大剣と薔薇 ~女性で『不死身』のルーシーと奴隷の男の子ローズの物語~

アキナヌカ

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「さてローズたん、次はどこに行こうか?」
「今度は護衛依頼を受けていきたいもんだな」

「二人旅は楽しいが、見張りがきついもんな。ローズたん」
「ルーシーもそう思ってたか、そうなんだよなぁ」

「護衛依頼が貼ってある、これにしてみよう」
「依頼人がまともな奴だといいがな」

 私たちは冒険者ギルドでそうやって話し合っていた、そして護衛依頼を引き受けることになった。行き先はこのブレスベイヤ国の首都ブレスだった、首都といえば栄えているはずだから私は楽しみになった。見たことのないものが見れるかもしれない、知らないことを知れるかもしれなかった。そうして護衛任務についたが、いつも通りに盗賊が現れた。

「ローズたんは荷馬車の傍に、私は切り込んでみる!!」
「気をつけろよ、ルーシー!!」

「どうりゃああああぁぁぁ!!」
「ルーシー、右から攻撃!?」

「ちっ、右腕が!? まぁいい左腕でも大剣は扱える!!」
「ルーシー、無事に戻ってこいよ!!」

 盗賊に右腕を斬り落とされたが、私は素早く左腕で大剣を使い、その盗賊を斬り殺した。『再生』のギフトがすぐに右腕を復活させてくれた、やっぱり利き手の方が大剣を扱いやすかった。私は大剣を右手に持ち替えて盗賊達を次々と斬り殺していった、ローズも立派に荷馬車を守って近寄る盗賊を斬り殺していた。戦いが終わった後に周囲からは、『不死身』のルーシーだと囁くような声が聞こえた。

「もうローズたんの追っ手はいないから、『不死身』のルーシーだとバレてもいいもんな」
「いいなぁ、俺の二つ名持ちの冒険者になりたいぜ」

「ローズたんはその前に冒険者のレベルを上げる必要があるな」
「れべるをあげる?」

「うむ、冒険者は銅が新人、鉄で一人前、銀で熟練者、金は相当の実力者、白金はそれ以上で幾つかの功績を修めた者になっているから、ローズたんも早く銀くらいにはなるべきだな」
「試験かぁ、勉強はしているけどそれで受かるかな」

 盗賊を片付けて荷馬車は進みだした、ローズは私にまず鉄の冒険者の試験について聞いてきた。街によって違うが大体は体力の試験と、冒険者としての常識が問われるものだった。冒険者の常識とは獲物を横取りしないとか、困った時には協力するだとか本当に常識的なものだった。だから首都ブレスに着いたら、ローズたんは鉄の冒険者の試験を受けに行った。ローズの剣の腕は上がっていたし、常識も教えていたので、夕方にはローズは鉄の冒険者証を持って帰ってきた。

「おめでとう、ローズたん。これからは鉄の冒険者だな!!」
「あ、ありがとう」

「銀の冒険者はそこそこ強くないと駄目だ、今のローズたんではちょっと力不足だな」
「そうか、だったら俺はまた鍛える!!」

「私と同じくらい強くなればいい、いい目標だろ」
「ルーシーと同じくらいか、そりゃ俺は相当鍛えないとな」

 これでも私は『不死身』のルーシーだ、『怪力』のギフトが力を与えてくれるし、『再生』のギフトのおかげで大怪我でも回復してしまうのだ。そんな私にローズが追いつくには相当な鍛練が必要だった。でもローズは地道に少しずつ力をつけていった、私でもびっくりするほど真面目に鍛練していた。そんなこともしていたがせっかく首都ブレスに来たので、あちこち見てまわるのも忘れなかった。

「ローズたん、この店には魔道具が置いてあるぞ」
「魔道具?」

「魔石の力で『魔法』を起こす道具のことだ、ただし滅茶苦茶に高い」
「へぇ、そんなものがあるのか」

「あっ、コンドームも売ってるぞ。さすがはスレイヤだな」
「はぁ~、ルーシーの友達はしぶといな」

 カーポ商会は順調に商売を進めているようだった、私はスレイヤの無事が分かってホッとした。急に私という友達がいなくなっても、めそめそしないのがスレイヤの良いところだった。これならそのうちにコンドームは大陸中に広がるなと思った、私はカーポ商会の作った物だけを買おうと思った。他の商会も同じようなコンドームを作っていたが、品質に問題がありそうだったからだ。

「さてスレイヤの無事も分かったところで、ご飯を食べにいこう!! ローズたん」
「そうだな、腹が減ってたら仕事もできねぇしな」

「このブレスベイヤ国は米の生産に力を入れているようだぞ、また米のご飯が食べれるから嬉しい」
「あんたは本当に米が好きだな」

「米は日本人のソウルフードだからな!!」
「そうるふーど?」

 そうやってローズたんとお米のご飯を美味しく食べた、肉料理も豊富で育ち盛りのローズたんは一生懸命に食らいついていた。私たちはそうしながらしばらくは首都を見てまわろうと言っていた、魔道具のように珍しいものが首都には沢山ありそうだった。貴族なんかの馬車もよく走っていて、絡まれたりしないように、私とローズたんは道の端っこを歩いていた。そうしたら、いきなり声をかけられた。

「やぁ、あんたも元日本人かい?」
「おやや、なんで分かった?」

「箸を持っていてその使い方が綺麗だったからだな」
「おお、私のMY箸に気が付くとは」

「俺はカシードっていうんだ」
「私はルーシーだ」

 そこには立派な体格をして男性がいた、金色の短い髪に青い目をしていて、日本人には見えなかったがここはファンタジー世界だ。それから私とカシードは日本の話をして盛り上がった、話題についてこれないローズたんがむくれていたので、私はローズたんにいっぱい話しかけておいた。するとローズたんも話の中に入ってきてくれた、私とカシードはいっぱい日本の話をした。

「日本は良かったよな、コンビニもあったし、自動販売機でいつでもビールが買えた」
「コンビニとはいつでも開いている店だ、自動販売機はその名のとおり物を自動で売ってくれる機械だ」
「ふーん、あんたら随分と便利な世界にいたんだな」

「コンビニじゃなくてもいつでも開いている店があった、それに日本のビールは美味しかった」
「ビールというのはこっちの酒のことだ、ローズたん」
「そんなに美味い酒があったのか」

「ああ、日本のビールは美味かった。こっちはワインばかりだが、日本酒や焼酎の美味さは忘れられないな」
「酒の種類のことだ、私はあんまりお酒が好きではなかった」
「ふーん、そういえばルーシー。酒はちょっとしか飲まないもんな」

 カシードはまた会おうと言って去っていった、私も久しぶりに日本の話ができて嬉しかった。ローズも会話に入ってきてくれたし、悪かったことはなかったと思った。でも宿屋に入ったら私はいきなりローズからベッドに押し倒された、そうしてぎゅっと苦しいくらいに抱きしめられた。私は訳が分からなかったがとりあえずローズが落ち着くように抱きしめていた、しばらくしたらローズも落ち着いてこう言いだした。
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