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第4話:氷の公爵
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泥と雨にまみれて倒れたはずの体に、柔らかなシーツの感触が広がる。深く沈んでいた意識が、ゆっくりと水面に浮かび上がるように戻っていく。全身を襲っていた凍えるような寒さは消え失せ、代わりにじんわりと温かい空気が肌を撫でた。窓から差し込む陽光と静かな時計の音が、冷たく沈んだ私の心を少しずつ溶かしていくようだった。
恐る恐る目を開けると、そこは簡素だが清潔な部屋だった。まとわりつくような森の瘴気の気配はどこにもない。耳を澄ませば、遠くで聞こえる、街の喧騒とも違う、どこか雄大な水の流れる音。まるで、世界から切り離された特別な場所のようだった。
「目が覚めたか」
低く、静かな声が、その静寂を破った。私は弾かれたように体を起こし、声の主を探す。ベッドのそばの椅子に、一人の男性が静かに腰掛けていた。まるで獲物を観察する猛禽類のように鋭い視線が私に向けられる。それは凍てつくように冷たいが、同時に一切の感情を読み取らせない深みを湛えていた。
銀に近いプラチナブロンドの髪が、差し込む光を反射してきらめく。雪を切り取ったかのような完璧な造形。その人間離れした美しさは、ただそこにいるだけで周囲の空気を支配するような威厳を放っていた。そして、すべてを見透かすような、深いアイスブルーの瞳。それはまさに氷の彫像に魂が宿ったかのような冷たさと、心を奪われるほどの美しさを兼ね備えていた。
そして、私は気づく。倒れる直前に感じた、あの清らかで心を安らげるような花の香気。それは、この男性から発せられているのだと。彼の存在そのものが、この部屋の空気を浄化し、安らぎをもたらしているかのようだった。私の体は、彼の存在を本能的に求めているようだった。
「…あなたは?」
かろうじて絞り出した声は、長らく発していなかったせいで、自分でも驚くほどかすれていた。
「この館の主、ユリウス・フォン・ヴァルテンベルク公爵だ」
感情の起伏が一切感じられない、淡々とした声。
「お前が何者か、聞かせてもらおう。どこの間者だ?」
その言葉に、私の心臓は鷲掴みにされたように凍りついた。「間者」、スパイ。そんな危険な言葉が、まさか私に向けられるなんて。全身の血の気が引くのを感じながら、私は慌てて首を横に振った。
「違うんです…私、えっと、その…日本、っていう…別の世界から来たんです」
「…ほう、日本」ユリウスの声に、わずかな皮肉が混じった。「その荒唐無稽な話の続きを聞こうか」
私はしどろもどろになりながら、玉座の間で起きた一部始終を語った。ユナが真の聖女とされ、自分が「無能」として追放されたこと。言葉に詰まりそうになるたび、あの日の屈辱と絶望が胸を締めつけ、声が震える。ユリウスは、ただ黙って話を聞いていた。そのアイスブルーの瞳だけが、私の顔の微かな動きや、視線の揺れを執拗なまでに観察している。
話が途切れると、彼は静かに口を開いた。
「お前が召喚されたという王都の、儀式を執り行った神官長の名は?」
あまりに唐突で、具体的な質問だった。試されているのだと、すぐに理解できた。
「テオドール様、という方でした。白い、長いお髭の…」
幸い、私はあの老神官の顔をはっきりと覚えていた。あの無慈悲な宣告をした人物を、忘れられるはずがなかった。
「ほう」
ユリウスは短く相槌を打つだけだったが、その瞳の奥に、長年張り詰めていた緊張が、ほんのわずかに解けかけたような光を見た気がした。信じがたい事実だが、彼の体自身が、この女の存在と、その言葉の真実を証明していた。彼の頭の奥で鳴り響いていた、原因不明の鈍い痛みが、今は嘘のように和らいでいたのだ。
「お前の力とやらは、一体何なのだ」
「力、なんて…」
玉座の間での屈辱と、人々に向けられた嘲笑が、今も耳の奥でこだまする。私の能力は、あの場にいた誰にも認められず、「無価値」と嘲られた。
「ただ…少し、花の香りがするだけです。何の役にも立たない、本当に、無価値な…」
そう口にすると、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。再び襲いかかる屈辱に、視界が滲む。唇を噛み締め、強く握りしめられた両手が震えた。その瞬間、ユリウスの瞳の奥に、一瞬だけ熱が宿ったように見えた。彼は微動だにしなかったが、彼の指先がわずかに震えるのを、私は見逃さなかった。彼の内心の驚きと、私の言葉との間に生まれた決定的な断絶。その意味に、まだ私は気づくことができなかった。
長い沈黙の後、ユリウスは立ち上がった。その動きは滑らかで、一切の無駄がない。
「お前の話は、にわかには信じがたい。だが、お前がただの浮浪者でないことも事実だ」
彼は、まるで冷たいビジネスの話でもするかのように、淡々と告げた。
「よって、お前を私の監視下に置く。この館から出ることは許さん。その代わり、衣食住は保証しよう」
監視。その言葉は、ほとんど監禁と同じ意味に聞こえた。私は、彼の感情の読めない瞳を見て、背筋に冷たいものが走るのを感じた。怖い。この、氷のように冷徹な人のそばにいるなんて、恐ろしい。だが、同時に、あの暗い森と、獣の赤い目が脳裏によみがえる。冷たい雨に打たれ、飢えに苦しみ、ただ一人孤独に死を待っていたあの時間。それに比べれば、屋根があり、温かい食事が保証されるこの場所は、天国ではないか。
(どうして…安心しているの、私は…?)
