二部
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その場はしばし、沈黙に包まれた。夫たちの責めるような視線に、居心地が悪くて視線を泳がせる。すると隣でフーッと長く呼吸を吐く音がして、ヴァレさんが再び顔を上げた。
「ああ、すまない。話を戻そう」
「あ、はい…?」
そう言った彼は、もう普段の顔に戻っていた。自信たっぷりで、何事にも動じないような、いつものヴァレさんの顔だ。
「それで、いつから来れる?私としては、できるだけ早く来てほしいところだけれど」
よくわからないけれど落ち着きを取り戻したようなので、私もそのまま話を戻すことにした。
「そうですね…今は急ぎの案件はなかったはずですけど…ね、ビョルン?」
先週はハリーさんとこまで出向いていたので、私は傭兵団を不在にしている。ビョルンは副団長の仕事をしてくれていたので問いかければ、彼は「ああ」と頷いて見せた。
「緊急の依頼が入れば別だが…最近はそういうのは少ないからな。俺やロルフ、お前が出張らにゃならんような、デカい仕事はなかったはずだ」
「ああ、シウからもそう聞いているよ」
シウめー!!
「だから明日からの君の時間を、私がもらってもいいだろう?」
言い方よ。
「えーと、とりあえず、明日は一度傭兵団へ顔を出してもいいですか?」
「身一つで来てもらって構わないけれど」
「いやいや、先週はほとんど不在にしちゃってたんで、状況を把握しておきたいです。それに附術の道具で傭兵団に置いてあるものもあるんで、準備したいですし」
「ああ、そういうことなら。仕方がないね」
快く(?)許可していただけたので、私も頷く。
「では、明日準備ができ次第、皇城に向かいます。多分午後になると思いますけど」
「わかった。では午後に迎えを寄越そう」
「結構です。夫たちか、傭兵団の誰かに送ってもらいますんで」
私が皇城泊まり込みになったら、傭兵団をしばらく不在にすることになるから、極秘依頼を受けたということにするつもりだ。休暇にしちゃったら皆に怪しまれるしね。ヴァレさんの護衛費用は1日あたりかなりのものなので、そこから契約金として傭兵団に補填しておけば不審に思われることはないはずだ。そこら辺の面倒な裏工作は、シウにやってもらえばいいし。
「シウに事務処理よろしくって言っといてくださいねー、ヴァレさんから!」
「はは、わかったよ」
嫌味全開で言ってやるけど、さして効いてもない様子だった。ケッ!
「あと、私が滞在している間は、ビョルンもイスもロルフも自由に出入りできるようにしてくださいね!私の夫なんで!」
「Allright」
イスなんて2カ月ぶりに来てくれたのに、残りの1週間仕事で会えないなんてなったら申し訳なさすぎるわ!
それプラス思いつく限りの我儘(毎日お風呂入りたい!とか美味しいご飯とスイーツも所望!とか)を言って、笑いながら全部に「Allright」をもらったところで。ようやく溜飲も下がったので、話を進めることにした。
「イスはまず、東諸島の研究者と面会しなきゃよね?」
「ああ、そうだな」
「できるだけ通信で連絡が取れるようにしておいてくれる?防犯システムの構築に、魔術師としての力も借りることになると思う」
「わかった。行けるときは皇城にも顔を出すようにしよう」
「お願いね。ビョルンには傭兵団を任せるわ。でも問題が起きなければ、そうね、1日か2日は皇城に来てくれる?防犯システム構築時には、あなたのような一流の戦士の戦士からの目線も欲しいから」
「了解」
「もちろん、緊急の依頼とかあったらそっちを優先してね。あとロルフは、戻り次第私に着いてもらうわ。…今回は多分、ロルフの目が一番役に立つ」
帝国内で一番強いのは誰かと聞かれたら、ほとんどの人はビョルンかヒョウエさんの名を上げるだろう。
だけど人を殺すのが上手いのは誰か?と聞かれたら…『その道』の人たちは、一番にロルフの名前を上げるだろう。
ヴァレさんは先ほど、「認識阻害ローブを持った敵が暗殺しに来たら」という仮定を話していた。でもその口ぶりと表情から、彼は仮定ではなく確定の話をしているような気がしている。ヴァレさんは多分、私たちが知らない情報を掴んでいるはずだ。だとしたら、ロルフが暗殺してきても大丈夫なくらいの、防犯システムを考え出す必要があるだろう。
「そうだな、わかった」
ビョルンも頷いて同意してくれた。彼もロルフの能力はよくわかっているからね。
「皇城でロルフが問題を起こさないよう、しっかり手綱を握っといてくれよ」
「……」
それはちょっと自信ないです。
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