最凶の忍者になってみたい

アキナヌカ

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05主なるもの

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「えみかちゃん、ステーキ気に入ったん?」
「ああ、とても気に入った」

「ほな、いっぱい食べよか」
「そうだな、忍には負けないぞ」

 僕らは競争するようにステーキを食べた、皿が何枚も積み重なった。僕は五枚目たべたあたりで降参した、えみかちゃんは六枚目に挑戦してた。そうして沢山たべてやっと気が済んだ。えみかちゃんはご飯をよう食べるええ子や。それから僕は考えとった、最凶の忍者に何が必要なのか、それは仕えるべき主やった。僕はそれをえみかちゃんに頼もうと思た。

「えみかちゃん、僕の主になってや」
「それは嫌だ」

「なんでや、僕のこと好きに使えるで」
「だってえみかちゃんって呼んでくれなくなるだろ」

「えと、主のえみかちゃんやったらどやろ」
「それならいい、忍の主になる」

 こうして最凶の忍者を目指しとる僕には主ができた。主のえみかちゃんは無理をいわない、ええ子やった。こうして土曜日は終わった、僕はえみかちゃんを家まで送っていった。そのついでにえみかちゃんに家を見ている高校生達を捕まえてこう警告した。

「えみかちゃんは僕の主や、これ以上つきまとうなら殺して埋めるで」

 僕が刀を突き付けてそう脅すと皆で逃げていった。ほんまに殺して埋めると僕が警察に捕まるからやらんけどな。僕はえみかちゃんの様子を『遠視』でみてから、何もないとわかると自分ちまで『瞬間移動』で帰った。あー疲れたわ。でもまあ、えみかちゃんに主になって貰ったし僕としては満足やった。そうして風呂入って寝た。次の日は日曜やった。また主のえみかちゃんとダンジョンかなと思てハンターギルドに行った。えみかちゃんもきとった。

「ほな、主のえみかちゃん。ダンジョンにいくんか?」
「行くし、お前は『遠耳』を覚えろ」

「遠くにおっても聞こえる耳か、よっしゃ、覚えたる」
「それじゃ忍、いくぞ」

 こうして僕らはダンジョンにはいっていった、『遠耳』のスキルを使おうとしてよく耳をすませた。聞こえる遠くから走ってくるゴブリンの音が聞こえた、ゴブリン達が一斉に襲い掛かってきた。

「風の刃、かまいたち」

 僕はかまいたちでゴブリン達を次々切り刻んでいった。えみかちゃんも日本刀でゴブリンを切り刻んでいた。そうしていつもどおり魔石を拾った、ゴブリンは群れでくると危ないが一体ずつなら大したことのないモンスターや。僕たちは次々とゴブリンを切り刻んでいった。そうしたら大きいホブゴブリンが出てきた。こいつがボスやと確信して、僕はかまいたちでその体を両断した。えみかちゃんに私の出番と怒られたが、本当は主のえみかちゃんは家にいて命令だけしてくれればよかった。こんな戦場につれてくる必要はなかったんや。それでもえみかちゃんの希望だから一緒にダンジョンをクリアしとるんや。ゴブリン達の魔石は大した値がつかなかった。ホブゴブリンの魔石をあわせても十万やった。二人で山分けして五万だった。

「ほな、昼食にしよか。主のえみかちゃん」
「私はカツカレーがいい」

「そりゃええな、僕もそれにしよ」
「カツカレー二つください」

 ハンターギルドの近くの定食屋でカツカレーを二人とも頼んで食べた。めっちゃ美味かった。そうして僕らは本日二つ目のダンジョンに入ろうとしてた。そういえば僕えみかちゃんに主になってもろたのに敬語使わんけどええんやろか。まぁ主のえみかちゃんから言われたら敬語使お。そう思てダンジョンに入っていった。そうしたらそこはスライムのダンジョンだった、スライムはぷるぷるしてて体の中にある核を破壊せんと殺せんモンスターや。しかもスライムに触ると消化液がついとるから手は平気やけど服が溶けるというけったいなモンスターなんや。とりあえず僕らは飛び下がって様子を見た。そして核めがけて僕は刀をえみかちゃんは日本刀を投げるという方法をとった。これええけど、刀と日本刀を回収するときに靴がとけてもた。ああ、僕の忍びの靴がぁ~とかなりがっかりした。えみかちゃんはしっかり履物を脱いでから日本刀を取り戻していた。そんなわけでとにかく時間のかかるダンジョンやった。

