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第2章:氷解
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別荘での生活は、王都での日々とは全く異なるものだった。広い屋敷には私とレオン、そして数人の使用人しかおらず、常に張り詰めていた空気は緩やかに確実に解き放たれていった。レオンは私の専属治癒魔法士としてだけでなく庭の手入れや屋敷の管理まであらゆることを率先してこなした。彼はいつも穏やかで瞳は澄んでいて、まるで私の凍りついた心を見透かしているかのようだった。
ある日の午後、レオンが庭で薬草の手入れをしているのを私は窓から眺めていた。王都にいた頃の私は、庭に出ることなど滅多になかった。完璧に手入れされた花壇は、私にとって鑑賞の対象でしかなかったからだ。しかし、この別荘の庭は違った。荒れてはいるが植物たちが自由に息づき生命の力が漲っていた。
「セレフィア様、もしよろしければ、少し外の空気を吸われてはいかがですか?」
レオンが私の視線に気づいたのか春先の風のような声で声をかけてきた。
私は一瞬ためらった。外に出ることは、私にとっての「完璧な令嬢」としての義務からは外れる行為だった。しかし、彼の声には何の強制力もなく純粋な気遣いが滲んでいた。
「……そう、ですね」
私はかすかに頷いた。
庭に出ると、土の匂い草花の匂い遠くから聞こえる鳥のさえずりが私を包み込んだ。それは、これまで私が意識してこなかった世界だった。レオンは私が慣れない様子なのを見て無理に話しかけることもなく控えめに隣に立っていた。その態度が私にとっては何よりも心地よかった。
「セレフィア様は、薬草に興味はございますか?」
レオンが手入れを終えたばかりのマーガレットを指差しながら尋ねた。
「……あまり、詳しくは」
それが正直な答えだった。侯爵令嬢として学んだ知識の中には薬草学も含まれていたがあくまで座学であり実践とはかけ離れていた。
レオンは微笑んでマーガレットの白い花びらを柔らかく撫でた。
「このマーガレットは、心を落ち着かせ、安らかな眠りを誘う効果があるんですよ」
彼の言葉は、薬草の知識をひけらかすものではなく愛しい友を紹介するかのようだった。その声は、私の心の奥に微かなぬくもりを灯した。
それからの日々、私は少しずつ庭へ足を運ぶようになった。風の匂い、土の感触、彼の穏やかな声。それらがいつしか私の一部になっていった。彼は薬草の名前や効能、育て方を丁寧に教えてくれた。私が質問すると彼はいつも真剣な眼差しで答えた。
「この薬草は、少し珍しいものです。寒さに弱く、特に冬は温室でなければ育ちません」
彼はそう言って小さな苗を大切そうに土に植え替えた。彼の指先は、土にまみれてもしなやかに見えた。
ある日、私はレオンが熱心に水やりをしている小さな苗にそっと手を伸ばしてみた。冷たかった指先にほんのわずかな温もりを感じた。まるで植物の生命力が私に伝わってくるかのようだった。
「……こうして花に触れる貴女を見ていると、本当は――とても、あたたかい方なんだと……思えてなりません」
レオンは一瞬、視線を落としてからゆっくりとそう言った。彼の言葉は、私に投げかけられた「氷の侯爵令嬢」というレッテルとは真逆のものだった。
私はしばらく言葉を失った。ただ胸の奥で何かがほどけていく音だけが静かに響いていた。誰からも「優しい」などと言われたことはなかった。完璧であることを求められ感情を殺してきた私にとって、その言葉はあまりにも重く温かかった。気づけば、頬にしずくが伝っていた。冷たい手の甲に落ちたそれは、熱を持っていることに驚いた。
「レオン……私……」
声が出なかった。喉がひどく詰まって言葉が紡げない。
心の奥で、何かがひどくざわついていた。
逃げたいのか、抱きしめてほしいのか、私自身にもわからなかった。
レオンは私の顔を見て、指先がためらうように頬をなぞった。彼の指先は、温かく優しかった。これまで誰にも触れさせてこなかった私の凍りついた心に直接触れたかのようだった。
「セレフィア様は、泣いていらっしゃいます」
レオンの言葉に私はただ静かに瞬きをした。
彼は静かに言った。その声には、憐憫も嘲笑もなくただ純粋な心からの心配が滲んでいた。
私は、彼の言葉に導かれるように涙をこぼした。悲しみでも怒りでもない。
ただ、長いあいだ胸に閉じ込めていた感情がようやくあふれ出したのだ。
それは、温かくて驚くほど優しい涙だった。
「……嫌だった。誰にも触れられたくなかったのに……」気づけば私は、レオンの胸元に顔を押しつけていた。とめどなく溢れる涙が頬を伝い、私の心に静かに染み込んでいった。私は泣きながら、レオンに初めて自分の過去を語った。幼い頃から完璧を求められ感情を押し殺してきたこと。婚約破棄され全てを失ったこと。そして自分が誰からも愛されない「道具」だと思い込んでいたこと。
レオンは、私の話をただ静かに聞いてくれた。途中で遮ることなく非難することもなくただ全てを受け止めてくれた。彼の温かい眼差しが私の傷ついた心を包み込む。
「セレフィア様は、道具などではありません。あなたは、あなた自身です」
彼はそう言って、私の手をそっと握った。その手は、小さくも頼もしく私の全てを受け止めてくれるようだった。「僕も……昔は、誰かの役に立たなければ“存在してはいけない”と思っていました。セレフィア様の気持ち……本当に、どうしていいか分からなかった時期もありました。それでも“ある人”に言われたんです。あなたは、ただそこにいるだけで良い、と。だから、セレフィア様の気持ちが分かる気がします」彼の言葉は、私の中に温かい光を灯した。
その夜、私は初めて安らかな眠りについた。部屋の窓からは、庭に静かに咲いた花の香りが流れていた。私の心は、凍り付いた氷から温かい水へと変わり始めていた。ああ、これが「氷解」ということなのかもしれない。
翌日、私はレオンが手入れをしていた小さな花壇に向かった。昨日までは、ただ眺めるだけだった場所。そっとしゃがみ込み、土に触れてみた。「こんな泥だらけになるなんて、侯爵令嬢らしくない……」とつぶやいた自分の声が、思いのほか弱々しかった。それでも、私は土の感触を確かめるように指を動かした。
「私も、いつか薬草を育ててみたい」
その言葉は、私の中に芽吹いた新しい感情の証だった。あの日初めて感じた風は、まるで私の中にたまった埃を吹き飛ばしていくようだった。閉ざされた画布に、初めて色が乗ったような感覚だった。
レオンは、そっと私を見つめた。
少し迷うように言葉を探し、そして小さく笑って言った。
「セレフィア様が、笑ってくださって……よかった」
その言葉には、どこか胸の奥に触れるような温かい旋律のような響きがあった。それは、私という存在をただ「完璧」として評価するのではない初めての感情だった。
ある日の午後、レオンが庭で薬草の手入れをしているのを私は窓から眺めていた。王都にいた頃の私は、庭に出ることなど滅多になかった。完璧に手入れされた花壇は、私にとって鑑賞の対象でしかなかったからだ。しかし、この別荘の庭は違った。荒れてはいるが植物たちが自由に息づき生命の力が漲っていた。
「セレフィア様、もしよろしければ、少し外の空気を吸われてはいかがですか?」
レオンが私の視線に気づいたのか春先の風のような声で声をかけてきた。
私は一瞬ためらった。外に出ることは、私にとっての「完璧な令嬢」としての義務からは外れる行為だった。しかし、彼の声には何の強制力もなく純粋な気遣いが滲んでいた。
「……そう、ですね」
私はかすかに頷いた。
庭に出ると、土の匂い草花の匂い遠くから聞こえる鳥のさえずりが私を包み込んだ。それは、これまで私が意識してこなかった世界だった。レオンは私が慣れない様子なのを見て無理に話しかけることもなく控えめに隣に立っていた。その態度が私にとっては何よりも心地よかった。
「セレフィア様は、薬草に興味はございますか?」
レオンが手入れを終えたばかりのマーガレットを指差しながら尋ねた。
「……あまり、詳しくは」
それが正直な答えだった。侯爵令嬢として学んだ知識の中には薬草学も含まれていたがあくまで座学であり実践とはかけ離れていた。
レオンは微笑んでマーガレットの白い花びらを柔らかく撫でた。
「このマーガレットは、心を落ち着かせ、安らかな眠りを誘う効果があるんですよ」
彼の言葉は、薬草の知識をひけらかすものではなく愛しい友を紹介するかのようだった。その声は、私の心の奥に微かなぬくもりを灯した。
