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10話:
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さて、問題を整理したいと思う。
スタルク第一王子と正式な結婚が発表されるまであまり時間がない。
辞退する?
ありえないわ。
かといって婚姻を破棄して祖国に戻れば責任を追求される。なにより、軍事大国ソドルに国ごと滅ぼされる危険がある。しかし、このままこの国で結婚生活をしていても、スタルクはあの調子で、将来に子をという話になれば、何がきっかけで替え玉と知られるかわからない。
事実を話せば即火刑。
「いえ、ちょっと待つのよ……」
向こうからどうしても断りたい、と言われたらどうかしらね。
王女が期待通りではなく、結婚に値しないのだとしたら。
最初に警告されたように、女性が本来そうすべき淑女の振る舞いをせず、むしろ正反対に無鉄砲で天真爛漫、強気に男性にも歯向かう感じでいければ……。
やりすぎないように注意は必要だけど、この作戦は意外といけるかもしれない。
私はその態度を少し部屋で練習してみた。
「あなた、ちょっとそこをどきなさい!」
もっと蔑んだ感じのほうがいいかしら?
「ふっ、殿方としては力強くて素敵ですわね(笑)」
直接的ではなく、嫌味をもっときかせたほうがいいかもしれない。
「あら、いらっしゃったの? 見えませんでした視界に入らなくて」
いや、喧嘩をうっているみたいになってしまった。最か二番目の感じでとりあえずいってみようかしら。
その様子を扉から覗く側仕えや護衛に、頭の心配をされているとはつゆ知らず。しばしの練習の後、未来のために行動を起こすことにした。
最初は少しだけ粗雑さが目立つくらいにして、だんだん横暴さが目立つようになるというシナリオだ。「王子妃になったことで増長した」くらいに思われるのが良い。
それから3日。
出会った男性には、とりあえず、心のなかで(笑)を付ける感じに対応し、若干わがままが目立つ感じに振る舞った。王子たちが来た時は、今日は気分ではないと雑に追い返した。少し仲良くなったタイミングで、態度の違いを見せるのにはちょうどよかった。
これで報告が確実に行くはずだ。
次に、王の住まう宮殿に足を運ぶ仕事があり、宮廷直属の高官や事務員と中をまわることになった。
「これはこれは、第一王子妃様。今日は一緒にまわらせていただきます」
頭の天辺から髪が薄くなった高官の中年男性だ。
言葉遣いは普通だが、心のうちに蔑みを感じる。この国柄の男性とはこういうものなのだろう。
「今日は総務部と財務部を見て回り」
持ってきた扇子でわざとらしく顔を隠して、話しかけてくる会話を遮断する感じにしてみた。
「あの、聞いておられますか?」
「御託はもういいですわ。テキトーに見学したことにして、帰らせていただきます。今日は家で読書の続きがしたいのです」
特に読みたい作品があるわけでなく、テキトーに言い訳をする。
その慇懃無礼な態度に顔の表情が少し変わる。
身分階級的には彼が下だが、男女差別が強い国のため、態度にはもろに出るのだろう。後で誰かに文句を言うはずだ。そうすれば、確実に伝わるだろう。
「左様でしたか。ふんっ、これだから女は……」
高官の誰だったかしら、とにかくこの人は心の中で留めなければいけない言葉も外に出すほど不機嫌になった。
しばらくの間、書類作業をする職員やお金をチェックする作業を眺めた。
そこから独自の貨幣をチェックしているところに、私が手を伸ばした。
「あ、ちょっとそれはお触りに」
止められそうになって、逆に睨み返した。
強気の姿勢である。
「なに、この私が触れない場所や物が宮殿にはあるというのかしら?」
「い、いえ……。未来の王となりえるその妃様にしてはならぬことなど」
私は彼の目を見ると、あると言いたげだった。
けれど、本当に后になる相手なら、夫を通じて彼を解任することも降格することもできるため、この場で強いことが言えないのだろう。
「そう、なら私のすることに口は出さないでしょうだい。あなたも自分の立場が大事なのでしょう?」
「はい……。このくそ女」
だから、心の声が表に出てるってば。
私じゃなくて、本当に横暴で傲慢な妃だったら、どうなっているかわからない。
その少ない頭の上のモサモサを全部むしり取られてツルツルにされてるかもしれないのだ。
そうこうして本当なら半日をかけてまわる公務の予定が、その三分の一程度で終わってしまう。
宮殿内の仕事をしる機会で具体的に何かをするわけではないため、本当にただの見学だった。
作戦はおおむね成功である。
反応は意外と早く、その二日後にはスタルク第一王子が邸宅に来訪するという知らせが来た。
ほとんどここに顔を出さない彼が来るのだから、この作戦で起こした変貌ぶりが認識され始めていると見て間違い。
スタルク第一王子と正式な結婚が発表されるまであまり時間がない。
辞退する?
ありえないわ。
かといって婚姻を破棄して祖国に戻れば責任を追求される。なにより、軍事大国ソドルに国ごと滅ぼされる危険がある。しかし、このままこの国で結婚生活をしていても、スタルクはあの調子で、将来に子をという話になれば、何がきっかけで替え玉と知られるかわからない。
事実を話せば即火刑。
「いえ、ちょっと待つのよ……」
向こうからどうしても断りたい、と言われたらどうかしらね。
王女が期待通りではなく、結婚に値しないのだとしたら。
最初に警告されたように、女性が本来そうすべき淑女の振る舞いをせず、むしろ正反対に無鉄砲で天真爛漫、強気に男性にも歯向かう感じでいければ……。
やりすぎないように注意は必要だけど、この作戦は意外といけるかもしれない。
私はその態度を少し部屋で練習してみた。
「あなた、ちょっとそこをどきなさい!」
もっと蔑んだ感じのほうがいいかしら?
「ふっ、殿方としては力強くて素敵ですわね(笑)」
直接的ではなく、嫌味をもっときかせたほうがいいかもしれない。
「あら、いらっしゃったの? 見えませんでした視界に入らなくて」
いや、喧嘩をうっているみたいになってしまった。最か二番目の感じでとりあえずいってみようかしら。
その様子を扉から覗く側仕えや護衛に、頭の心配をされているとはつゆ知らず。しばしの練習の後、未来のために行動を起こすことにした。
最初は少しだけ粗雑さが目立つくらいにして、だんだん横暴さが目立つようになるというシナリオだ。「王子妃になったことで増長した」くらいに思われるのが良い。
それから3日。
出会った男性には、とりあえず、心のなかで(笑)を付ける感じに対応し、若干わがままが目立つ感じに振る舞った。王子たちが来た時は、今日は気分ではないと雑に追い返した。少し仲良くなったタイミングで、態度の違いを見せるのにはちょうどよかった。
これで報告が確実に行くはずだ。
次に、王の住まう宮殿に足を運ぶ仕事があり、宮廷直属の高官や事務員と中をまわることになった。
「これはこれは、第一王子妃様。今日は一緒にまわらせていただきます」
頭の天辺から髪が薄くなった高官の中年男性だ。
言葉遣いは普通だが、心のうちに蔑みを感じる。この国柄の男性とはこういうものなのだろう。
「今日は総務部と財務部を見て回り」
持ってきた扇子でわざとらしく顔を隠して、話しかけてくる会話を遮断する感じにしてみた。
「あの、聞いておられますか?」
「御託はもういいですわ。テキトーに見学したことにして、帰らせていただきます。今日は家で読書の続きがしたいのです」
特に読みたい作品があるわけでなく、テキトーに言い訳をする。
その慇懃無礼な態度に顔の表情が少し変わる。
身分階級的には彼が下だが、男女差別が強い国のため、態度にはもろに出るのだろう。後で誰かに文句を言うはずだ。そうすれば、確実に伝わるだろう。
「左様でしたか。ふんっ、これだから女は……」
高官の誰だったかしら、とにかくこの人は心の中で留めなければいけない言葉も外に出すほど不機嫌になった。
しばらくの間、書類作業をする職員やお金をチェックする作業を眺めた。
そこから独自の貨幣をチェックしているところに、私が手を伸ばした。
「あ、ちょっとそれはお触りに」
止められそうになって、逆に睨み返した。
強気の姿勢である。
「なに、この私が触れない場所や物が宮殿にはあるというのかしら?」
「い、いえ……。未来の王となりえるその妃様にしてはならぬことなど」
私は彼の目を見ると、あると言いたげだった。
けれど、本当に后になる相手なら、夫を通じて彼を解任することも降格することもできるため、この場で強いことが言えないのだろう。
「そう、なら私のすることに口は出さないでしょうだい。あなたも自分の立場が大事なのでしょう?」
「はい……。このくそ女」
だから、心の声が表に出てるってば。
私じゃなくて、本当に横暴で傲慢な妃だったら、どうなっているかわからない。
その少ない頭の上のモサモサを全部むしり取られてツルツルにされてるかもしれないのだ。
そうこうして本当なら半日をかけてまわる公務の予定が、その三分の一程度で終わってしまう。
宮殿内の仕事をしる機会で具体的に何かをするわけではないため、本当にただの見学だった。
作戦はおおむね成功である。
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