「あれがボスのキングスライムやな、僕の刀あいつの核まで届くやろうか」
「そうだな、私の日本刀でもちょっと難しいところだな」

「そうや風よ、主のえみかちゃんフォローよろしく」
「どうするつもりだ?」

 僕は刀に風をまとわせてから投げた、風はスライムの内部をぶっ飛ばしたが、核がその間に移動した。えみかちゃんは見事に移動した核を日本刀で真っ二つにしていた。これでダンジョンクリアだった。僕らはハンターギルドでスライムの魔石を売りに出したが全部で十万やった。えみかちゃんと別けたら五万だ。

「労力のわりに儲けが少なすぎや」
「割に合わないダンジョンだな」

「もう今度からスライムのダンジョンやったら回れ右で」
「それもそうだな」

「僕、忍びの靴を買いなおしてくるわ」
「現実に打ちひしがれるなよ」

 忍びの靴は二十五万もした、なるほどこれが現実に打ちひしがれるってことか。そう僕は思た。もう夜だったから帰ることにした、主のえみかちゃんが蕎麦が食べたいいうたから、蕎麦屋に行くことにした。そうして二人で何枚も蕎麦を食べた。高校生やからな食べたい盛りなんや。蕎麦を食べてしまうとえみかちゃんを家まで送っていった。さすがにもうえみかちゃんの家をみとる高校生はおらんかった。そうして僕も『瞬間移動』で家に帰って風呂入って寝た。翌日は平日だからおとなしゅう普通の高校生をしとった。そうしながら『遠耳』の練習をしてた。このクラスだけじゃなく隣の隣にあるクラスの生徒の声が聞こえた。

「大橋のやつ、原野とつきあってるのか」
「どうもそうらしい」
「じゃあ、もうやったのか」
「あの様子じゃもうやってるだろ」
「くぅ~、大橋が羨ましい」

 どうやら僕はえみかちゃんとつきおうとるうえにもうやったことになっとるようや。高校生の想像力は豊かやな。あまりに違う現実に僕はちょっと吹き出しそうになった。そうしたらえみかちゃんが学校にきた。そして何を聞いていると聞かれたから。

「僕とえみかちゃん、完全につきおうとることになっとるで」
「ああ、そうか。どおりで告白してくる男子がいなくなった」

「ええの、えみかちゃん。えみかちゃんは好きな子とかおらんの」
「いる、すごく鈍くて目的の為には手段を選ばん男だ」

 えみかちゃんに好きな子がおるて聞いて僕はちょっと胸が痛んだ。ええなぁ、その子と羨ましがったりもした。だからえみかちゃんに聞いた。

「えみかちゃんの好きな相手って誰なん?」
「お前の好きな相手は誰だ?」

「僕が好きな相手、好きな相手、えみかちゃんやな」
「はぁ!?」

「僕は好きな相手言うたで、えみかちゃんの好きな相手って誰なん?」
「目の前の凄く鈍い馬鹿だ」

「ええ!? 僕なん。えみかちゃんならもっとええ相手いっぱいおるのに」
「煩い、私は凄く鈍い馬鹿が好きなんだ」

 僕、えみかちゃんくらいしか女の子しらんから、好きなのもえみかちゃんやった。でもえみかちゃんが僕のこと好きなんは知らんかった。ええとこれって両想いなんやろか。えみかちゃんは真っ赤な顔で黙ってしもたし、どうしたらええんやろ。悩んだすえに僕は正式にえみかちゃんと付きおうたくなった。だからえみかちゃんに正直に言った。

「えみかちゃん、僕と付きおうてくれん?」
「うん、付き合う」

 それが教室でのことやったから、物凄い反響を呼んだ。クラスのあちこちでいろんなことを言うとった。
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