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第18話:招かれざる来訪者
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穏やかな時間は、ガラスのように砕け散った。
騎士の報告を受けたユリウスの顔から、人間的な温かみは一瞬で消え去り、再び冷徹な統治者の仮面がその顔を覆い尽くす。
「全員、持ち場に戻れ。グレゴール隊長をここに。敵の正体が分かるまで、決して軽率に動くな」
彼は矢継ぎ早に、しかしどこまでも冷静に指示を飛ばしていく。その姿に、バルコニーでのあの甘い空気の中にいたのが、まるで別人のようだと私は感じた。
私は、館の奥にある自室で待機するよう命じられた。だが、じっとしていられるはずもなかった。窓のカーテンの隙間から、私は町の入り口へと向かうユリウスと、完全武装した騎士たちの姿を固唾を飲んで見守っていた。
やがて、その「所属不明の一団」が姿を現した。
統一された銀色の鎧が、冬の光を鈍く反射する。その胸に刻まれた、見間違えようもないアステル王家の紋章を見た瞬間、私の心臓が凍りついた。私を召喚し、そしてゴミのように捨てた、あの国の騎士団だった。
一団を率いる若い貴族は、馬上でふんぞり返り、傲慢さと選民意識を隠そうともしなかった。彼の鎧だけは、実戦のためではなく見せびらかすためであるかのように、やけに華美だった。おそらく、エドウィン王子の側近の一人なのだろう。
町の入り口で、ユリウスとグレゴール隊長に率いられた鉱山警備隊が、彼らの行く手を阻む。両者の間には、張り詰めた、一触即発の空気が流れていた。
「これは、ユリウス公爵。このような辺境でお会いするとは、奇遇ですな」
王国の貴族、子爵と名乗った男は、馬の上から見下すような視線でユリウスに言った。
「我々は、エドウィン王子殿下のご命令により、この付近で行方不明になった、聖女様の捜索をしております。ご協力、いただけますかな?」
「聖女の捜索、だと?」
ユリウスの声は、絶対零度の氷のように冷たい。吐く息が白く凍り、場の空気が薄い刃のように研ぎ澄まされる。
「ここは、我がヴァルテンベルク公国の領内だ。許可なく、五十を超える軍勢を動かすのは、国際法上、宣戦布告と見なすが、その覚悟があっての発言か?」
ユリウスの静かだが、有無を言わせぬ圧に、子爵の顔がわずかに引きつった。
「はは、ご冗談を。これは軍事行動ではありませぬ。あくまで、聖女様を『保護』するための、慈悲の行いでございますよ」
子爵はそう言いながら、その視線で町の様子をいやらしげに探っていた。そして、彼の目に驚きと、隠しきれない嫉妬の色が浮かぶのを、私は窓から見て取った。
彼らは、瘴気に沈む、死んだ町を想像していたのだろう。だが、目の前にあるのは、瘴気が薄れ、人々が活動する、再生の兆しを見せ始めた町。彼は、噂が真実であったことを確信したのだ。
(この奇跡は、王家の、そしてエドウィン王子殿下の威光によってもたらされるべきものだ。ヴァルテンベルクのような辺境の公国が、勝手に手に入れるなど許されることではない)
子爵の脳裏に浮かんだであろう、傲慢な思想が、私には手に取るようにわかった。彼にとって、聖女の力は、国の、王子の栄光を飾るための道具でしかなかったのだ。
その時だった。子爵の視線が、館の窓際に立つ私の姿を捉える。まるで獲物を見つけた猛禽のように、彼の目が細められた。
彼の顔が、下卑た、満足げな笑みに歪む。
「おお、これはこれは。こんな所に、おられましたか、偽聖女殿」
彼は町中に響き渡るような、大きな声で言った。
「いやはや、何か奇妙な術を使い、この町の者たちを誑かしている、魔女だと伺っておりましたが…まあ、どちらでもよろしい。エドウィン王子がお呼びだ。大人しく、我々と共に来ていただこうか」
その言葉を合図に、子爵の後ろに控えていた数名の騎士が、私を捕らえるために館の方へと馬を進めようとする。
胸の奥に、ほんの一瞬、抗いがたい恐怖がよぎった。だが、ここで逃げ隠れしては、二度と立ち上がれない。本能がそう告げていた。私は衝動的に部屋を飛び出し、館の正面玄関の扉を自らの手で開けた。
全ての視線が、私一人に集まる。
私は子爵の前に立つと、背筋を凛と伸ばした。もう、あの玉座の間で、無力に震えていた頃の私ではない。
私は、スカートの裾を優雅につまみ、この国で最も丁寧とされる、貴婦人の礼(カーテシー)を、完璧に、そしてゆっくりと行ってみせた。それは、相手の身分への敬意を示しつつも、決してへりくだることはしない、という強い意志の表れだった。
ゆっくりと顔を上げ、私は子爵の目をまっすぐに見つめ返した。そして、静かだが、はっきりとした声で、言い放った。
「お断りいたします」
私の、予想外の、そしてあまりに毅然とした抵抗に、子爵の顔から笑みが消え、驚きに固まる。周囲の空気が一瞬、重くのしかかった。
「私の名は、リーナ。ユリウス公爵様に仕える、一介の技術者でございます。あなた方がお探しになっている、『聖女』とやらは、あいにく、ここにはおりません」
それは、私の新しい世界での、最初の宣誓だった。アステル王国に捨てられた名もなき聖女ではなく、ヴァルテンベルク公爵ユリウスに見出され、彼に仕え、彼と共に歩むことを決めた、リーナという一人の人間としての。
その、誇り高き宣言の意味を理解したのだろう。子爵の顔が、驚きから、屈辱へ、そして燃えるような怒りへと瞬時に変わっていった。彼は、自分がただの捨て駒だと思っていた女に、公衆の面前で、完膚なきまでにそのプライドを打ち砕かれたのだ。
「…この、魔女めが!」
怒りに我を忘れた子爵が、ついに腰の剣へと手をかける。
「ならば、力づくで、その化けの皮を剥いでくれるわ!」
子爵の剣が抜き放たれるよりも速く、それを合図としたかのように、ユリウスの護衛騎士たちが一斉に、そして一糸乱れぬ動きで、自らの剣を抜いた。
剣が一斉に抜き放たれた。金属音が冷たい空気を裂き、冬の陽光が鋭い刃先で乱反射する。騎士たちの動きは氷上の舞のように完璧に揃っていた。
アステル王国の騎士たちも、慌ててそれに続く。
睨み合う、二つの騎士団。抜かれた剣の切っ先が、きらりと光る。
私は、その中心に、静かに立っていた。ユリウスが、私を守るように、そっと隣に立つ。
雪深い、北の鉱山町を舞台にした、小さな、しかし決して退くことのできない戦いの火蓋が、今、まさに、切られようとしていた。
騎士の報告を受けたユリウスの顔から、人間的な温かみは一瞬で消え去り、再び冷徹な統治者の仮面がその顔を覆い尽くす。
「全員、持ち場に戻れ。グレゴール隊長をここに。敵の正体が分かるまで、決して軽率に動くな」
彼は矢継ぎ早に、しかしどこまでも冷静に指示を飛ばしていく。その姿に、バルコニーでのあの甘い空気の中にいたのが、まるで別人のようだと私は感じた。
私は、館の奥にある自室で待機するよう命じられた。だが、じっとしていられるはずもなかった。窓のカーテンの隙間から、私は町の入り口へと向かうユリウスと、完全武装した騎士たちの姿を固唾を飲んで見守っていた。
やがて、その「所属不明の一団」が姿を現した。
統一された銀色の鎧が、冬の光を鈍く反射する。その胸に刻まれた、見間違えようもないアステル王家の紋章を見た瞬間、私の心臓が凍りついた。私を召喚し、そしてゴミのように捨てた、あの国の騎士団だった。
一団を率いる若い貴族は、馬上でふんぞり返り、傲慢さと選民意識を隠そうともしなかった。彼の鎧だけは、実戦のためではなく見せびらかすためであるかのように、やけに華美だった。おそらく、エドウィン王子の側近の一人なのだろう。
町の入り口で、ユリウスとグレゴール隊長に率いられた鉱山警備隊が、彼らの行く手を阻む。両者の間には、張り詰めた、一触即発の空気が流れていた。
「これは、ユリウス公爵。このような辺境でお会いするとは、奇遇ですな」
王国の貴族、子爵と名乗った男は、馬の上から見下すような視線でユリウスに言った。
「我々は、エドウィン王子殿下のご命令により、この付近で行方不明になった、聖女様の捜索をしております。ご協力、いただけますかな?」
「聖女の捜索、だと?」
ユリウスの声は、絶対零度の氷のように冷たい。吐く息が白く凍り、場の空気が薄い刃のように研ぎ澄まされる。
「ここは、我がヴァルテンベルク公国の領内だ。許可なく、五十を超える軍勢を動かすのは、国際法上、宣戦布告と見なすが、その覚悟があっての発言か?」
ユリウスの静かだが、有無を言わせぬ圧に、子爵の顔がわずかに引きつった。
「はは、ご冗談を。これは軍事行動ではありませぬ。あくまで、聖女様を『保護』するための、慈悲の行いでございますよ」
子爵はそう言いながら、その視線で町の様子をいやらしげに探っていた。そして、彼の目に驚きと、隠しきれない嫉妬の色が浮かぶのを、私は窓から見て取った。
彼らは、瘴気に沈む、死んだ町を想像していたのだろう。だが、目の前にあるのは、瘴気が薄れ、人々が活動する、再生の兆しを見せ始めた町。彼は、噂が真実であったことを確信したのだ。
(この奇跡は、王家の、そしてエドウィン王子殿下の威光によってもたらされるべきものだ。ヴァルテンベルクのような辺境の公国が、勝手に手に入れるなど許されることではない)
子爵の脳裏に浮かんだであろう、傲慢な思想が、私には手に取るようにわかった。彼にとって、聖女の力は、国の、王子の栄光を飾るための道具でしかなかったのだ。
その時だった。子爵の視線が、館の窓際に立つ私の姿を捉える。まるで獲物を見つけた猛禽のように、彼の目が細められた。
彼の顔が、下卑た、満足げな笑みに歪む。
「おお、これはこれは。こんな所に、おられましたか、偽聖女殿」
彼は町中に響き渡るような、大きな声で言った。
「いやはや、何か奇妙な術を使い、この町の者たちを誑かしている、魔女だと伺っておりましたが…まあ、どちらでもよろしい。エドウィン王子がお呼びだ。大人しく、我々と共に来ていただこうか」
その言葉を合図に、子爵の後ろに控えていた数名の騎士が、私を捕らえるために館の方へと馬を進めようとする。
胸の奥に、ほんの一瞬、抗いがたい恐怖がよぎった。だが、ここで逃げ隠れしては、二度と立ち上がれない。本能がそう告げていた。私は衝動的に部屋を飛び出し、館の正面玄関の扉を自らの手で開けた。
全ての視線が、私一人に集まる。
私は子爵の前に立つと、背筋を凛と伸ばした。もう、あの玉座の間で、無力に震えていた頃の私ではない。
私は、スカートの裾を優雅につまみ、この国で最も丁寧とされる、貴婦人の礼(カーテシー)を、完璧に、そしてゆっくりと行ってみせた。それは、相手の身分への敬意を示しつつも、決してへりくだることはしない、という強い意志の表れだった。
ゆっくりと顔を上げ、私は子爵の目をまっすぐに見つめ返した。そして、静かだが、はっきりとした声で、言い放った。
「お断りいたします」
私の、予想外の、そしてあまりに毅然とした抵抗に、子爵の顔から笑みが消え、驚きに固まる。周囲の空気が一瞬、重くのしかかった。
「私の名は、リーナ。ユリウス公爵様に仕える、一介の技術者でございます。あなた方がお探しになっている、『聖女』とやらは、あいにく、ここにはおりません」
それは、私の新しい世界での、最初の宣誓だった。アステル王国に捨てられた名もなき聖女ではなく、ヴァルテンベルク公爵ユリウスに見出され、彼に仕え、彼と共に歩むことを決めた、リーナという一人の人間としての。
その、誇り高き宣言の意味を理解したのだろう。子爵の顔が、驚きから、屈辱へ、そして燃えるような怒りへと瞬時に変わっていった。彼は、自分がただの捨て駒だと思っていた女に、公衆の面前で、完膚なきまでにそのプライドを打ち砕かれたのだ。
「…この、魔女めが!」
怒りに我を忘れた子爵が、ついに腰の剣へと手をかける。
「ならば、力づくで、その化けの皮を剥いでくれるわ!」
子爵の剣が抜き放たれるよりも速く、それを合図としたかのように、ユリウスの護衛騎士たちが一斉に、そして一糸乱れぬ動きで、自らの剣を抜いた。
剣が一斉に抜き放たれた。金属音が冷たい空気を裂き、冬の陽光が鋭い刃先で乱反射する。騎士たちの動きは氷上の舞のように完璧に揃っていた。
アステル王国の騎士たちも、慌ててそれに続く。
睨み合う、二つの騎士団。抜かれた剣の切っ先が、きらりと光る。
私は、その中心に、静かに立っていた。ユリウスが、私を守るように、そっと隣に立つ。
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