10 / 10
第10話
しおりを挟む
帰宅した俺はパソコンを立ち上げて、メールの画面を開く。そして神姫に告白が成功したと言うメールを送る。
十分後、神姫から『よくやった!でもある意味でこれからが本番だからな』という返事が来た。
それに苦笑しながら俺はパソコンではなく、携帯を取り出す。そして竹原にメールを送る。
『これから気を引き締めていこうと思います』
今度は五分後、竹原から返信が来た。
『いつから気付いた?』
その内容に俺はもう一度苦笑した。
神姫=竹原。告白の前俺が気付いたことだ。もっとも気付いたと言うよりはそうなんじゃないかなというただの勘であった。しかし何せネットで知り合った相手が自分の直ぐ傍にいるなんて可能性は極端に低い。それこそ無いに等しいだろう。
だがそんなありえない発想を持てたのはおそらく、あの映画を見たからであろう。俺にとってあの映画は自分を重ねてみていた部分がある。だからこそ、神姫が実は身近にいるんじゃないかという発想を持つ事ができた。
『和泉が直ぐに本を返して欲しいなんて言ってないって言ってたし、何よりあの時お前が姿を消したから何となくそう思っただけだ。そしたらビンゴだったってわけ』
『ってことは今シラ切れば隠せたってことじゃん。うわっ、ミスった』
『まぁシラ切られても俺の中ではそういうことで完結させるつもりでいたけどな』
『思い込み激しい男は嫌われるぞ』
『あれ、和泉ってそういうの気にするのか?』
『さぁね。あんたらが今後どうなるかなんてあたしの知ったこっちゃないよ』
竹原の呆れた口調を脳内で再生するのは余裕だった。
『まぁ何はともあれ、お前が誰であれ俺はお前に感謝しているよ。ありがとう』
『別にあんたが感謝するのは神姫だけでいいのよ。精神的にあたしは別人ですから。それに別にあんたのためだけじゃないし』
『どういうこと?』
『成功したんなら分かっただろうけど和泉の好きな相手はあんたなのよ。だからあたしはそっとに手を貸してあげたの。神姫があんたを後押ししただけ』
あくまでも自分ではないと。
『お前いい奴だな』
『惚れんなよ』
『尊敬で止めておくよ』
『それでいい。それじゃこれからも神姫さんは相談をお待ちしているからなんでも相談したまえよ少年』
俺は携帯を閉じる。
「竹原、お前本当にいい奴過ぎるよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
告白から一週間がたった。昼休み、俺は弁当を持ちながら広場に向かった。ベンチの一つに、既に和泉が座っていて、いつも通り何かの本を読んでいた。
「おっす、早いな」
「私達のクラスは昇降口から近いからね。後はダッシュだよ」
和泉は読んでいた本を閉じ、横においていた弁当箱を膝の上に乗せる。そして空いたスペースに俺は腰をかけた。
「ふぅ」
「高崎君どうしたの?」
黙ったままの俺を不思議に思って、和泉が首を傾げる。
「いや、和泉とこういう関係になれたのを今更ながら実感しているだけだ」
「そ、そんなもう一週間だよ!そろそろ慣れようよ!」
「いや、中々この気分は嫌じゃないからもう少し続くと思うぞ」
「えぇ!?」
本気で焦った表情を見せる和泉の頭を優しく触れる。
でも本当にこれは嘘じゃなかった。
和泉と恋人同士になっているこの状態は俺にとっていまだ新鮮であり、そしていつまでに大切にしていきたいことだと思った。
「わ、私もこうして高崎君と二人になれたこと、う、うれしいよ!」
和泉が顔を真っ赤にしながら反論するみたいに言った。
「私だって高崎君のこと、好きだったもん。どう伝えようかってずっと考えてて、本当はあの時私が言おうと思ってたのに。紀美ちゃんは話と違って高崎君連れて行っちゃうし、そしたら高崎君から突然言われちゃうし、なんか私すごい振り回されているんだもん!」
「竹原と話?」
「あ、いやーそのー」
言いよどむ和泉にわざとらしくにらみつける。
和泉は天敵に睨まれた動物のように震えたが、やがて観念したように口を開いた。
「ほ、本当は紀美ちゃんがいい感じの雰囲気作ってくれて告白する流れだったの……」
「竹原が?」
「うん、今回の話を紀美ちゃんに相談したら『じゃあ高崎君捕まえてくる』って。その代わりしっかりやりなよって言われて」
神姫として俺をフォローし、竹原として和泉をフォローしていた。
これから先、俺と和泉がどうなるかわからない。
それこそあの小説の最後と一緒なんだろ。
ただ小説と違うことがあるとすれば。
俺たち二人の間には決してないがしろにしてはいけない大切な存在がいるということだ。
十分後、神姫から『よくやった!でもある意味でこれからが本番だからな』という返事が来た。
それに苦笑しながら俺はパソコンではなく、携帯を取り出す。そして竹原にメールを送る。
『これから気を引き締めていこうと思います』
今度は五分後、竹原から返信が来た。
『いつから気付いた?』
その内容に俺はもう一度苦笑した。
神姫=竹原。告白の前俺が気付いたことだ。もっとも気付いたと言うよりはそうなんじゃないかなというただの勘であった。しかし何せネットで知り合った相手が自分の直ぐ傍にいるなんて可能性は極端に低い。それこそ無いに等しいだろう。
だがそんなありえない発想を持てたのはおそらく、あの映画を見たからであろう。俺にとってあの映画は自分を重ねてみていた部分がある。だからこそ、神姫が実は身近にいるんじゃないかという発想を持つ事ができた。
『和泉が直ぐに本を返して欲しいなんて言ってないって言ってたし、何よりあの時お前が姿を消したから何となくそう思っただけだ。そしたらビンゴだったってわけ』
『ってことは今シラ切れば隠せたってことじゃん。うわっ、ミスった』
『まぁシラ切られても俺の中ではそういうことで完結させるつもりでいたけどな』
『思い込み激しい男は嫌われるぞ』
『あれ、和泉ってそういうの気にするのか?』
『さぁね。あんたらが今後どうなるかなんてあたしの知ったこっちゃないよ』
竹原の呆れた口調を脳内で再生するのは余裕だった。
『まぁ何はともあれ、お前が誰であれ俺はお前に感謝しているよ。ありがとう』
『別にあんたが感謝するのは神姫だけでいいのよ。精神的にあたしは別人ですから。それに別にあんたのためだけじゃないし』
『どういうこと?』
『成功したんなら分かっただろうけど和泉の好きな相手はあんたなのよ。だからあたしはそっとに手を貸してあげたの。神姫があんたを後押ししただけ』
あくまでも自分ではないと。
『お前いい奴だな』
『惚れんなよ』
『尊敬で止めておくよ』
『それでいい。それじゃこれからも神姫さんは相談をお待ちしているからなんでも相談したまえよ少年』
俺は携帯を閉じる。
「竹原、お前本当にいい奴過ぎるよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
告白から一週間がたった。昼休み、俺は弁当を持ちながら広場に向かった。ベンチの一つに、既に和泉が座っていて、いつも通り何かの本を読んでいた。
「おっす、早いな」
「私達のクラスは昇降口から近いからね。後はダッシュだよ」
和泉は読んでいた本を閉じ、横においていた弁当箱を膝の上に乗せる。そして空いたスペースに俺は腰をかけた。
「ふぅ」
「高崎君どうしたの?」
黙ったままの俺を不思議に思って、和泉が首を傾げる。
「いや、和泉とこういう関係になれたのを今更ながら実感しているだけだ」
「そ、そんなもう一週間だよ!そろそろ慣れようよ!」
「いや、中々この気分は嫌じゃないからもう少し続くと思うぞ」
「えぇ!?」
本気で焦った表情を見せる和泉の頭を優しく触れる。
でも本当にこれは嘘じゃなかった。
和泉と恋人同士になっているこの状態は俺にとっていまだ新鮮であり、そしていつまでに大切にしていきたいことだと思った。
「わ、私もこうして高崎君と二人になれたこと、う、うれしいよ!」
和泉が顔を真っ赤にしながら反論するみたいに言った。
「私だって高崎君のこと、好きだったもん。どう伝えようかってずっと考えてて、本当はあの時私が言おうと思ってたのに。紀美ちゃんは話と違って高崎君連れて行っちゃうし、そしたら高崎君から突然言われちゃうし、なんか私すごい振り回されているんだもん!」
「竹原と話?」
「あ、いやーそのー」
言いよどむ和泉にわざとらしくにらみつける。
和泉は天敵に睨まれた動物のように震えたが、やがて観念したように口を開いた。
「ほ、本当は紀美ちゃんがいい感じの雰囲気作ってくれて告白する流れだったの……」
「竹原が?」
「うん、今回の話を紀美ちゃんに相談したら『じゃあ高崎君捕まえてくる』って。その代わりしっかりやりなよって言われて」
神姫として俺をフォローし、竹原として和泉をフォローしていた。
これから先、俺と和泉がどうなるかわからない。
それこそあの小説の最後と一緒なんだろ。
ただ小説と違うことがあるとすれば。
俺たち二人の間には決してないがしろにしてはいけない大切な存在がいるということだ。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる