25 / 46
第25話:戦場の月雫
しおりを挟む
夜明けと共に訪れたのは、絶望の音だけではなかった。
地平線の向こう、朝焼けの赤い光を背にして、それは現れた。黒い津波のような奔流。魔王軍。そのおびただしい数の魔物の群れが大地を埋め尽くしながら、私たちの町へと迫ってくる。先頭を駆けるのは豚のような顔をした筋骨隆々のオークたち。その後ろには小柄で素早いゴブリンの集団、そして巨大な棍棒を振り回す一つ目のサイクロプス。空には翼を持つガーゴイルの群れが不吉な影を落としていた。
彼らが発する意味をなさない咆哮と、金属鎧の擦れる音が混じり合い、一つの巨大な不協和音となって空気を震わせる。同時に、獣の体臭と血の匂いが混ざり合った、おぞましい風が町へと吹き込んできた。
「――放て!」
町の入り口を固める簡素な城壁の上からジム爺さんの号令が響いた。
数少ない弓兵たちが矢を放つ。しかしその矢は分厚い魔物の皮に阻まれ、ぽろぽろと力なく地面に落ちるだけだった。
魔王軍は構うことなく進軍を続ける。やがて後方に据えられた巨大な投石器が唸りを上げて稼働した。
ゴウッ、と空気を切り裂く音。次の瞬間、巨大な岩が私たちの築いたバリケードに激突し木っ端微塵に粉砕した。家々の壁が崩れ土煙が舞い上がる。町は瞬く間に地獄の戦場と化した。
私は救護所の指揮を執っていた。
館の広間は野戦病院と化し、血と汗、そして言いようのない恐怖の匂いで満ち満ちている。
「しっかりしろ! 傷口を強く押さえるんだ!」
「薬草が足りない! 誰か倉庫へ!」
私は気丈に指示を飛ばしながら次々と運び込まれる負傷兵の治療にあたっていた。
「領主様……すまねえ……」
腹に深い傷を負った兵士が苦しげに喘ぐ。私は無言でその傷口に手をかざした。
淡い月の光にも似た魔力が私の手のひらから溢れ出す。それはこの地獄のような惨状の中では、瞬く間に消えてしまいそうなほどか弱く儚い光だった。
魔力はみるみるうちに削られていく。一人を癒やすたびに私の体から生命力そのものがごっそりと抜き取られていくような感覚。めまいがし指先が冷たくなっていく。
しかし私は手を止めなかった。
私の脳裏にはカインのあの静かで力強い眼差しが焼き付いている。彼が今、この瞬間も最前線で戦っている。私がここで倒れるわけにはいかない。
私の祈りはただ一つ。
(カイン、生きて……)
その想いだけが私をかろうじてこの場に繋ぎとめていた。
戦況は刻一刻と悪化していった。
「西の壁が破られそうだ!」
「敵の数が多すぎる……!」
兵士たちの悲鳴に近い報告が救護所にまで届く。
そしてついに一人の伝令兵が血まみれの姿で駆け込んできた。
「領主様! ジム爺さんが……! 西壁の指揮官が、やられました!」
その報告に私の心臓が冷たく凍りついた。ジム爺さんはこの町の皆の父親のような存在だった。彼を失えば西の防衛線は完全に崩壊する。
「……私が、行きます」
私は立ち上がった。
「なりません、領主様! 外は危険すぎます!」
若い兵士が必死に私を止める。しかし私の決意は揺るがなかった。
私は薬草の入った鞄を肩にかけると彼の制止を振り切り、戦場の只中へと飛び出した。
外は地獄だった。
燃え盛る家々、飛び交う投石、そしてすぐ側でオークの棍棒に仲間が殴り飛ばされる。悲鳴と怒号が私の耳を劈く。
私は歯を食いしばりただ西壁を目指して走った。
そしてたどり着いた城壁の上で、私はこの戦いの本当の姿を目の当たりにした。
眼下に広がるのは無数の魔物とそれに抗うあまりにも少ない兵士たちが入り乱れる混沌の渦。血飛沫が舞い、剣が折れ、命がまるで消耗品のように次々と消えていく。
その地獄絵図のただ一点。
カインだけが、まるでそこだけ時間の流れが違うかのように冷静に立っていた。
彼の体もすでに傷だららだった。しかしその瞳は凍てつくほどの冷静さで戦場全体を俯瞰していた。
「弓兵、三時の方向、ゴブリンの魔術師を狙え! 詠唱を止めろ!」
「ジム爺さんの隊はいったん後退! 狭い路地に敵を誘い込め! 一度に相手にするな!」
「ティム、リナ! 火矢の準備はできているな! 合図を送ったらあの薪の山に火を放て!」
彼の声は決して大きくはない。しかしその的確な指示は混乱の極みにあった兵士たちに再び秩序と戦うための道筋を与えていた。
彼はただの兵士ではない。天性の指揮官だった。
彼のあの静かな瞳だけが持つ全てを見通すかのような力が、この絶望的な状況下で唯一の希望の光として輝いている。
私は彼のその姿に畏敬の念を覚えた。そして同時にますます強くなる祈りにも似た願いを抱いた。
(死なないで、カイン……!)
私は倒れていたジム爺さんの元へ駆け寄り最後の魔力を振り絞って彼の傷を癒やした。
カインの奮戦と指揮官の復帰により西壁の防衛線は奇跡的に持ち直した。私たちはなんとか敵の第一波を城壁の外へと押し返すことに成功したのだ。
短い静寂が訪れる。
生き残った兵士たちが壁に寄りかかり荒い息をつく。誰もが疲労困憊だった。武器は刃こぼれし矢も尽きかけている。
もう限界だった。敵の第二波が来ればもはやこの町を防衛することは不可能に近い。
その時だった。
押し返したはずの魔物の群れがまるでモーゼの前の海の如く左右に割れた。
そしてその間から一体の異質な存在がゆっくりと姿を現した。
それは他の魔物たちとは明らかに格が違った。
人間と同じくらいの背丈。しかしその体は禍々しい紫色の甲殻で覆われ、背中からは昆虫のような四本の腕が生えている。その手にはそれぞれ違う形状の不気味な刃が握られていた。
何よりも違うのはその魔力。
立っているだけで、ひんやりとした空気がずしりと重くなるような濃密で邪悪な魔力の圧。それは肌を刺すような痛みさえ感じさせた。
あれはただの雑兵ではない。
魔王軍の将軍クラスの魔族。
その魔族は、私たちをまるで地を這う虫けらでも見るかのように見下ろし、ゆっくりと口元を歪めた。
希望の光は今、より大きくより深い絶望の影に呑み込まれようとしていた。
地平線の向こう、朝焼けの赤い光を背にして、それは現れた。黒い津波のような奔流。魔王軍。そのおびただしい数の魔物の群れが大地を埋め尽くしながら、私たちの町へと迫ってくる。先頭を駆けるのは豚のような顔をした筋骨隆々のオークたち。その後ろには小柄で素早いゴブリンの集団、そして巨大な棍棒を振り回す一つ目のサイクロプス。空には翼を持つガーゴイルの群れが不吉な影を落としていた。
彼らが発する意味をなさない咆哮と、金属鎧の擦れる音が混じり合い、一つの巨大な不協和音となって空気を震わせる。同時に、獣の体臭と血の匂いが混ざり合った、おぞましい風が町へと吹き込んできた。
「――放て!」
町の入り口を固める簡素な城壁の上からジム爺さんの号令が響いた。
数少ない弓兵たちが矢を放つ。しかしその矢は分厚い魔物の皮に阻まれ、ぽろぽろと力なく地面に落ちるだけだった。
魔王軍は構うことなく進軍を続ける。やがて後方に据えられた巨大な投石器が唸りを上げて稼働した。
ゴウッ、と空気を切り裂く音。次の瞬間、巨大な岩が私たちの築いたバリケードに激突し木っ端微塵に粉砕した。家々の壁が崩れ土煙が舞い上がる。町は瞬く間に地獄の戦場と化した。
私は救護所の指揮を執っていた。
館の広間は野戦病院と化し、血と汗、そして言いようのない恐怖の匂いで満ち満ちている。
「しっかりしろ! 傷口を強く押さえるんだ!」
「薬草が足りない! 誰か倉庫へ!」
私は気丈に指示を飛ばしながら次々と運び込まれる負傷兵の治療にあたっていた。
「領主様……すまねえ……」
