61 / 249
新しい生活
名前を付けよう
しおりを挟む
それから、タンザナティア王国側では、森の木を切り倒した街道は、今は木の根っこの除去作業と地固めを、ジルベチア王国側ではやっとトンネルが貫通したところで、魔法で一応固めて、崩落はないはずだが、今は補強作業をしている。まぁ、両方、宮廷魔道士の出番は離れている。
そして、かわいいミネルバと、カッテリーナの子は、今は2人で交替で母乳を与えている。交替でとは言っても定期的に起きては泣き出すので、2人とも、寝不足で、いつもうつらうつらしている。
で、その赤ちゃんの名付けをしないといけないのだが…
「お父さん、まだ名前、付けてやれないの?」
「何て付けたらいいかまだ迷っていてね」
まだ名前を付けていなかったのである。
「日本名でもおかしくない名前を付けるべき?いや、こっちの人間の名前は長いから、それらしい名前を付けるべきか…」
「何ブツブツ言ってるんですか?」
二郎がブツブツ独り言を言って、考え事をしていると、隣にエテラーシアがやって来た。
「いや、名前のことで悩んでいてね」
「必ずではないですが、貴族の名前はいくらか長い方が好まれますよ」
「長い名前か…」
またブツブツ独り言を言い出す二郎であった。
そして夜、夕食後、二郎は皆を集め、
「名前を決めました。ミネルバとの子をエルビンに、カッテリーナとの子をコンスタンティンと命名します」
「日本名は棄てたのね」
「あぁ。もうあちらで暮らすこともないからな」
「いいんじゃない?」
「ありがとう」
「それじゃぁ、私から」
今度は薫から話し始めた。
「花菜香と風雅に追加で魔法を教えることを解禁にします」
頑なに嫌がっていた花菜香と風雅への便利魔法の教育を、薫は解禁するらしい。
「教えるのはいつも通り、私がするわ」
「じゃぁ、任せる」
「任された」
そして、その後、薫が休みの日に、花菜香と風雅に魔法の教育をする薫なのであった。
*
「大きいわね」
「あぁ」
二郎と薫、エテラーシアとヨーネスティン、花菜香と風雅は、タンザナティア王国の首都、ビライガのとある屋敷に来ている。タンザナティア王国で、二郎は名誉伯爵の位と屋敷をもらった。今日はその屋敷を見に来たのだ。
中も見てみた。主がいつもいない屋敷でも、中では使用人たちが屋敷の手入れをしていて、いつも綺麗な状態だ。二郎は維持費がちょっともったいないなぁと思いながら、各部屋部屋を見て回った。各部屋で、誰が使うかを決めて、次の場所へ。
「こっちも大きいなぁ」
「本当ねぇ」
二郎は、ジルベチア王国でも名誉伯爵の位と屋敷をもらった。今来たのはジルベチア王国での麻宗邸だ。
こちらも中も見てみた。こちらでも、主がいつもいない屋敷を使用人たちが屋敷の手入れをしていて、いつも綺麗な状態だ。二郎はこちらでも、各部屋部屋を見て回って、誰が使うかを決めていった。
「風雅も変わったわね」
「あぁ」
風雅は日本に居る頃、外へ出ると、興味の赴くまま、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと、落ち着きのない子であった。それが、討伐訓練のときに強く言ったからであろうか、それからはフラフラあちらこちらへ行くことはせず、落ち着いた子になった。
「それじゃぁ、帰ろうか。風雅、ザガンガ王国にゲートを」
「はい」
風雅が開いたゲートで、家族で帰る、二郎たちであった。
1ヶ月後、タンザナティア王国方面へ伸びる、森を切り開いた街道が開通した。ジルベチア王国側の、ハスピリーネ山脈を貫く街道の方は、まだ補強工事が終わってないためまだ開通していない。トンネルの方が手間がかかるのだ。
街道ができたことによって、徐々にではあるが、物が入ってきたらしい。まだそれらは高価なため、一般市民は見ることがない。二郎たちはというと、欲しいものはゲートであちら側へ行って現地の値段で買う。わざわざ何日もかけて運んで、値段の跳ね上がった高い物を買わない。街道が完成しても、二郎たちの生活はあまり変わらなかった。
それから数日後、バーンクリット公爵家に赤ちゃんが生まれた。元気な男の子だ。その子はアレクシスと名付けられ、大事に育てられた。
そのまた数日後、王族に子供が生まれた。元気な女の子だ。アーレイアと名付けられ、大切に育てられた。
それから1ヶ月後、今度はハスピリーネ山脈を貫く街道の方が開通した。これにより、ザガンガ王国へ入ってくる物もあるが、ザガンガ王国を通過して、タンザナティア王国へ。逆に、タンザナティア王国からジルベチア王国への物流ルートができた。
ザガンガ王国を経由しないで、ザガンガ王国のさらに北側、タンザナティア王国とジルベチア王国が接している場所を通ればいいじゃないという話しもあるのだが、あの国境は長年小さな争いが絶えなかった土地柄。治安は悪く、そこを通る商人への目も冷たい。そこでできた新たなルート。こちらは比較的安全で、通るときに文句を言う者も居ない。と、いうわけで、ザガンガ王国を経由して、両国へ行く商人も増えたのだった。
それに伴い、街の治安が悪化し、治安を守る、警備隊の他に、宮廷魔道士の出動も増えてきていた。宮廷魔道士側としては、遠見の魔法での街の監視体制を引いた。揉め事があれば、警備隊に知らせることもあれば、宮廷魔道士自らが事に当たることも増えてきた。人が行き交い、国に金が落ちることで経済は上向き。だが、治安は悪くなっていくのであった。
そして、かわいいミネルバと、カッテリーナの子は、今は2人で交替で母乳を与えている。交替でとは言っても定期的に起きては泣き出すので、2人とも、寝不足で、いつもうつらうつらしている。
で、その赤ちゃんの名付けをしないといけないのだが…
「お父さん、まだ名前、付けてやれないの?」
「何て付けたらいいかまだ迷っていてね」
まだ名前を付けていなかったのである。
「日本名でもおかしくない名前を付けるべき?いや、こっちの人間の名前は長いから、それらしい名前を付けるべきか…」
「何ブツブツ言ってるんですか?」
二郎がブツブツ独り言を言って、考え事をしていると、隣にエテラーシアがやって来た。
「いや、名前のことで悩んでいてね」
「必ずではないですが、貴族の名前はいくらか長い方が好まれますよ」
「長い名前か…」
またブツブツ独り言を言い出す二郎であった。
そして夜、夕食後、二郎は皆を集め、
「名前を決めました。ミネルバとの子をエルビンに、カッテリーナとの子をコンスタンティンと命名します」
「日本名は棄てたのね」
「あぁ。もうあちらで暮らすこともないからな」
「いいんじゃない?」
「ありがとう」
「それじゃぁ、私から」
今度は薫から話し始めた。
「花菜香と風雅に追加で魔法を教えることを解禁にします」
頑なに嫌がっていた花菜香と風雅への便利魔法の教育を、薫は解禁するらしい。
「教えるのはいつも通り、私がするわ」
「じゃぁ、任せる」
「任された」
そして、その後、薫が休みの日に、花菜香と風雅に魔法の教育をする薫なのであった。
*
「大きいわね」
「あぁ」
二郎と薫、エテラーシアとヨーネスティン、花菜香と風雅は、タンザナティア王国の首都、ビライガのとある屋敷に来ている。タンザナティア王国で、二郎は名誉伯爵の位と屋敷をもらった。今日はその屋敷を見に来たのだ。
中も見てみた。主がいつもいない屋敷でも、中では使用人たちが屋敷の手入れをしていて、いつも綺麗な状態だ。二郎は維持費がちょっともったいないなぁと思いながら、各部屋部屋を見て回った。各部屋で、誰が使うかを決めて、次の場所へ。
「こっちも大きいなぁ」
「本当ねぇ」
二郎は、ジルベチア王国でも名誉伯爵の位と屋敷をもらった。今来たのはジルベチア王国での麻宗邸だ。
こちらも中も見てみた。こちらでも、主がいつもいない屋敷を使用人たちが屋敷の手入れをしていて、いつも綺麗な状態だ。二郎はこちらでも、各部屋部屋を見て回って、誰が使うかを決めていった。
「風雅も変わったわね」
「あぁ」
風雅は日本に居る頃、外へ出ると、興味の赴くまま、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと、落ち着きのない子であった。それが、討伐訓練のときに強く言ったからであろうか、それからはフラフラあちらこちらへ行くことはせず、落ち着いた子になった。
「それじゃぁ、帰ろうか。風雅、ザガンガ王国にゲートを」
「はい」
風雅が開いたゲートで、家族で帰る、二郎たちであった。
1ヶ月後、タンザナティア王国方面へ伸びる、森を切り開いた街道が開通した。ジルベチア王国側の、ハスピリーネ山脈を貫く街道の方は、まだ補強工事が終わってないためまだ開通していない。トンネルの方が手間がかかるのだ。
街道ができたことによって、徐々にではあるが、物が入ってきたらしい。まだそれらは高価なため、一般市民は見ることがない。二郎たちはというと、欲しいものはゲートであちら側へ行って現地の値段で買う。わざわざ何日もかけて運んで、値段の跳ね上がった高い物を買わない。街道が完成しても、二郎たちの生活はあまり変わらなかった。
それから数日後、バーンクリット公爵家に赤ちゃんが生まれた。元気な男の子だ。その子はアレクシスと名付けられ、大事に育てられた。
そのまた数日後、王族に子供が生まれた。元気な女の子だ。アーレイアと名付けられ、大切に育てられた。
それから1ヶ月後、今度はハスピリーネ山脈を貫く街道の方が開通した。これにより、ザガンガ王国へ入ってくる物もあるが、ザガンガ王国を通過して、タンザナティア王国へ。逆に、タンザナティア王国からジルベチア王国への物流ルートができた。
ザガンガ王国を経由しないで、ザガンガ王国のさらに北側、タンザナティア王国とジルベチア王国が接している場所を通ればいいじゃないという話しもあるのだが、あの国境は長年小さな争いが絶えなかった土地柄。治安は悪く、そこを通る商人への目も冷たい。そこでできた新たなルート。こちらは比較的安全で、通るときに文句を言う者も居ない。と、いうわけで、ザガンガ王国を経由して、両国へ行く商人も増えたのだった。
それに伴い、街の治安が悪化し、治安を守る、警備隊の他に、宮廷魔道士の出動も増えてきていた。宮廷魔道士側としては、遠見の魔法での街の監視体制を引いた。揉め事があれば、警備隊に知らせることもあれば、宮廷魔道士自らが事に当たることも増えてきた。人が行き交い、国に金が落ちることで経済は上向き。だが、治安は悪くなっていくのであった。
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる