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第24話:迫る魔軍、最後の平穏
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エドワード王子の一行が去った後、町には本物の安らぎが訪れた。過去との決別を果たした私の心にはもう何のわだかまりもなく、ただこの穏やかな日常を慈しみ、未来を築いていくことへの静かな喜びに満ちていた。
この平穏がずっと続くのだと、信じていた。
その幸福がいかに脆い硝子細工であったかに、気づきもしないで。
その知らせは王都からの使者のように悠長にはやってこなかった。
ある日の夕暮れ、東の街道から一頭の馬が狂ったように駆け込んできたのだ。鞍上の男は辺境の東部を守る砦の兵士だった。彼の鎧は無残に砕け、全身から血を流している。彼は広場の中央で馬から転がり落ちると、血で泡立つ唇から、掠れた声で絶叫した。
「魔軍だ……! 魔王軍の方面軍が……!」
その場に居合わせたカインをはじめとする警備隊の男たちが駆け寄る。
「おい、しっかりしろ! 何があった!」
「砦が……東の砦が、半日ももたなかった……。オークの軍勢だ、見たこともない数の……。魔法を使うやつらもいた。砦は、まるで砂の城のように崩れた……!」
それだけを言い残すと兵士はがくりと首を垂れ、二度と動かなくなった。
その絶望的な報告は一瞬にして町全体を氷のような恐怖で包み込んだ。
魔王軍。
それは、子供を黙らせるためのおとぎ話にしか出てこない、絶対的な悪意の象徴だった。その実在する暴力が今、このささやかな町へと牙を剥いて迫っている。
『赤牙』の襲来の時とは比べ物にならない、次元の違う恐怖だった。あの時は怒りと抵抗する意志があった。しかし今、人々の顔に浮かんでいるのは、抗うことさえ無意味だという純粋な絶望の色だけだった。
「……総員、広場へ集まってください」
その沈黙を破ったのは私の声だった。震えそうになるのを奥歯を食いしばってこらえる。私は領主だ。私が絶望しているわけにはいかない。
私は町の住民を前に、知りうる限りの情報を冷静に伝えた。
「敵の規模は不明。しかし町の警備隊だけでは到底太刀打ちできない戦力であることは間違いありません。選択肢は二つ。町を捨てて逃げるか、ここで籠城して戦うかです」
町を捨てればあるいは命だけは助かるかもしれない。しかし私たちがこの手で築き上げてきたこの畑を、この家を、この暮らしを全て失うことになる。
住民たちの間に重い沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはジム爺さんだった。
「……逃げてどこへ行くというんだ。わしらはもうここを動けねえ年寄りばかりだ。それに」
彼は私を、そして警備隊の男たちをまっすぐに見つめた。
「この町はわしらが一度は捨てた町だ。それを領主様が生き返らせてくださった。アルベルトが命懸けで守ってくれた。今度こそわしらがこの町を守る番じゃねえのか」
その言葉に誰かが嗚咽を漏らした。しかしそれは絶望の涙ではなかった。
「……戦いましょう、領主様」
警備隊の若い兵士が言った。
「たとえ犬死にだと言われても。俺たちはこの町とあなたと共に戦います」
その声は町全体の総意となった。
私たちは籠城の準備を始めた。バリケードをさらに強化し、食料と水を共同倉庫へ集め、女子供は館の地下へと避難させる。
しかし準備を進めれば進めるほどその戦力差は絶望的なまでに明らかだった。私たちの武器はアルベルトが遺してくれた数振りの剣と手製の槍だけ。対する相手は砦を半日で陥落させる魔王の軍勢。
兵士たちの士気は低かった。彼らは死を覚悟していた。
その夜、私は一人館の作戦室で地図を睨んでいた。
どうすれば勝てる? いや、勝てなくてもいい。どうすれば一人でも多く生き残らせることができる?
どんなに策を巡らせても答えは出なかった。私の知識も経験も、この圧倒的な暴力の前ではあまりにも無力だった。
過去のトラウマが蘇る。
(また、失うのだろうか)
腕の中で冷たくなっていくアルベルトの感触が、鮮明にフラッシュバックする。今度は、この町全てを、カインを、子供たちを、みんなを失うのかもしれない。その喪失への恐怖が私の心を冷たく蝕んでいく。
「セレスティア様」
静かな声にはっと顔を上げる。いつの間にかカインが部屋の入り口に立っていた。その手には湯気の立つ一杯の薬草茶が握られている。
彼は私の不安を全て見抜いているかのように静かに言った。
「恐怖に呑まれないでください」
そして彼は私の隣に立つと、窓の外、闇に沈む町を見下ろした。
「俺たちが、あなたとこの町を守る壁になります」
その声には何の気負いもなかった。ただ揺るぎない事実だけを告げる響きがあった。
彼は懐から何かを取り出した。
それは丁寧に時間をかけて彫られたであろう、小さな木彫りの鳥だった。翼を広げ今にも大空へ羽ばたこうとしているかのような、生命力に満ちた姿。
彼はそれを私の手のひらにそっと乗せた。
「お守りです」
木の滑らかで温かい感触が、私の冷え切った指先にじんわりと伝わってくる。
「夜、眠れない時に少しずつ彫っていました。あなたがいつかこんな風に自由に笑える日が来るようにと、願いながら」
そして彼は私の目をまっすぐに、見つめた。
その瞳には一人の兵士としてだけではない、一人の男性としての深く誠実な想いが宿っていた。
「必ず、守りますから。この町も、あなたのことも」
その静かで力強い言葉が私の心の最後の砦となった。
ああ、そうだ。私はまだ希望を捨ててはいけない。
この人が、いる限り。
彼は深く敬礼すると部屋から出ていった。
一人残された私はその木彫りの鳥を胸の前で強く強く握りしめた。彼の温もりがまだそこに残っているようだった。
彼の無事をただ祈った。
やがて窓の外が白み始める。
夜明けと共に、それは聞こえてきた。
最初は遠雷のような微かな響き。
しかしそれは徐々に徐々に大きくなっていく。
ゴゴゴゴゴゴ……と、大地そのものが呻き声を上げているかのような、おびただしい進軍の音。窓ガラスがカタカタと微かに震え始める。
最後の平穏は終わった。
私は木彫りの鳥を握りしめ、静かに迫り来る絶望の音を聞いていた。
この平穏がずっと続くのだと、信じていた。
その幸福がいかに脆い硝子細工であったかに、気づきもしないで。
その知らせは王都からの使者のように悠長にはやってこなかった。
ある日の夕暮れ、東の街道から一頭の馬が狂ったように駆け込んできたのだ。鞍上の男は辺境の東部を守る砦の兵士だった。彼の鎧は無残に砕け、全身から血を流している。彼は広場の中央で馬から転がり落ちると、血で泡立つ唇から、掠れた声で絶叫した。
「魔軍だ……! 魔王軍の方面軍が……!」
その場に居合わせたカインをはじめとする警備隊の男たちが駆け寄る。
「おい、しっかりしろ! 何があった!」
「砦が……東の砦が、半日ももたなかった……。オークの軍勢だ、見たこともない数の……。魔法を使うやつらもいた。砦は、まるで砂の城のように崩れた……!」
それだけを言い残すと兵士はがくりと首を垂れ、二度と動かなくなった。
その絶望的な報告は一瞬にして町全体を氷のような恐怖で包み込んだ。
魔王軍。
それは、子供を黙らせるためのおとぎ話にしか出てこない、絶対的な悪意の象徴だった。その実在する暴力が今、このささやかな町へと牙を剥いて迫っている。
『赤牙』の襲来の時とは比べ物にならない、次元の違う恐怖だった。あの時は怒りと抵抗する意志があった。しかし今、人々の顔に浮かんでいるのは、抗うことさえ無意味だという純粋な絶望の色だけだった。
「……総員、広場へ集まってください」
その沈黙を破ったのは私の声だった。震えそうになるのを奥歯を食いしばってこらえる。私は領主だ。私が絶望しているわけにはいかない。
私は町の住民を前に、知りうる限りの情報を冷静に伝えた。
「敵の規模は不明。しかし町の警備隊だけでは到底太刀打ちできない戦力であることは間違いありません。選択肢は二つ。町を捨てて逃げるか、ここで籠城して戦うかです」
