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第二章 変わり始める互いの世界
ステファニアの平穏な日常が変わった! 後編
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「ただ今王都に参りました。カンデラ子爵家領主と家族2名、そしてユウセイ・アカツキに御座います」
「世の命により、遠くからの長旅、ご苦労であった。よい。頭を上げよ」
前には、3段上がったところに白い厚手の服に、マントを羽織った、いかにも王様という出で立ちの男性が、玉座に座っていた。
「そなたがユウセイ・アカツキか」
悠生はジーッと王様に見つめられた。
「そなたのもたらした電卓というもの、中々に便利であると聞いているぞ」
「恐縮にございます」
すると、ステファニアの父のスティーブさんは、こう言った。
「電卓なぞはまだ序の口、ユウセイはもっと凄いものを持っているようで」
「何!それは真か!」
「こちらに御座います」
何でタブレット、ここまで持ってきてるんだろう?自分、と悠生は思ったが、ちょうど説明ができて良かった。
「ご覧に入れたいのですが、何分、操作は私しかできませんのでお側に寄ってもよろしいでしょうか?」
「ふむ。我も興味がある。近う寄れ」
悠生はなるようになれと、電卓アプリを使ってみたり、こちらで撮った写真や動画を見せたりした。
「ふむ。これは驚いた!これほど珍しい魔術具、見た事がないぞ、いや、あっぱれ!」
「これは魔術具に御座いません。電気というもので動いております」
「電気とな?それはどのようなものじゃ?」
「身近な所では雷とか静電気とか。それを、弱く、連続的に流すのであります」
王様は複雑そうな顔をした。少し考えて、こう言ったのであった。
「お主のもたらす道具は素晴らしい!家臣と話さねばならぬが、おそらくそなたにその道具の生産や我が国に利をもたらすための普及の任に付けるであろう」
「ははぁ。まだ実用には課題が多く御座いますが、一生懸命任務を勤めたいと存じます」
「珍しいものを見て世も久しぶりに興奮したぞ!ユウセイよ、まだ何か持っているか?」
「いえ、これ以上はただ今持ち合わせはありません」
「そうか。そなたとはいずれゆっくり話したいものだな。疲れたであろう。もう下がって良いぞ。スティーブは別室で、式の打ち合わせがある故、しばしここに残れ。他の者、ご苦労であった」
*
「緊張したなぁ~~。もう~」
「ふぅ~。疲れたよぉ~」
馬車で移動中、王城の門を抜けて、開口一番、悠生とステファニアはそう言った。
「まぁ、王様に失礼がなくて何よりだったよ」
ナンシーは本心なのだろう、そうこぼした。
ほどなくして、馬車はカンデラ邸へ到着した。
「お帰りなさいませ。奥様、お嬢様、オカツカ様。お風呂になさいませんか?お子様方はもうお風呂はお済みでございます」
「えぇ、そうさせてもらうわ」
馬車は悠生達3人を降ろした後、また王城へ引き返した。スティーブを乗せて帰るためである。ナンシー、ステファニア、悠生の順にお風呂に入って疲れを癒やすのであった。
悠生がお風呂から上がった頃、スティーブが帰って来た。スティーブが風呂に入り、上がってしばらくすると夕食となった。
夕食は、牛肉メインの、肉、野菜、パン、バランスのとれたものであった。美味しかったと悠生は思った。こんな豪華な食事ができるなんて、さすが、御貴族様様々だなぁとも思った。皆が食事をし終えたのを見計らって、スティーブが告げる。
「皆、長旅で疲れたであろう。式の準備は明日からにして今日はゆっくり休め。明日からは忙しくなるぞ!」
「「「「「「はい」」」」」」
食事を済ませたあとは各々自室に戻り、体を休めることにした。
長旅であった。
しかもこの世界の馬車にはまともな衝撃を緩和する装置が付いていないため、乗り心地も悪かったので、疲れに拍車をかけた。悠生は体を休めるため、すぐにベッドに入り、毛布を被り、目を閉じて、ゆっくりと意識を闇の中へ溶けさせるのであった。
「何でステファニアの家じゃないんだよぉ」
悠生とステファニアは王宮のそれぞれにあてがわれた控え室に居た。これから、王宮内の大広間で結婚式をするためだ。
(何でよりにもよって王宮かな)
礼の仕方も、結婚式でとるポーズも、礼儀作法もステファニアの家で教わった。悠生はてっきりカンデラ家の大広間で結婚式を行うと思っていたのである。そう、思い込んでいたのである。そう信じて疑わなかったため、会場の話の確認を怠った。これは悠生自身の責任であった。
(まぁ、こうなったら仕方がない。失敗しないようにつつがなくやりますか)
悠生はやる気半分ヤケ半分。失敗しないよう最善を尽くそうとするのだった。
*
「新郎、新婦のご入場です」
悠生、ステファニアが大広間に入場する。中央を通り抜けて、まっすぐに最奥のひな壇へと行って席へ着く。
(結構高そうな服を着た人が多いなぁ。羽振りのいい人か、カンデラ家より高位の御貴族様が多いってことかな?何だかカンデラ家、着飾ってはいるけど、見ようによっては水簿らしい…)
失礼な事を考えている悠生であった。
しかし、考えは当たっていた。
悠生に興味を持った高位貴族やら、お金の匂いを嗅ぎつけた豪商人などが、関係を作りたくて参加者の中に結構紛れ込んでいるのである。
インジスカン王国の結婚式では、結構、来る人拒まずなのである。まぁ、王宮に入れる人に限られるため、身分はしっかりとした人達ばかりなのだが。
悠生は気付いた。参加者席の上座の方に3席程空きがあると。何だろうと思って水を持ってきたボーイに小声で聞いてみた。
「いい席が空いてますけど何故あそこには人が座ってないのですか?」
「王族の方々が空き時間を見つけて見に来るそうです。あちらは王族の方々のお席です。」
(げ、げげげ)
「そうですか。教えてくれてありがとう」
「どういたしまして。それでは」
ボーイは去って行った。悠生は高位貴族とか王族などが苦手な小市民なのであった。
式も滞りなく進み、来場者と新郎・新婦との歓談タイムとなった。
日本では二次会とか他の方法で行われるため聞かないが、こちらでは、歓談タイムを設(もう)けるのが普通らしかった。
新郎・新婦がひな壇から下りると、異世界人に興味津々な人達が多く詰めかけたせいなのだろうか、悠生の方に人が殺到した。
悠生は我先(われさき)に話しかけようとする参加者にもみくちゃにされ、ステファニアを見失った。
悠生はとりあえず皆(みな)と話しはするからと落ち着かせ、相手の話を聞いたり、まだ現実の見通しやら根回(ねまわ)しもろくにしていないが、これからしようと思っている計画がいくつかあったため、皆(みな)に、その計画を実現させるべく、協力を受けやすくすべく、自分の主張もするのであった。
そう、地球にある便利機器を途中に絡めて相手の興味を惹きながら。途中、この国の第二王子と名乗る男子がやってきたので、やはり同じように興味を惹きながら自分の主張をしたところ、面白そうだと結構やる気になってくれたのでホットするとともに、王族にもこの話がいって、これからことを始めるときに楽になるといいなぁと打算する悠生であった。
盛り上がった歓談タイム。悠生は、(疲れたびぃー)と内心で思った。
また、ボーイさんにこそっと聞いたのだが、歓談タイムが予定の2倍くらい時間を食ったらしい。悠生は心配している事をボーイに伝えると、「式が盛り上がる事は大いに結構な事です。それに、式が終わった後のこの会場の事を考えるのは我々の仕事ですから」と、気を遣わなくてもいい旨を伝えてくれた。
あのボーイさん、結構いい人かも知れない。
式もそろそろ終盤、そう思っていると、国王夫妻がやって来て、式の邪魔をしないよう、そっと王族用の席に座った。式もそろそろ終わる頃、王はここぞとばかり立ち上がり、
「我はこの国の国王、ジョージ・フォン・インジスカンである。
この結婚は、我か国王として、公認のものとする。
その証に我が音頭を取り、締めたい思う。お手を拝借。ヨーおっ」
((((パン))))
一本締めであった。少し仕草は違ったが、一本締めであった。
(この世界でも一本締《いっぽんじ》めの風習、あったんだ)
妙にこの世界に親近感を覚える悠生であった。
*
「今日は帰らずにここで泊まるんですか?」
一本締めで、式がお開きになり、控え室へ帰ろうとしていた悠生に話しかけてきたのはステファニアの父のスティーブであった。悠生はびっくりした。カンデラ邸は王都にあり、それなりに近い。王宮に泊まる理由は無(な)いのである。
「理由は後で分かるさ。ステファニアが教えてくれるんじゃないか?」
理由は分からない。でも、今日は王宮にお泊まりが決定なようだ。
悠生は控え室で私服に着替え、今日泊まる部屋へと案内された。その部屋には、洋服ダンスに丸テーブルと椅子が2客、それとダブルのベッドがあった。外には面していないのだが、妙に窓の多い部屋だった。
「この部屋、二人用ですよね?」
「はい。もう正式に結婚されたのですからステファニアさんと同室です」
そ、そうですか… と、ちょっと焦っている悠生と、さも当然という顔をしている案内役のメイド。そうこう話しているとステファニアもやって来た。
「予定では、この後、お風呂で、その後、この部屋で二人で寝るのよ」
「そ、そうですか」
悠生は考えなかった。この”寝る”という単語の本当の意味を。
悠生は風呂から上がった。ステファニアも遅れて部屋に戻ってくる。
椅子に腰掛け、丸テーブルで雑談する二人。
何故だか妙に視線を感じる。
1時間程話した二人。その間に視線が増えたような気がする。
いや、話の途中、チラ、チラっと窓の方に視線を向けるとどうも人影があり、覗いているように思う。ひとしきり雑談して…
「そろそろかしら」
ステファニアはそう言うと、ベッドの方へ歩き出した。ステファニアはベッドでLの字型に座ると。
「来て。寝ましょ♪」
そう言ったのであった。
そのとき、やっと悠生は理解したのであった。”寝る”という単語の本当の意味を。
悠生は椅子から立ち上がり、ステファニアにゆっくりと近づき、同じようにステファニアの横に腰掛け、小声で訊ねてみる。
「何だかこの部屋、多くの視線を感じるんだけど」
「この国では初夜は多くの人に見られながらスルのよ。より多くの人に見られてスルと、夫婦円満に過ごせるそうよ」
「そ、そんな風習が…」
そう話していると、ステファニアはゆっくりと白く透き通った肌を見せてきた。
悠生は16才になったばかりの青春真っ盛り。性欲も一番盛りの時期であろう。
ステファニアに綺麗な肌を見せられ、初めてなことも、多くの人に見られていることも意識の中からスッ飛んだ。
「ちょ、ちょっと、そんなに激しくしないで」
「も、もう終わりにしましょ? ちょ、ちょっと悠生、聞いてる?」
熱烈に文字通り体当たりで愛情を深める悠生とステファニアであった。
「世の命により、遠くからの長旅、ご苦労であった。よい。頭を上げよ」
前には、3段上がったところに白い厚手の服に、マントを羽織った、いかにも王様という出で立ちの男性が、玉座に座っていた。
「そなたがユウセイ・アカツキか」
悠生はジーッと王様に見つめられた。
「そなたのもたらした電卓というもの、中々に便利であると聞いているぞ」
「恐縮にございます」
すると、ステファニアの父のスティーブさんは、こう言った。
「電卓なぞはまだ序の口、ユウセイはもっと凄いものを持っているようで」
「何!それは真か!」
「こちらに御座います」
何でタブレット、ここまで持ってきてるんだろう?自分、と悠生は思ったが、ちょうど説明ができて良かった。
「ご覧に入れたいのですが、何分、操作は私しかできませんのでお側に寄ってもよろしいでしょうか?」
「ふむ。我も興味がある。近う寄れ」
悠生はなるようになれと、電卓アプリを使ってみたり、こちらで撮った写真や動画を見せたりした。
「ふむ。これは驚いた!これほど珍しい魔術具、見た事がないぞ、いや、あっぱれ!」
「これは魔術具に御座いません。電気というもので動いております」
「電気とな?それはどのようなものじゃ?」
「身近な所では雷とか静電気とか。それを、弱く、連続的に流すのであります」
王様は複雑そうな顔をした。少し考えて、こう言ったのであった。
「お主のもたらす道具は素晴らしい!家臣と話さねばならぬが、おそらくそなたにその道具の生産や我が国に利をもたらすための普及の任に付けるであろう」
「ははぁ。まだ実用には課題が多く御座いますが、一生懸命任務を勤めたいと存じます」
「珍しいものを見て世も久しぶりに興奮したぞ!ユウセイよ、まだ何か持っているか?」
「いえ、これ以上はただ今持ち合わせはありません」
「そうか。そなたとはいずれゆっくり話したいものだな。疲れたであろう。もう下がって良いぞ。スティーブは別室で、式の打ち合わせがある故、しばしここに残れ。他の者、ご苦労であった」
