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第10話
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帰宅した俺はパソコンを立ち上げて、メールの画面を開く。そして神姫に告白が成功したと言うメールを送る。
十分後、神姫から『よくやった!でもある意味でこれからが本番だからな』という返事が来た。
それに苦笑しながら俺はパソコンではなく、携帯を取り出す。そして竹原にメールを送る。
『これから気を引き締めていこうと思います』
今度は五分後、竹原から返信が来た。
『いつから気付いた?』
その内容に俺はもう一度苦笑した。
神姫=竹原。告白の前俺が気付いたことだ。もっとも気付いたと言うよりはそうなんじゃないかなというただの勘であった。しかし何せネットで知り合った相手が自分の直ぐ傍にいるなんて可能性は極端に低い。それこそ無いに等しいだろう。
だがそんなありえない発想を持てたのはおそらく、あの映画を見たからであろう。俺にとってあの映画は自分を重ねてみていた部分がある。だからこそ、神姫が実は身近にいるんじゃないかという発想を持つ事ができた。
『和泉が直ぐに本を返して欲しいなんて言ってないって言ってたし、何よりあの時お前が姿を消したから何となくそう思っただけだ。そしたらビンゴだったってわけ』
『ってことは今シラ切れば隠せたってことじゃん。うわっ、ミスった』
『まぁシラ切られても俺の中ではそういうことで完結させるつもりでいたけどな』
『思い込み激しい男は嫌われるぞ』
『あれ、和泉ってそういうの気にするのか?』
『さぁね。あんたらが今後どうなるかなんてあたしの知ったこっちゃないよ』
竹原の呆れた口調を脳内で再生するのは余裕だった。
『まぁ何はともあれ、お前が誰であれ俺はお前に感謝しているよ。ありがとう』
『別にあんたが感謝するのは神姫だけでいいのよ。精神的にあたしは別人ですから。それに別にあんたのためだけじゃないし』
『どういうこと?』
『成功したんなら分かっただろうけど和泉の好きな相手はあんたなのよ。だからあたしはそっとに手を貸してあげたの。神姫があんたを後押ししただけ』
あくまでも自分ではないと。
『お前いい奴だな』
『惚れんなよ』
『尊敬で止めておくよ』
『それでいい。それじゃこれからも神姫さんは相談をお待ちしているからなんでも相談したまえよ少年』
俺は携帯を閉じる。
「竹原、お前本当にいい奴過ぎるよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
告白から一週間がたった。昼休み、俺は弁当を持ちながら広場に向かった。ベンチの一つに、既に和泉が座っていて、いつも通り何かの本を読んでいた。
「おっす、早いな」
「私達のクラスは昇降口から近いからね。後はダッシュだよ」
和泉は読んでいた本を閉じ、横においていた弁当箱を膝の上に乗せる。そして空いたスペースに俺は腰をかけた。
「ふぅ」
「高崎君どうしたの?」
黙ったままの俺を不思議に思って、和泉が首を傾げる。
「いや、和泉とこういう関係になれたのを今更ながら実感しているだけだ」
「そ、そんなもう一週間だよ!そろそろ慣れようよ!」
「いや、中々この気分は嫌じゃないからもう少し続くと思うぞ」
「えぇ!?」
本気で焦った表情を見せる和泉の頭を優しく触れる。
でも本当にこれは嘘じゃなかった。
和泉と恋人同士になっているこの状態は俺にとっていまだ新鮮であり、そしていつまでに大切にしていきたいことだと思った。
「わ、私もこうして高崎君と二人になれたこと、う、うれしいよ!」
和泉が顔を真っ赤にしながら反論するみたいに言った。
「私だって高崎君のこと、好きだったもん。どう伝えようかってずっと考えてて、本当はあの時私が言おうと思ってたのに。紀美ちゃんは話と違って高崎君連れて行っちゃうし、そしたら高崎君から突然言われちゃうし、なんか私すごい振り回されているんだもん!」
「竹原と話?」
「あ、いやーそのー」
言いよどむ和泉にわざとらしくにらみつける。
和泉は天敵に睨まれた動物のように震えたが、やがて観念したように口を開いた。
「ほ、本当は紀美ちゃんがいい感じの雰囲気作ってくれて告白する流れだったの……」
「竹原が?」
「うん、今回の話を紀美ちゃんに相談したら『じゃあ高崎君捕まえてくる』って。その代わりしっかりやりなよって言われて」
神姫として俺をフォローし、竹原として和泉をフォローしていた。
これから先、俺と和泉がどうなるかわからない。
それこそあの小説の最後と一緒なんだろ。
