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守りの聖女と学園生活

入学準備 3

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準備を終えて荷物を詰めた鞄を閉じた。
かつてと比べて荷物が多い。勉強も十分にさせてもらえて嬉しい。
こんなに幸せでいいのだろうか。そんな考えが浮かぶ。

そんな考えを振り払うかのように、突然に窓が叩かれる。…ってここ3階だよ!?

外を見ると、白銀の小鳥がガンガン窓を突いていた。
え。なにこれ怖い。

警戒しながら結界を貼り、窓を開くと小鳥は紙を差し出した。そして、それを取ると私に見向きもせず月に向かって飛び立った。


「なんだろう…?」


一応、浄化の術をかけて手が身についたリボンを外す。くるくると巻いてある紙を伸ばすと、「守りの聖女様」と書いてあるのが見えて目を細めた。

内容に目を通し、丁寧に折り畳む。
相手は聖なる乙女のスキル持ちらしい。つまり、相手も聖女。しかもおそらく超攻撃型の聖女だ。

かつて、同じスキルを持った女性は魔物との戦いにおいて自ら馬を駆り、先頭で旗を掲げて戦ったという。
異国にいると聞いていた違うタイプの聖女が何故かこの国にいることには少し疑問を覚えますが、神の思し召しかもしれませんね。



翌朝、支度を終えて外に出るとなんか昔ジェリーが乗ってたくらいの良い馬車が置いてあった。


「あの、義父様……?」

「聖女が乗る馬車が粗末だとつけいる隙になる」


あ、周囲の騎士様もそういう理由ですね。わかります。貴族には体面も必要なので。

ヴェールは続行である。聖女ってだけでそれが許されるあたり、このスキルは特別であるらしい。これ、冒険者活動が云々や婚約が鬱陶しいからだけではない感じがする。婚約してもしておけって言われているし。
義父様が何かを懸念しているらしいけれど、その理由はわからないまま。とりあえず、しといた方がいいって言うならしときます。


「メグと一緒に学園生活を送れるなんて幸せだな」


そう言って嬉しそうに隣にいるジェリーをアロイスさんが「ドライ殿がいないからって無茶しないでくださいよ」と嗜めた。
ドライさんは年上なので既に卒業すみだ。私の護衛目的で雇った冒険者としてタウンハウスについてきてくれるが、学園内にはよほどがないと入ってこれない。


「マーガレットさんも、できればスキップが可能になれば良いのですが」


アロイスさんは単純に先に自分達が卒業することで一年1人になる私を気遣っているようだ。ジェリーほどではないけれど、人に恐怖を感じることがあるためのことだろう。あと、何かあった時のジェリーが怖いのもあるらしい。

ジェリーはこの国でも珍しいAランクの冒険者になっていた。昇格試験も控えているらしく、アロイスさんも止めるのには苦労しているらしい。
そういうアロイスさんもBランクまではランクが上がっているのでついていくために血の滲むような努力をしたのだろう。この方、前の人生では文官でしたし。

あまり迷惑をかけないように大人しくしておかないといけないなぁ。
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