*
「緊張したなぁ~~。もう~」
「ふぅ~。疲れたよぉ~」
馬車で移動中、王城の門を抜けて、開口一番、悠生とステファニアはそう言った。
「まぁ、王様に失礼がなくて何よりだったよ」
ナンシーは本心なのだろう、そうこぼした。
ほどなくして、馬車はカンデラ邸へ到着した。
「お帰りなさいませ。奥様、お嬢様、オカツカ様。お風呂になさいませんか?お子様方はもうお風呂はお済みでございます」
「えぇ、そうさせてもらうわ」
馬車は悠生達3人を降ろした後、また王城へ引き返した。スティーブを乗せて帰るためである。ナンシー、ステファニア、悠生の順にお風呂に入って疲れを癒やすのであった。
悠生がお風呂から上がった頃、スティーブが帰って来た。スティーブが風呂に入り、上がってしばらくすると夕食となった。
夕食は、牛肉メインの、肉、野菜、パン、バランスのとれたものであった。美味しかったと悠生は思った。こんな豪華な食事ができるなんて、さすが、御貴族様様々だなぁとも思った。皆が食事をし終えたのを見計らって、スティーブが告げる。
「皆、長旅で疲れたであろう。式の準備は明日からにして今日はゆっくり休め。明日からは忙しくなるぞ!」
「「「「「「はい」」」」」」
食事を済ませたあとは各々自室に戻り、体を休めることにした。
長旅であった。
しかもこの世界の馬車にはまともな衝撃を緩和する装置が付いていないため、乗り心地も悪かったので、疲れに拍車をかけた。悠生は体を休めるため、すぐにベッドに入り、毛布を被り、目を閉じて、ゆっくりと意識を闇の中へ溶けさせるのであった。
「何でステファニアの家じゃないんだよぉ」
悠生とステファニアは王宮のそれぞれにあてがわれた控え室に居た。これから、王宮内の大広間で結婚式をするためだ。
(何でよりにもよって王宮かな)
礼の仕方も、結婚式でとるポーズも、礼儀作法もステファニアの家で教わった。悠生はてっきりカンデラ家の大広間で結婚式を行うと思っていたのである。そう、思い込んでいたのである。そう信じて疑わなかったため、会場の話の確認を怠った。これは悠生自身の責任であった。
(まぁ、こうなったら仕方がない。失敗しないようにつつがなくやりますか)
悠生はやる気半分ヤケ半分。失敗しないよう最善を尽くそうとするのだった。
*
「新郎、新婦のご入場です」
悠生、ステファニアが大広間に入場する。中央を通り抜けて、まっすぐに最奥のひな壇へと行って席へ着く。
(結構高そうな服を着た人が多いなぁ。羽振りのいい人か、カンデラ家より高位の御貴族様が多いってことかな?何だかカンデラ家、着飾ってはいるけど、見ようによっては水簿らしい…)
失礼な事を考えている悠生であった。
しかし、考えは当たっていた。
悠生に興味を持った高位貴族やら、お金の匂いを嗅ぎつけた豪商人などが、関係を作りたくて参加者の中に結構紛れ込んでいるのである。
インジスカン王国の結婚式では、結構、来る人拒まずなのである。まぁ、王宮に入れる人に限られるため、身分はしっかりとした人達ばかりなのだが。
悠生は気付いた。参加者席の上座の方に3席程空きがあると。何だろうと思って水を持ってきたボーイに小声で聞いてみた。
「いい席が空いてますけど何故あそこには人が座ってないのですか?」
「王族の方々が空き時間を見つけて見に来るそうです。あちらは王族の方々のお席です。」
(げ、げげげ)
「そうですか。教えてくれてありがとう」
「どういたしまして。それでは」
ボーイは去って行った。悠生は高位貴族とか王族などが苦手な小市民なのであった。
式も滞りなく進み、来場者と新郎・新婦との歓談タイムとなった。
日本では二次会とか他の方法で行われるため聞かないが、こちらでは、歓談タイムを設(もう)けるのが普通らしかった。
新郎・新婦がひな壇から下りると、異世界人に興味津々な人達が多く詰めかけたせいなのだろうか、悠生の方に人が殺到した。
悠生は我先(われさき)に話しかけようとする参加者にもみくちゃにされ、ステファニアを見失った。
悠生はとりあえず皆(みな)と話しはするからと落ち着かせ、相手の話を聞いたり、まだ現実の見通しやら根回(ねまわ)しもろくにしていないが、これからしようと思っている計画がいくつかあったため、皆(みな)に、その計画を実現させるべく、協力を受けやすくすべく、自分の主張もするのであった。
そう、地球にある便利機器を途中に絡めて相手の興味を惹きながら。途中、この国の第二王子と名乗る男子がやってきたので、やはり同じように興味を惹きながら自分の主張をしたところ、面白そうだと結構やる気になってくれたのでホットするとともに、王族にもこの話がいって、これからことを始めるときに楽になるといいなぁと打算する悠生であった。
盛り上がった歓談タイム。悠生は、(疲れたびぃー)と内心で思った。
また、ボーイさんにこそっと聞いたのだが、歓談タイムが予定の2倍くらい時間を食ったらしい。悠生は心配している事をボーイに伝えると、「式が盛り上がる事は大いに結構な事です。それに、式が終わった後のこの会場の事を考えるのは我々の仕事ですから」と、気を遣わなくてもいい旨を伝えてくれた。
あのボーイさん、結構いい人かも知れない。
式もそろそろ終盤、そう思っていると、国王夫妻がやって来て、式の邪魔をしないよう、そっと王族用の席に座った。式もそろそろ終わる頃、王はここぞとばかり立ち上がり、
「我はこの国の国王、ジョージ・フォン・インジスカンである。
この結婚は、我か国王として、公認のものとする。
その証に我が音頭を取り、締めたい思う。お手を拝借。ヨーおっ」
((((パン))))
一本締めであった。少し仕草は違ったが、一本締めであった。
(この世界でも一本締《いっぽんじ》めの風習、あったんだ)
妙にこの世界に親近感を覚える悠生であった。
*
「今日は帰らずにここで泊まるんですか?」
一本締めで、式がお開きになり、控え室へ帰ろうとしていた悠生に話しかけてきたのはステファニアの父のスティーブであった。悠生はびっくりした。カンデラ邸は王都にあり、それなりに近い。王宮に泊まる理由は無(な)いのである。
「理由は後で分かるさ。ステファニアが教えてくれるんじゃないか?」
理由は分からない。でも、今日は王宮にお泊まりが決定なようだ。
悠生は控え室で私服に着替え、今日泊まる部屋へと案内された。その部屋には、洋服ダンスに丸テーブルと椅子が2客、それとダブルのベッドがあった。外には面していないのだが、妙に窓の多い部屋だった。
「この部屋、二人用ですよね?」
「はい。もう正式に結婚されたのですからステファニアさんと同室です」
そ、そうですか… と、ちょっと焦っている悠生と、さも当然という顔をしている案内役のメイド。そうこう話しているとステファニアもやって来た。
「予定では、この後、お風呂で、その後、この部屋で二人で寝るのよ」
「そ、そうですか」
悠生は考えなかった。この”寝る”という単語の本当の意味を。
悠生は風呂から上がった。ステファニアも遅れて部屋に戻ってくる。
椅子に腰掛け、丸テーブルで雑談する二人。
何故だか妙に視線を感じる。
1時間程話した二人。その間に視線が増えたような気がする。
いや、話の途中、チラ、チラっと窓の方に視線を向けるとどうも人影があり、覗いているように思う。ひとしきり雑談して…
「そろそろかしら」
ステファニアはそう言うと、ベッドの方へ歩き出した。ステファニアはベッドでLの字型に座ると。
「来て。寝ましょ♪」
そう言ったのであった。
そのとき、やっと悠生は理解したのであった。”寝る”という単語の本当の意味を。
悠生は椅子から立ち上がり、ステファニアにゆっくりと近づき、同じようにステファニアの横に腰掛け、小声で訊ねてみる。
「何だかこの部屋、多くの視線を感じるんだけど」
「この国では初夜は多くの人に見られながらスルのよ。より多くの人に見られてスルと、夫婦円満に過ごせるそうよ」
「そ、そんな風習が…」
そう話していると、ステファニアはゆっくりと白く透き通った肌を見せてきた。
悠生は16才になったばかりの青春真っ盛り。性欲も一番盛りの時期であろう。
ステファニアに綺麗な肌を見せられ、初めてなことも、多くの人に見られていることも意識の中からスッ飛んだ。
「ちょ、ちょっと、そんなに激しくしないで」
「も、もう終わりにしましょ? ちょ、ちょっと悠生、聞いてる?」
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