腹に深い傷を負った兵士が苦しげに喘ぐ。私は無言でその傷口に手をかざした。
淡い月の光にも似た魔力が私の手のひらから溢れ出す。それはこの地獄のような惨状の中では、瞬く間に消えてしまいそうなほどか弱く儚い光だった。
魔力はみるみるうちに削られていく。一人を癒やすたびに私の体から生命力そのものがごっそりと抜き取られていくような感覚。めまいがし指先が冷たくなっていく。
しかし私は手を止めなかった。
私の脳裏にはカインのあの静かで力強い眼差しが焼き付いている。彼が今、この瞬間も最前線で戦っている。私がここで倒れるわけにはいかない。
私の祈りはただ一つ。
(カイン、生きて……)
その想いだけが私をかろうじてこの場に繋ぎとめていた。
戦況は刻一刻と悪化していった。
「西の壁が破られそうだ!」
「敵の数が多すぎる……!」
兵士たちの悲鳴に近い報告が救護所にまで届く。
そしてついに一人の伝令兵が血まみれの姿で駆け込んできた。
「領主様! ジム爺さんが……! 西壁の指揮官が、やられました!」
その報告に私の心臓が冷たく凍りついた。ジム爺さんはこの町の皆の父親のような存在だった。彼を失えば西の防衛線は完全に崩壊する。
「……私が、行きます」
私は立ち上がった。
「なりません、領主様! 外は危険すぎます!」
若い兵士が必死に私を止める。しかし私の決意は揺るがなかった。
私は薬草の入った鞄を肩にかけると彼の制止を振り切り、戦場の只中へと飛び出した。
外は地獄だった。
燃え盛る家々、飛び交う投石、そしてすぐ側でオークの棍棒に仲間が殴り飛ばされる。悲鳴と怒号が私の耳を劈く。
私は歯を食いしばりただ西壁を目指して走った。
そしてたどり着いた城壁の上で、私はこの戦いの本当の姿を目の当たりにした。
眼下に広がるのは無数の魔物とそれに抗うあまりにも少ない兵士たちが入り乱れる混沌の渦。血飛沫が舞い、剣が折れ、命がまるで消耗品のように次々と消えていく。
その地獄絵図のただ一点。
カインだけが、まるでそこだけ時間の流れが違うかのように冷静に立っていた。
彼の体もすでに傷だららだった。しかしその瞳は凍てつくほどの冷静さで戦場全体を俯瞰していた。
「弓兵、三時の方向、ゴブリンの魔術師を狙え! 詠唱を止めろ!」
「ジム爺さんの隊はいったん後退! 狭い路地に敵を誘い込め! 一度に相手にするな!」
「ティム、リナ! 火矢の準備はできているな! 合図を送ったらあの薪の山に火を放て!」
彼の声は決して大きくはない。しかしその的確な指示は混乱の極みにあった兵士たちに再び秩序と戦うための道筋を与えていた。
彼はただの兵士ではない。天性の指揮官だった。
彼のあの静かな瞳だけが持つ全てを見通すかのような力が、この絶望的な状況下で唯一の希望の光として輝いている。
私は彼のその姿に畏敬の念を覚えた。そして同時にますます強くなる祈りにも似た願いを抱いた。
(死なないで、カイン……!)
私は倒れていたジム爺さんの元へ駆け寄り最後の魔力を振り絞って彼の傷を癒やした。
カインの奮戦と指揮官の復帰により西壁の防衛線は奇跡的に持ち直した。私たちはなんとか敵の第一波を城壁の外へと押し返すことに成功したのだ。
短い静寂が訪れる。
生き残った兵士たちが壁に寄りかかり荒い息をつく。誰もが疲労困憊だった。武器は刃こぼれし矢も尽きかけている。
もう限界だった。敵の第二波が来ればもはやこの町を防衛することは不可能に近い。
その時だった。
押し返したはずの魔物の群れがまるでモーゼの前の海の如く左右に割れた。
そしてその間から一体の異質な存在がゆっくりと姿を現した。
それは他の魔物たちとは明らかに格が違った。
人間と同じくらいの背丈。しかしその体は禍々しい紫色の甲殻で覆われ、背中からは昆虫のような四本の腕が生えている。その手にはそれぞれ違う形状の不気味な刃が握られていた。
何よりも違うのはその魔力。
立っているだけで、ひんやりとした空気がずしりと重くなるような濃密で邪悪な魔力の圧。それは肌を刺すような痛みさえ感じさせた。
あれはただの雑兵ではない。
魔王軍の将軍クラスの魔族。
その魔族は、私たちをまるで地を這う虫けらでも見るかのように見下ろし、ゆっくりと口元を歪めた。
希望の光は今、より大きくより深い絶望の影に呑み込まれようとしていた。
10
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました
おりあ
恋愛
アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。
だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。
失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。
赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。
そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。
一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。
静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。
これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
夫より強い妻は邪魔だそうです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」
夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。
この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。
そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
『白い結婚のはずでしたが、夫の“愛”が黒い。 限界突破はお手柔らかに!』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
白い結婚のはずだった。
姉の遺した娘――カレンの親権を守るため、
私と侯爵タイロンは“同じ屋根の下で暮らすだけ”の契約を交わした。
夜を共にしない、干渉しない、互いに自由。
それが白い結婚の条件。
……だったはずなのに。
最近、夫の目が黒い。
「お前、俺を誘惑してるつもりか?」
「は? してませんけど? 白い結婚でしょうが」
「……俺は、白い結婚でよかったがな。
お前が俺を限界まで追い詰めるなら……話は別だ」
黒い。
完全に黒い。
理性じゃなくて、野生の方が勝ってる。
ちょっと待って、何その目!?
やめて、白い結婚の契約書どこ行ったの!?
破らないで!
――白い結婚? 知らん。
もう限界。覚悟しろ。
タイロンの目がそう語っていた。
私、白い結婚で穏やかに暮らす予定だったんだけど!?
国王陛下はいつも眠たい
通木遼平
恋愛
八つの国が一つになって建国されたフォルトマジア王国では、「主家」と呼ばれる八つのかつての王家が順番に王位を継ぐことが決まっていた。その一つであり先々代の王家でもあったエリーディアに生まれたフィーナディアは、ある日突然、現国王であるトゥーランのラグルに嫁ぐよう父から告げられる。彼女の父親と姉は自分たちこそ王位にふさわしいと言ってはばからず、どんな手を使ってでもラグルを陥れるよう命じたのだった。
しかしそんな父たちの考えに賛同できないフィーナディアは、父の企みをラグルに伝え、婚約もなかったことにし、後は自由にさせてもらおうと考える。しかしふとしたきっかけでラグルとの距離が縮まっていき……。
銀鷲と銀の腕章
河原巽
恋愛
生まれ持った髪色のせいで両親に疎まれ屋敷を飛び出した元子爵令嬢カレンは王城の食堂職員に何故か採用されてしまい、修道院で出会ったソフィアと共に働くことに。
仕事を通じて知り合った第二騎士団長カッツェ、副団長レグデンバーとの交流を経るうち、彼らとソフィアの間に微妙な関係が生まれていることに気付いてしまう。カレンは第三者として静観しているつもりだったけれど……実は大きな企みの渦中にしっかりと巻き込まれていた。
意思を持って生きることに不慣れな中、母との確執や初めて抱く感情に揺り動かされながら自分の存在を確立しようとする元令嬢のお話。恋愛の進行はゆっくりめです。
全48話、約18万字。毎日18時に4話ずつ更新。別サイトにも掲載しております。
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる