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第6話:怒られても尊い!
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魔物が光の粒子になって消え去り、森にようやく静けさが戻ってきた。
わたくしは、自らの愛の力が引き起こした奇跡の余韻に、うっとりと浸っていた。ええ、そうですわ。わたくしの純粋な愛が、ゼノン様を勝利へと導いたのです!これぞ、愛の共同作業!わたくしたちの絆は、もう止められないくらいに深まってしまいましたわね!
そんな、一人で勝手に感動に打ち震えていると、ふと、視線を感じた。見れば、先ほどまで魔物と戦っていたゼノン様が、まっすぐにこちらへ向かってくるではないか!
(まあ!)
わたくしの胸は、もうドッキドキで、期待に大きく高鳴る。
きっと、わたくしの活躍を労ってくださるに違いないわ!「リリアーナ嬢、君の機転のおかげで助かった」ですとか、「君がいなければ、危ないところだった」などと、甘~い感謝のお言葉をくださるのかしら!
あらやだ、どうしましょう!そんな風に褒められたら、わたくし、照れてしまいますわ!どんなお言葉をいただけるのかしら…!わたくしは、これから始まるであろう甘いひとときを想像し、胸をきゅんきゅんとときめかせた。もはや、脳内はお花畑ですわ!
ついに、ゼノン様がわたくしの目の前で足を止めた。逆光に照らされたそのお姿は、まるで神話から抜け出してきた英雄のよう。わたくしは、彼の麗しいお顔を見上げ、とびきりの淑女スマイルを浮かべて、そのお言葉を待った。
彼は、それはもう真剣で、まるで獲物を射抜くような鋭い眼差しでわたくしを見つめると、地を這うような低い声で、はっきりと言い放った。
「余計な真似をするな」
「…………きゃああああああっ!!」
わたくしは、またしても心の中で絶叫していた。
余計な真似をするな、ですって!?なんですの、そのお言葉は!たまりませんわ!最高にツンツンしていて、それでいて、深読みしたくなるお言葉!
言葉の額面通りに受け取ってはいけません。その裏に隠された、彼の真意を読み解くのです!
『余計な真似』…それはつまり、『危険な場所に出てくるような、無茶なこと』。
『するな』…それはつまり、『しないでほしい』という、愛しい人への切実な願い。
繋がりましたわ!
これは、わたくしの身を案じてくださっているのです!「君が危険な目に遭うのは、もう見ていられない。だから、どうか無茶をしないでほしい」と!なんて不器用で、なんて遠回しで、そして、なんて優しいお言葉なのでしょう!愛する人の身を案じるあまり、つい厳しい言葉になってしまう…。感激ですわ!最高のご褒美です!
わたくしは、込み上げる感動で胸がいっぱいになり、この喜びを分かち合おうと、隣に控える友人たちへ視線を向けた。すると、侍女のアンナは、なぜか白いハンカチで目頭を強く押さえ、肩を震わせて泣いている。そして、親友のカサンドラは、胃のあたりを強く押さえながら、苦悶に満ちた表情でうずくまっていた。
まあ!
二人とも、わたくしと同じように、ゼノン様の不器用な優しさに感動してくれているのね!アンナは感涙にむせび、カサンドラは感動のあまり胃が痛くなってしまったのでしょう。なんて感受性が豊かな友人たちなのかしら!
わたくしは、興奮気味に二人に言った。
「お聞きになって、二人とも!?先日、わたくしはゼノン様の現状を『ツン期』と分析いたしましたが、どうやら次の段階へ進んだようですわ!」
「…うぅ…なんの、段階ですの…」
胃痛に耐えながら、カサンドラがか細い声で尋ねる。ふふ、教えて差し上げますわ!
「これは、ツン期の次に訪れる、心配のあまりつい厳しくしてしまう、『デレ期』への布石ですわね!」
わたくしの完璧な分析に、アンナは「ひっ…」と息を呑み、カサンドラは「もう…だめ…」と呟いて、その場に崩れ落ちた。
まあまあ、二人とも感極まって声も出ないようですわ。分かりますわよ、その気持ち。わたくしも、今、幸せの絶頂ですもの!
友人たちの感動(という名の心労)を後に、わたくしたちは学園へと帰還した。
すると今度は、別の方向からわたくしの耳に新たな噂が飛び込んできた。
演習に参加していた生徒たちが、口々にこう囁いていた。
「聞いたか?魔物との戦いで、リリアーナ様がとんでもない活躍をされたそうだ」
「ああ!巨大な魔物がゼノン様に襲いかかった瞬間、身を挺して前に飛び出し、謎の光で魔物を怯ませたらしい!」
「なんと勇敢なご令嬢だ!あの方のおかげで、ゼノン様は勝利できたのだと!」
あらあら、まあまあ。
話に尾ひれがついて、いつの間にかわたくしが英雄扱いされているではありませんか。わたくしはただ、愛する推しを守りたいという一心で行動しただけですのに。困ってしまいますわ。
ですが、まあ、悪い気はしない。
このリリアーナ・フォン・エルドラド、推しを守り、結果的に学園の平和にも貢献してしまったようですわね。わたくしは、周囲から向けられる尊敬と称賛の眼差しを浴びながら、扇でそっと口元を隠し、高らかに笑った。
「オーッホッホッホッホ!」
こうして、わたくしの自己評価と世間の評価の乖離は、ますます加速していくことになったのです。
わたくしは、自らの愛の力が引き起こした奇跡の余韻に、うっとりと浸っていた。ええ、そうですわ。わたくしの純粋な愛が、ゼノン様を勝利へと導いたのです!これぞ、愛の共同作業!わたくしたちの絆は、もう止められないくらいに深まってしまいましたわね!
