追放された天才錬金術師は、冷徹公爵に拾われ、もふもふに溺愛される

YY

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最終章:新たな始まり、もふもふの誓い

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舞踏会での劇的な夜から数ヶ月。王都を離れ、リリアと公爵、そしてアルバスは、再び公爵領の穏やかな日常に戻っていた。だが、その日常は、かつてのそれとは比べ物にならないほど、温かく、満たされたものだった。

王宮での一件以来、リリアの錬金術師としての名声は、王国中に轟いた。彼女の「科学的錬金術」は、各地の痩せた土地を蘇らせ、薬草の収穫量を劇的に増加させた。王都の錬金術ギルド内でも、バルザック子爵は失脚し、リリアの成果に感銘を受けた若手や中立派の錬金術師たちが、彼女の研究に協力を申し出るまでになっていた。

(本当に、夢みたい……)

公爵邸の広大な庭園で、リリアはアルバスの柔らかな毛並みを撫でていた。アルバスは心地よさそうに目を閉じ、喉をゴロゴロと鳴らしている。彼がリリアに見せる無防備な甘えは、公爵の「氷」の仮面を剥がし、彼の隠された熱情を引き出すきっかけとなった。

公爵は、以前よりもずっと、感情を露わにするようになっていた。言葉数は依然として少ないが、その視線や仕草からは、リリアへの深い愛情が溢れ出ていた。時には、リリアの研究に没頭しすぎて食事を忘れていると、黙って温かいスープを差し出し、彼女が食べ終わるまで静かに隣に座っていることもあった。

ある夕暮れ時、リリアが錬金術工房から出てくると、公爵がアルバスと共に待っていた。彼はリリアの手を取り、庭園の小道へと誘う。夕日が二人の影を長く伸ばし、アルバスが楽しそうにその周りを跳ねる。

「リリア」

公爵が、いつになく穏やかな声でリリアを呼んだ。

「この世界で最初に私の孤独を癒し、私のアルバスに温かい光をくれたのは、他ならぬ君だ」

公爵は立ち止まり、リリアの瞳を真っ直ぐに見つめた。彼の「嘘」――「感情は弱さであり、他人に期待しても裏切られるだけ」という過去の傷は、リリアという「光」によって完全に癒されていた。

「君は、ありのままの君で、私にとっての至宝だ。そして、君自身の光を隠す必要など、どこにもない」

公爵はそう言うと、リリアを優しく抱きしめた。彼の腕の中は、広大な世界のどこよりも、温かく、安心できる場所だった。リリアは、彼の言葉の全てが、心の奥底で求めていた真実だと感じた。

「公爵様……」

リリアの目から、喜びの涙が溢れ落ちた。もう、過去の「嘘」に囚われることはない。完璧でなくても、利用されても、自分は愛される価値がある。そのことを、公爵とアルバスが、全身で教えてくれたのだ。

一方、王都では、男爵家が完全に没落していた。ユリウスは爵位を剥奪され、アメリアは社交界から追放された。リリアの錬金術の模倣に失敗し続けた結果、男爵領は荒廃し、彼らはかつて見下していた貧しい庶民と何ら変わらない生活を送ることを余儀なくされた。彼らがリリアの才能を理解せず、ただ利用しようとした傲慢さが、自らを破滅へと導いたのだ。

リリアの心に、彼らへの憎しみや悲しみはもうなかった。ただ、彼らの愚かさに、静かな憐れみを覚えるだけだった。彼女にとって、彼らの存在は、もはや過去の遺物でしかなかった。

数週間後、公爵邸で、リリアと公爵の結婚式が執り行われた。豪華絢爛な装飾が施された礼拝堂には、王族や大貴族たちが列席していた。リリアは純白のドレスを身に纏い、公爵の隣に立つ。彼女の表情は、かつての地味で自信なさげなものとはまるで違う。輝くような笑顔と、揺るぎない自信に満ちていた。

誓いの言葉を交わし、指輪を交換する。公爵がリリアのヴェールを上げ、その唇に優しいキスを落とした。会場から温かい拍手が沸き起こる中、リリアは公爵の瞳を見つめた。そこには、深い愛情と、彼女への絶対的な信頼が宿っていた。

式典が終わり、公爵とリリアが庭園を歩いていると、アルバスが楽しそうに駆け寄ってきた。彼は二人の足元に体をすり寄せ、満足そうに喉を鳴らす。

「アルバスも、喜んでくれているようね」

リリアが微笑むと、公爵もまた、アルバスの頭を撫でながら、穏やかに笑った。その表情は、もはや「氷の公爵」の面影はない。温かい光を宿した、一人の男の顔だった。

リリアは公爵の腕にそっとしがみつき、彼の肩に頭を預けた。アルバスが、二人の足元で気持ちよさそうに丸くなる。

この日から、リリアは公爵夫人として、公爵と共に領地を発展させ、多くの人々に笑顔をもたらしていった。彼女の錬金術は、この王国に新たな豊かさをもたらし、その功績は後世まで語り継がれることになるだろう。

闇に埋もれかけた「輝く至宝」は、真実の光を見つけ、愛する人ともふもふの温もりに包まれ、いつまでも幸せに暮らしました。
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