不倫の偽装に使われて、どうして私が隣国に嫁ぐことに?

柏木

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8話:

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 ルドルフェンは例外としても、他二人の弟王子たちは、本当に興味本位という感じだった。
 第二王子とは年が離れているというのもあるかもしれない。一人は十二歳、一番下は八歳だ。
 それでも一応王子だからなのか、理性的な言葉を話すし、兄とのことを根掘り葉掘り聞いてくる。それを上手にかわして帰宅を見送り、公務の資料を見るというのがいまの生活サイクルとなっていた。

「妹もいたはずだけど、特に来ないわね……」

 普通の王子妃みたいに暮らし始めているけれど、こんなはずではなかった。
 問題は、私が王女の偽物であり、公務を第一王子の妻としてメインで任されることになったことだ。本当なら、複数の妻がいて、私は表に出ることがないという想定だった。第一妻の金魚のフンだったはずだ。それがなぜか、次期国王に最も近い男のたった一人の妻となって、内政や外交にも顔を出さなければならなくなった。

 はっきり言ってこの状況はヤバイ。

 もし、替え玉がバレたら、母国ごと根絶やしにされるだけでは済まないだろう。
 私については火刑に処されてもおかしくない。
 それらしき法文もあるようで、子供でもお腹に宿そうものなら、お腹の子ともども即処刑である。
 血を汚す罪はこの国ではかなり重い。そういう国の事情もあって、娶るのが王女だったのだろう。実はそのへんの木っ端貴族が選ばれたなど、もはや口が裂けても言えない。
 初夜がなくて良かったと思う反面、それ以上の問題が山積したのである。

「えっと最初の公務は、あれか」

 予定表を見ると、国内の視察の体で国の内情を勉強する機会となっており、その後、重要な人物との会合や周辺諸国との国交会談など、明らかに身の丈に合わない業務がズラッと並んでいた。

 さて問題です。
 ここで私が逃げ出したらどうなるでしょう。
 答えは、『地の果てまで追いかけられて処刑、母国も滅ぼされる』だ。

 結婚を予定している王女が直前で逃げ出したとなれば、メンツがたたないし、大概的な噂にもなる。それは国そのものを侮辱する行為である。王を軽く侮辱しただけでも死刑なのに、国全体を貶める行為など相応の報いが自分に襲いかかってくることだろう。

「そりゃ、そうなるわよね……。これ、本当ならあの浮気した王女様がすべきことなんだもの。国のために生まれて、そのための業務をこなす高貴な人物なのだし、私が代わりにやることがもうおかしいのよ。しかもこれ全部!」

 頭の中に、いまごろバカンスして夫婦楽しく過ごしていそうだ。王女が幸せの絶頂にいると思うと、その笑顔の想像だけで目の前の資料を破り捨てそうになった。
 理性を取り戻して、慌ててその破れかけた部分を手で押さえて、何事もなかったかのように装う。

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