震える声とは裏腹に、思わず涙が頬を伝い、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。恐怖と安堵。その正反対の感情に引き裂かれそうになりながらも、私は、この氷のような人のそばにいることを受け入れた。
「…わ、かりました。よろしく、お願いします」
一呼吸の間が空く。部屋の静寂が再び訪れ、先ほどの言葉の重みが部屋に凍りついたようだった。ユリウスは、私の返答に頷くこともなく、ただ静かに言った。
「契約成立だな」
そう言うと、彼は部屋の扉へと向かった。これで話は終わりらしい。彼が扉に手をかけ、出ていこうとした、その時だった。
彼は、私の方を振り返りもせず、最後通告のように言った。その声には、冷たさの中にも、確固たる意志が宿っていた。
「一つ忠告しておく。ここでは、その『ただの香り』の価値を、お前自身が証明しろ。できなければ、お前にここにいる意味はない」
その声は、冷たい響きの中に、私という存在を試すような、あるいは新たな挑戦を促すような、不思議な熱を帯びていた。これは、彼が私に与えた、たった一つのチャンスなのだ。ここで証明できなければ、私は再び、あの森へ放り出される。それは、すなわち死を意味する。
私は、彼の広い背中に向かって、強く頷いた。絶望の底から拾われた私の、新たな試練と物語が、この冷徹な公爵の下で、今、始まろうとしていた。
恐る恐る目を開けると、そこは簡素だが清潔な部屋だった。まとわりつくような森の瘴気の気配はどこにもない。耳を澄ませば、遠くで聞こえる、街の喧騒とも違う、どこか雄大な水の流れる音。まるで、世界から切り離された特別な場所のようだった。
「目が覚めたか」
低く、静かな声が、その静寂を破った。私は弾かれたように体を起こし、声の主を探す。ベッドのそばの椅子に、一人の男性が静かに腰掛けていた。まるで獲物を観察する猛禽類のように鋭い視線が私に向けられる。それは凍てつくように冷たいが、同時に一切の感情を読み取らせない深みを湛えていた。
銀に近いプラチナブロンドの髪が、差し込む光を反射してきらめく。雪を切り取ったかのような完璧な造形。その人間離れした美しさは、ただそこにいるだけで周囲の空気を支配するような威厳を放っていた。そして、すべてを見透かすような、深いアイスブルーの瞳。それはまさに氷の彫像に魂が宿ったかのような冷たさと、心を奪われるほどの美しさを兼ね備えていた。
そして、私は気づく。倒れる直前に感じた、あの清らかで心を安らげるような花の香気。それは、この男性から発せられているのだと。彼の存在そのものが、この部屋の空気を浄化し、安らぎをもたらしているかのようだった。私の体は、彼の存在を本能的に求めているようだった。
「…あなたは?」
かろうじて絞り出した声は、長らく発していなかったせいで、自分でも驚くほどかすれていた。
「この館の主、ユリウス・フォン・ヴァルテンベルク公爵だ」
感情の起伏が一切感じられない、淡々とした声。
「お前が何者か、聞かせてもらおう。どこの間者だ?」
その言葉に、私の心臓は鷲掴みにされたように凍りついた。「間者」、スパイ。そんな危険な言葉が、まさか私に向けられるなんて。全身の血の気が引くのを感じながら、私は慌てて首を横に振った。
「違うんです…私、えっと、その…日本、っていう…別の世界から来たんです」
「…ほう、日本」ユリウスの声に、わずかな皮肉が混じった。「その荒唐無稽な話の続きを聞こうか」
私はしどろもどろになりながら、玉座の間で起きた一部始終を語った。ユナが真の聖女とされ、自分が「無能」として追放されたこと。言葉に詰まりそうになるたび、あの日の屈辱と絶望が胸を締めつけ、声が震える。ユリウスは、ただ黙って話を聞いていた。そのアイスブルーの瞳だけが、私の顔の微かな動きや、視線の揺れを執拗なまでに観察している。
話が途切れると、彼は静かに口を開いた。
「お前が召喚されたという王都の、儀式を執り行った神官長の名は?」
あまりに唐突で、具体的な質問だった。試されているのだと、すぐに理解できた。
「テオドール様、という方でした。白い、長いお髭の…」
幸い、私はあの老神官の顔をはっきりと覚えていた。あの無慈悲な宣告をした人物を、忘れられるはずがなかった。
「ほう」
ユリウスは短く相槌を打つだけだったが、その瞳の奥に、長年張り詰めていた緊張が、ほんのわずかに解けかけたような光を見た気がした。信じがたい事実だが、彼の体自身が、この女の存在と、その言葉の真実を証明していた。彼の頭の奥で鳴り響いていた、原因不明の鈍い痛みが、今は嘘のように和らいでいたのだ。
「お前の力とやらは、一体何なのだ」
「力、なんて…」
玉座の間での屈辱と、人々に向けられた嘲笑が、今も耳の奥でこだまする。私の能力は、あの場にいた誰にも認められず、「無価値」と嘲られた。
「ただ…少し、花の香りがするだけです。何の役にも立たない、本当に、無価値な…」
そう口にすると、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。再び襲いかかる屈辱に、視界が滲む。唇を噛み締め、強く握りしめられた両手が震えた。その瞬間、ユリウスの瞳の奥に、一瞬だけ熱が宿ったように見えた。彼は微動だにしなかったが、彼の指先がわずかに震えるのを、私は見逃さなかった。彼の内心の驚きと、私の言葉との間に生まれた決定的な断絶。その意味に、まだ私は気づくことができなかった。
長い沈黙の後、ユリウスは立ち上がった。その動きは滑らかで、一切の無駄がない。
「お前の話は、にわかには信じがたい。だが、お前がただの浮浪者でないことも事実だ」
彼は、まるで冷たいビジネスの話でもするかのように、淡々と告げた。
「よって、お前を私の監視下に置く。この館から出ることは許さん。その代わり、衣食住は保証しよう」
監視。その言葉は、ほとんど監禁と同じ意味に聞こえた。私は、彼の感情の読めない瞳を見て、背筋に冷たいものが走るのを感じた。怖い。この、氷のように冷徹な人のそばにいるなんて、恐ろしい。だが、同時に、あの暗い森と、獣の赤い目が脳裏によみがえる。冷たい雨に打たれ、飢えに苦しみ、ただ一人孤独に死を待っていたあの時間。それに比べれば、屋根があり、温かい食事が保証されるこの場所は、天国ではないか。
(どうして…安心しているの、私は…?)
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「…わ、かりました。よろしく、お願いします」
一呼吸の間が空く。部屋の静寂が再び訪れ、先ほどの言葉の重みが部屋に凍りついたようだった。ユリウスは、私の返答に頷くこともなく、ただ静かに言った。
「契約成立だな」
そう言うと、彼は部屋の扉へと向かった。これで話は終わりらしい。彼が扉に手をかけ、出ていこうとした、その時だった。
彼は、私の方を振り返りもせず、最後通告のように言った。その声には、冷たさの中にも、確固たる意志が宿っていた。
「一つ忠告しておく。ここでは、その『ただの香り』の価値を、お前自身が証明しろ。できなければ、お前にここにいる意味はない」
その声は、冷たい響きの中に、私という存在を試すような、あるいは新たな挑戦を促すような、不思議な熱を帯びていた。これは、彼が私に与えた、たった一つのチャンスなのだ。ここで証明できなければ、私は再び、あの森へ放り出される。それは、すなわち死を意味する。
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