町を捨てればあるいは命だけは助かるかもしれない。しかし私たちがこの手で築き上げてきたこの畑を、この家を、この暮らしを全て失うことになる。
住民たちの間に重い沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはジム爺さんだった。
「……逃げてどこへ行くというんだ。わしらはもうここを動けねえ年寄りばかりだ。それに」
彼は私を、そして警備隊の男たちをまっすぐに見つめた。
「この町はわしらが一度は捨てた町だ。それを領主様が生き返らせてくださった。アルベルトが命懸けで守ってくれた。今度こそわしらがこの町を守る番じゃねえのか」
その言葉に誰かが嗚咽を漏らした。しかしそれは絶望の涙ではなかった。
「……戦いましょう、領主様」
警備隊の若い兵士が言った。
「たとえ犬死にだと言われても。俺たちはこの町とあなたと共に戦います」
その声は町全体の総意となった。
私たちは籠城の準備を始めた。バリケードをさらに強化し、食料と水を共同倉庫へ集め、女子供は館の地下へと避難させる。
しかし準備を進めれば進めるほどその戦力差は絶望的なまでに明らかだった。私たちの武器はアルベルトが遺してくれた数振りの剣と手製の槍だけ。対する相手は砦を半日で陥落させる魔王の軍勢。
兵士たちの士気は低かった。彼らは死を覚悟していた。
その夜、私は一人館の作戦室で地図を睨んでいた。
どうすれば勝てる? いや、勝てなくてもいい。どうすれば一人でも多く生き残らせることができる?
どんなに策を巡らせても答えは出なかった。私の知識も経験も、この圧倒的な暴力の前ではあまりにも無力だった。
過去のトラウマが蘇る。
(また、失うのだろうか)
腕の中で冷たくなっていくアルベルトの感触が、鮮明にフラッシュバックする。今度は、この町全てを、カインを、子供たちを、みんなを失うのかもしれない。その喪失への恐怖が私の心を冷たく蝕んでいく。
「セレスティア様」
静かな声にはっと顔を上げる。いつの間にかカインが部屋の入り口に立っていた。その手には湯気の立つ一杯の薬草茶が握られている。
彼は私の不安を全て見抜いているかのように静かに言った。
「恐怖に呑まれないでください」
そして彼は私の隣に立つと、窓の外、闇に沈む町を見下ろした。
「俺たちが、あなたとこの町を守る壁になります」
その声には何の気負いもなかった。ただ揺るぎない事実だけを告げる響きがあった。
彼は懐から何かを取り出した。
それは丁寧に時間をかけて彫られたであろう、小さな木彫りの鳥だった。翼を広げ今にも大空へ羽ばたこうとしているかのような、生命力に満ちた姿。
彼はそれを私の手のひらにそっと乗せた。
「お守りです」
木の滑らかで温かい感触が、私の冷え切った指先にじんわりと伝わってくる。
「夜、眠れない時に少しずつ彫っていました。あなたがいつかこんな風に自由に笑える日が来るようにと、願いながら」
そして彼は私の目をまっすぐに、見つめた。
その瞳には一人の兵士としてだけではない、一人の男性としての深く誠実な想いが宿っていた。
「必ず、守りますから。この町も、あなたのことも」
その静かで力強い言葉が私の心の最後の砦となった。
ああ、そうだ。私はまだ希望を捨ててはいけない。
この人が、いる限り。
彼は深く敬礼すると部屋から出ていった。
一人残された私はその木彫りの鳥を胸の前で強く強く握りしめた。彼の温もりがまだそこに残っているようだった。
彼の無事をただ祈った。
やがて窓の外が白み始める。
夜明けと共に、それは聞こえてきた。
最初は遠雷のような微かな響き。
しかしそれは徐々に徐々に大きくなっていく。
ゴゴゴゴゴゴ……と、大地そのものが呻き声を上げているかのような、おびただしい進軍の音。窓ガラスがカタカタと微かに震え始める。
最後の平穏は終わった。
私は木彫りの鳥を握りしめ、静かに迫り来る絶望の音を聞いていた。
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