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守りの聖女と学園生活

過去の手がかり3

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軍は私たちがここで調べ物をしている間、一緒に滞在してくれるらしい。
…なんだか、目の前を通るだけで祈りを捧げられるの怖いからやめてほしい。私はたまたま神の目に止まっただけの普通の人間なので。恩人がいる国なので頑張ってできるだけ守りますけど、そういうのは教会に行って神様にお願いします。本当に。

調べ物のために入ると遺跡の中はまだ少し、魔の気配がした。
それを浄化しながら慎重に歩を進める。
今更焦っても仕方がない。もう何年も前に亡くなった両親だ。親が何者か、だなんて考えたことだってなかった。


(だって、私にとってお父さんはお父さん、お母さんはお母さん以外の何者でもなかったのだもの)


子供にとって親は親。それ以外のことなんて大した問題ではなかった。
けれど、ジェリーに渡したままの時計は時を巻き戻した疑惑があり、お父さんの残していたそれなりの量の地図は精密で、知られない方がいい情報も含まれていた、らしい。例えば私の脱出経路とか。

正直、もう人生は大きく変わったんだし関係ないんじゃないかな、なんて思ったこともあるけれど、もしかしたらこのやり直しに何かしらの意味があるのかもしれないと考えると気楽に考えてばかりもいられない。
私だけならまだしも、ジェリーと一緒なのだから。


「もうすぐ遺跡の最深部だ。油断するなよ」


ドライさんの言葉に頷いた。
ジェリーたちに「後ろに下がっていてください」と声をかける。渋る顔をしていたけれど、「安全のためです」と言うと、ジェリー以外は下がってくれた。……ジェリーは隣でにっこり笑っている。この笑顔の時は大抵引くつもりがない。


「もう、あなたったら」

「何があろうと君の手を離さないと決めたんだ。それに、私なら君の邪魔にはならないだろう?」


その言葉に苦笑する。
何故か、ジェリーの隣にいると魔法の力が増す気がするのは確かだった。

手を前に出して魔力を集中する。周囲を、大好きな人を守れますようにと願いながら結界を張った。
そのタイミングを見計らって、ジェリーが扉を開く。

唸り声が聞こえる。
そして、地をかく音も。

──シュー……カッカッカッ

そんな音が響き、そのあとすぐに“それ”は姿を現した。

漆黒の毛並みに大きな牙。
歴史に名高い英雄さえも死に至らしめることがあったと伝わる生き物がそこには存在した。


「鎧猪か、厄介な…」


アロイスさんの焦ったような声が聞こえたのか、それは大きき嘶いて瞳を赤く光らせた。
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