それからの日々、私は少しずつ庭へ足を運ぶようになった。風の匂い、土の感触、彼の穏やかな声。それらがいつしか私の一部になっていった。彼は薬草の名前や効能、育て方を丁寧に教えてくれた。私が質問すると彼はいつも真剣な眼差しで答えた。
「この薬草は、少し珍しいものです。寒さに弱く、特に冬は温室でなければ育ちません」
彼はそう言って小さな苗を大切そうに土に植え替えた。彼の指先は、土にまみれてもしなやかに見えた。
ある日、私はレオンが熱心に水やりをしている小さな苗にそっと手を伸ばしてみた。冷たかった指先にほんのわずかな温もりを感じた。まるで植物の生命力が私に伝わってくるかのようだった。
「……こうして花に触れる貴女を見ていると、本当は――とても、あたたかい方なんだと……思えてなりません」
レオンは一瞬、視線を落としてからゆっくりとそう言った。彼の言葉は、私に投げかけられた「氷の侯爵令嬢」というレッテルとは真逆のものだった。
私はしばらく言葉を失った。ただ胸の奥で何かがほどけていく音だけが静かに響いていた。誰からも「優しい」などと言われたことはなかった。完璧であることを求められ感情を殺してきた私にとって、その言葉はあまりにも重く温かかった。気づけば、頬にしずくが伝っていた。冷たい手の甲に落ちたそれは、熱を持っていることに驚いた。
「レオン……私……」
声が出なかった。喉がひどく詰まって言葉が紡げない。
心の奥で、何かがひどくざわついていた。
逃げたいのか、抱きしめてほしいのか、私自身にもわからなかった。
レオンは私の顔を見て、指先がためらうように頬をなぞった。彼の指先は、温かく優しかった。これまで誰にも触れさせてこなかった私の凍りついた心に直接触れたかのようだった。
「セレフィア様は、泣いていらっしゃいます」
レオンの言葉に私はただ静かに瞬きをした。
彼は静かに言った。その声には、憐憫も嘲笑もなくただ純粋な心からの心配が滲んでいた。
私は、彼の言葉に導かれるように涙をこぼした。悲しみでも怒りでもない。
ただ、長いあいだ胸に閉じ込めていた感情がようやくあふれ出したのだ。
それは、温かくて驚くほど優しい涙だった。
「……嫌だった。誰にも触れられたくなかったのに……」気づけば私は、レオンの胸元に顔を押しつけていた。とめどなく溢れる涙が頬を伝い、私の心に静かに染み込んでいった。私は泣きながら、レオンに初めて自分の過去を語った。幼い頃から完璧を求められ感情を押し殺してきたこと。婚約破棄され全てを失ったこと。そして自分が誰からも愛されない「道具」だと思い込んでいたこと。
レオンは、私の話をただ静かに聞いてくれた。途中で遮ることなく非難することもなくただ全てを受け止めてくれた。彼の温かい眼差しが私の傷ついた心を包み込む。
「セレフィア様は、道具などではありません。あなたは、あなた自身です」
彼はそう言って、私の手をそっと握った。その手は、小さくも頼もしく私の全てを受け止めてくれるようだった。「僕も……昔は、誰かの役に立たなければ“存在してはいけない”と思っていました。セレフィア様の気持ち……本当に、どうしていいか分からなかった時期もありました。それでも“ある人”に言われたんです。あなたは、ただそこにいるだけで良い、と。だから、セレフィア様の気持ちが分かる気がします」彼の言葉は、私の中に温かい光を灯した。
その夜、私は初めて安らかな眠りについた。部屋の窓からは、庭に静かに咲いた花の香りが流れていた。私の心は、凍り付いた氷から温かい水へと変わり始めていた。ああ、これが「氷解」ということなのかもしれない。
翌日、私はレオンが手入れをしていた小さな花壇に向かった。昨日までは、ただ眺めるだけだった場所。そっとしゃがみ込み、土に触れてみた。「こんな泥だらけになるなんて、侯爵令嬢らしくない……」とつぶやいた自分の声が、思いのほか弱々しかった。それでも、私は土の感触を確かめるように指を動かした。
「私も、いつか薬草を育ててみたい」
その言葉は、私の中に芽吹いた新しい感情の証だった。あの日初めて感じた風は、まるで私の中にたまった埃を吹き飛ばしていくようだった。閉ざされた画布に、初めて色が乗ったような感覚だった。
レオンは、そっと私を見つめた。
少し迷うように言葉を探し、そして小さく笑って言った。
「セレフィア様が、笑ってくださって……よかった」
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