異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

文字の大きさ
162 / 167
第六章 神様を起こしに

神のお仕事―1―神の雷

しおりを挟む
  時は戦国時代。

 ワブシャン共和国とザサクロス王国が争っていた。


 その争いは10年という月日をかけ、苛烈かれつを極め、それぞれの兵は約半数にまで減っていた。

 それでもなお争いをめず、今、全軍が向き合っている。


ひるむな!ワブシャン軍、全軍かかれ!」

「「「おう!」」」


「敵は深手を負っている!叩くなら今だ!ザサクロス軍、進め!」

「「「おう!」」」


 両軍が走り出したその時、暗雲が立ちこめた。

 そして、両軍の間を分かつようにいかずちが壁のように連続で走り、空には巨大な人影があった。


「我はシャームンドム。お前たちの姿をじっと見ておった」


 両軍、何事かと争いをめ、その姿に見入っていた。


「争いばかりしおって。そちらに国は任せられぬな。この場で神の雷をお見舞いして全員殺してしまおうか」


 その雷、その姿に戦意を喪失した両軍。

 そんな中、声を上げたのはワブシャン共和国の軍務司令官、ジュルダーノであった。


「ザサクロスが悪いのです!人の弱みにつけ込んで、国策で物の値段を真綿で首を絞めるようにジリジリ、ジリジリと上げていき、我らが立ち上がらなければ、国民は飢え死にするところで御座いました!天罰を与えるなら是非ぜひ、ザサクロスにお与え下さい!」

「「「ザサクロスに罰をお与え下さい!」」」


 すると、ザサクロスの軍務局長、ガーレットが反論する。


「そう言うお前たちは我が国に密偵を放ち、国王を暗殺しようとしたではないか!国をまとめ上げる者が居なくなっては国の大事、是非、我が国に混乱を与えようとしたワブシャンにこそ罰をお与え下さい!」

「「「ワブシャンに罰をお与え下さい!」」」


 すると、汲広シャームンドムは、


「ええい見苦しい。見ておったと言ったであろうが!どちらにも非がある!らしめるなら喧嘩けんか両成敗じゃ!」


 一気に顔色が悪くなった両軍。

 両軍ともにこれ以上自軍を減らされるわけにはいかない。

 ジュルダーノは、


「分りましたぁ!争いを止めますゆえ、どうか、天罰だけはご勘弁下さい!」


 負けじとガーレットも、


「戦争はもう止めます。大人しくしますのでどうか天罰だけはご勘弁下さい!」


 争いをめるという言質げんちを取った汲広シャームンドムは、


「争いを止めるならば我は何もせぬ。もう争うなよ!我はいつまでも見守っているからな!」


 両軍そろって最敬礼し、


「「「神の慈悲じひに感謝します!」」」


 こうして、ワブシャン共和国とザサクロス王国が中心となった戦国時代は終局するのであった。



「はぁ、神のお仕事疲れる~~!」

「お疲れ様で御座ございました。少し休憩の後、また、同じような案件がありますので、そちらも是非」

「えぇー、まだあるんですか?」

「はい。ガリャクシール様が城から出てきませんでしたので、他にも争いをめて欲しい星がまだいっぱい御座います。命を多く失う案件ですので、是非ぜひ、そのネックレスを付けられた方には優先的に処理していただきたいと思います」


 ここは天界、神の執務室がある階の一室。

 地球儀みたいな物がいっぱいある部屋。

 その、地球儀みたいな物は各星とリンクしており、サクッとその星に介入したいときはその地球儀みたいな物に干渉するらしい。

 ちなみに、ステファニアもこの部屋におり、同じように他の星のいざこざをいさめる仕事をしている。


 汲広くみひろは一仕事終え、秘書のハフハヒールさんにお茶とお菓子を出してもらい、休憩中である。


「ハフハヒールさん、神のお仕事って他にどんな案件があるんですか?」

「書類仕事が主ですね。神のGOサインさえ出ていれば、あとは眷属けんぞくが片付ける案件になっております」

「神様っていうのも大変なんですねー。そういえば、ガリャクシールさん、高齢でかなり弱ってましたよ。仕事が一段落ひとだんらくしたらお見舞いに行きたいんですが時間取れそうですか?」

「仕事がまっていますので、しばらくは無理ですね」


 そうこう、汲広くみひろとハフハヒールさんが話していると、


「はぁー。やっと終わりました」


 ステファニアが顔を上げた。ハフハヒールさんはステファニアのところへ行き、


「お疲れ様で御座ございました。シャームンドム汲広様と、一時ひととき休憩して下さい」

「ありがとうございます」


 ステファニアはハフハヒールさんからもらったタオルで顔の汗を拭き、汲広くみひろの下へ行き、椅子に座った。

 すると、ハフハヒールさんがお茶を入れてくれる。


「まだこういう仕事、たんまりとあるんだってよ」

「神様って大変なんですね」

「もう気力も戻ったから僕は次の仕事をするよ。ステファニアはもうしばらく休憩な」

「ありがとうございます」


 ハフハヒールさんは、次の地球儀みたいなものに案内してくれて、これまでのあらましを簡単に教えてくれた。


 両軍の間を分かつようにいかずちが壁のように連続で走り、空には巨大な汲広シャームンドムの姿があった。 


「この馬鹿者共が!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。 息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。 壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。 茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。 そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。 明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。 しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。 仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。 そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...