そんな、一人で勝手に感動に打ち震えていると、ふと、視線を感じた。見れば、先ほどまで魔物と戦っていたゼノン様が、まっすぐにこちらへ向かってくるではないか!
(まあ!)
わたくしの胸は、もうドッキドキで、期待に大きく高鳴る。
きっと、わたくしの活躍を労ってくださるに違いないわ!「リリアーナ嬢、君の機転のおかげで助かった」ですとか、「君がいなければ、危ないところだった」などと、甘~い感謝のお言葉をくださるのかしら!
あらやだ、どうしましょう!そんな風に褒められたら、わたくし、照れてしまいますわ!どんなお言葉をいただけるのかしら…!わたくしは、これから始まるであろう甘いひとときを想像し、胸をきゅんきゅんとときめかせた。もはや、脳内はお花畑ですわ!
ついに、ゼノン様がわたくしの目の前で足を止めた。逆光に照らされたそのお姿は、まるで神話から抜け出してきた英雄のよう。わたくしは、彼の麗しいお顔を見上げ、とびきりの淑女スマイルを浮かべて、そのお言葉を待った。
彼は、それはもう真剣で、まるで獲物を射抜くような鋭い眼差しでわたくしを見つめると、地を這うような低い声で、はっきりと言い放った。
「余計な真似をするな」
「…………きゃああああああっ!!」
わたくしは、またしても心の中で絶叫していた。
余計な真似をするな、ですって!?なんですの、そのお言葉は!たまりませんわ!最高にツンツンしていて、それでいて、深読みしたくなるお言葉!
言葉の額面通りに受け取ってはいけません。その裏に隠された、彼の真意を読み解くのです!
『余計な真似』…それはつまり、『危険な場所に出てくるような、無茶なこと』。
『するな』…それはつまり、『しないでほしい』という、愛しい人への切実な願い。
繋がりましたわ!
これは、わたくしの身を案じてくださっているのです!「君が危険な目に遭うのは、もう見ていられない。だから、どうか無茶をしないでほしい」と!なんて不器用で、なんて遠回しで、そして、なんて優しいお言葉なのでしょう!愛する人の身を案じるあまり、つい厳しい言葉になってしまう…。感激ですわ!最高のご褒美です!
わたくしは、込み上げる感動で胸がいっぱいになり、この喜びを分かち合おうと、隣に控える友人たちへ視線を向けた。すると、侍女のアンナは、なぜか白いハンカチで目頭を強く押さえ、肩を震わせて泣いている。そして、親友のカサンドラは、胃のあたりを強く押さえながら、苦悶に満ちた表情でうずくまっていた。
まあ!
二人とも、わたくしと同じように、ゼノン様の不器用な優しさに感動してくれているのね!アンナは感涙にむせび、カサンドラは感動のあまり胃が痛くなってしまったのでしょう。なんて感受性が豊かな友人たちなのかしら!
わたくしは、興奮気味に二人に言った。
「お聞きになって、二人とも!?先日、わたくしはゼノン様の現状を『ツン期』と分析いたしましたが、どうやら次の段階へ進んだようですわ!」
「…うぅ…なんの、段階ですの…」
胃痛に耐えながら、カサンドラがか細い声で尋ねる。ふふ、教えて差し上げますわ!
「これは、ツン期の次に訪れる、心配のあまりつい厳しくしてしまう、『デレ期』への布石ですわね!」
わたくしの完璧な分析に、アンナは「ひっ…」と息を呑み、カサンドラは「もう…だめ…」と呟いて、その場に崩れ落ちた。
まあまあ、二人とも感極まって声も出ないようですわ。分かりますわよ、その気持ち。わたくしも、今、幸せの絶頂ですもの!
友人たちの感動(という名の心労)を後に、わたくしたちは学園へと帰還した。
すると今度は、別の方向からわたくしの耳に新たな噂が飛び込んできた。
演習に参加していた生徒たちが、口々にこう囁いていた。
「聞いたか?魔物との戦いで、リリアーナ様がとんでもない活躍をされたそうだ」
「ああ!巨大な魔物がゼノン様に襲いかかった瞬間、身を挺して前に飛び出し、謎の光で魔物を怯ませたらしい!」
「なんと勇敢なご令嬢だ!あの方のおかげで、ゼノン様は勝利できたのだと!」
あらあら、まあまあ。
話に尾ひれがついて、いつの間にかわたくしが英雄扱いされているではありませんか。わたくしはただ、愛する推しを守りたいという一心で行動しただけですのに。困ってしまいますわ。
ですが、まあ、悪い気はしない。
このリリアーナ・フォン・エルドラド、推しを守り、結果的に学園の平和にも貢献してしまったようですわね。わたくしは、周囲から向けられる尊敬と称賛の眼差しを浴びながら、扇でそっと口元を隠し、高らかに笑った。
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こうして、わたくしの自己評価と世間の評価の乖離は、ますます加速していくことになったのです。
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