ただ小説と違うことがあるとすれば。
俺たち二人の間には決してないがしろにしてはいけない大切な存在がいるということだ。
十分後、神姫から『よくやった!でもある意味でこれからが本番だからな』という返事が来た。
それに苦笑しながら俺はパソコンではなく、携帯を取り出す。そして竹原にメールを送る。
『これから気を引き締めていこうと思います』
今度は五分後、竹原から返信が来た。
『いつから気付いた?』
その内容に俺はもう一度苦笑した。
神姫=竹原。告白の前俺が気付いたことだ。もっとも気付いたと言うよりはそうなんじゃないかなというただの勘であった。しかし何せネットで知り合った相手が自分の直ぐ傍にいるなんて可能性は極端に低い。それこそ無いに等しいだろう。
だがそんなありえない発想を持てたのはおそらく、あの映画を見たからであろう。俺にとってあの映画は自分を重ねてみていた部分がある。だからこそ、神姫が実は身近にいるんじゃないかという発想を持つ事ができた。
『和泉が直ぐに本を返して欲しいなんて言ってないって言ってたし、何よりあの時お前が姿を消したから何となくそう思っただけだ。そしたらビンゴだったってわけ』
『ってことは今シラ切れば隠せたってことじゃん。うわっ、ミスった』
『まぁシラ切られても俺の中ではそういうことで完結させるつもりでいたけどな』
『思い込み激しい男は嫌われるぞ』
『あれ、和泉ってそういうの気にするのか?』
『さぁね。あんたらが今後どうなるかなんてあたしの知ったこっちゃないよ』
竹原の呆れた口調を脳内で再生するのは余裕だった。
『まぁ何はともあれ、お前が誰であれ俺はお前に感謝しているよ。ありがとう』
『別にあんたが感謝するのは神姫だけでいいのよ。精神的にあたしは別人ですから。それに別にあんたのためだけじゃないし』
『どういうこと?』
『成功したんなら分かっただろうけど和泉の好きな相手はあんたなのよ。だからあたしはそっとに手を貸してあげたの。神姫があんたを後押ししただけ』
あくまでも自分ではないと。
『お前いい奴だな』
『惚れんなよ』
『尊敬で止めておくよ』
『それでいい。それじゃこれからも神姫さんは相談をお待ちしているからなんでも相談したまえよ少年』
俺は携帯を閉じる。
「竹原、お前本当にいい奴過ぎるよ」
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告白から一週間がたった。昼休み、俺は弁当を持ちながら広場に向かった。ベンチの一つに、既に和泉が座っていて、いつも通り何かの本を読んでいた。
「おっす、早いな」
「私達のクラスは昇降口から近いからね。後はダッシュだよ」
和泉は読んでいた本を閉じ、横においていた弁当箱を膝の上に乗せる。そして空いたスペースに俺は腰をかけた。
「ふぅ」
「高崎君どうしたの?」
黙ったままの俺を不思議に思って、和泉が首を傾げる。
「いや、和泉とこういう関係になれたのを今更ながら実感しているだけだ」
「そ、そんなもう一週間だよ!そろそろ慣れようよ!」
「いや、中々この気分は嫌じゃないからもう少し続くと思うぞ」
「えぇ!?」
本気で焦った表情を見せる和泉の頭を優しく触れる。
でも本当にこれは嘘じゃなかった。
和泉と恋人同士になっているこの状態は俺にとっていまだ新鮮であり、そしていつまでに大切にしていきたいことだと思った。
「わ、私もこうして高崎君と二人になれたこと、う、うれしいよ!」
和泉が顔を真っ赤にしながら反論するみたいに言った。
「私だって高崎君のこと、好きだったもん。どう伝えようかってずっと考えてて、本当はあの時私が言おうと思ってたのに。紀美ちゃんは話と違って高崎君連れて行っちゃうし、そしたら高崎君から突然言われちゃうし、なんか私すごい振り回されているんだもん!」
「竹原と話?」
「あ、いやーそのー」
言いよどむ和泉にわざとらしくにらみつける。
和泉は天敵に睨まれた動物のように震えたが、やがて観念したように口を開いた。
「ほ、本当は紀美ちゃんがいい感じの雰囲気作ってくれて告白する流れだったの……」
「竹原が?」
「うん、今回の話を紀美ちゃんに相談したら『じゃあ高崎君捕まえてくる』って。その代わりしっかりやりなよって言われて」
神姫として俺をフォローし、竹原として和泉をフォローしていた。
これから先、俺と和泉がどうなるかわからない。
それこそあの小説の最後と一緒なんだろ。
ただ小説と違うことがあるとすれば。
俺たち二人の間には決してないがしろにしてはいけない大切な存在がいるということだ。
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