傭兵から商売を始めたら、いつの間にか領主になっていた件

篠の目

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第8章 略奪と革鎧

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フィルードはベテラン兵士たちの動きを注意深く追っていた。しかし彼らが一斉に走り出した瞬間、彼も迷いを振り切り、原則にこだわるのをやめて先陣を切るように駆け出した。だが経験不足のせいで、この狡猾な住民たちが家禽をどこに隠しているのか皆目見当がつかず、しばらくの間は収穫ゼロ。穀物の粒すら見つけられず、空回りが続いた。
諦めきれないフィルードは、比較的大きな家を見つけ、勢いよくドアを蹴破ろうとした。だが中から重しがかけられており、びくともしない。彼は声を張り上げた。
「中にいるのはわかっている! 命は取らん、金だけだ! さもなくば火を放つぞ!」
間もなく、中から年老いた声が返ってきた。
「勇士様、どうかお見逃しを! 誓って我が家には大した物などございません! もし金が欲しければ、裏のヤリラン婆の家へ行ってくだされ。あの婆は強欲で、良い物をたくさん持っています!」
「なんてやつだ……」フィルードは眉をひそめた。これほど抜け目のない老人が無一文のはずがない。すぐに再び怒鳴った。
「ごまかすな! 早く開けろ! 本当に燃やすぞ!」
沈黙が落ちた。フィルードは苛立ち、庭を見回す。やがて麦わらの山を見つけると掴み取り、ドア前に積み上げて火打石で火を点けた。じわじわと黒煙が立ちこめ、やがて中から激しい咳が聞こえてくる。
「勇士様、火を消してくだされ! わしは年寄り、窒息して死んでしまう! 全財産は三十枚の銅フィニー、そのうち二十枚を差し上げます!」
金の匂いにフィルードの目が光った。だが口では容赦なく煽る。
「馬鹿を言うな! こんな大きな庭を構えて、貧乏だと? 命が惜しくなければ、神のもとへ送ってやるぞ!」
老人はなおも抵抗し続けたが、咳はますます激しくなり、声はかすれ、とうとう力尽きたように哀願する。
「……本当に三十枚しかないのです。ですがヤリラン婆の十枚も預かっております。全部で四十枚、今すぐ差し上げます。さもなくば、わしが死ねば隠し場所も永遠にわからぬ……」
フィルードは内心で計算し、これ以上時間を浪費するのは得策ではないと判断した。ウォーカー騎士が戻らぬうちに戦場がどう変わるかも分からない。火を散らすと、やがてドアがゆっくり開き、中から鋭い眼光の老人が現れた。
「これがわしの全財産、四十枚の銅フィニーです。どうか家族を見逃してください」
フィルードは無言で頷き、金を受け取って庭を出た。だが門を出た途端、数人の仲間が走り寄ってくるのを目にし、内心で老人に同情した。虎を追い払ったと思えば、今度は腹をすかせた狼が牙を剥くのだから。
その後も歩き回ったが、残る家々はどれも貧しく、得る物はなかった。結局、略奪を切り上げて戦場近くへ戻ると、そこではすでにフェリエル執事が片付けを終えていた。彼が放った矢まで回収済みで、隙のない仕事ぶりだ。フィルードはこっそり五枚の銅フィニーを渡すと、フェリエルはにやりと笑い、形式ばった押し返しの後に受け取った。
「慈悲深い執事殿のおかげで戦果にあずかれました。惜しむらくは良い弓がなく、もっと多くの敵を射止められなかったこと。鹵獲された弓を一本、私に譲っていただけませんか?」
フェリエルは細い目をさらに細め、商売の顔つきになる。
「ふむ、確かに弓の腕は見た。鹵獲したのは二張り、そのうち一本はお前が射た敵のもの。取り決めどおりなら三割はお前の分だ。帝国制式弓で五枚の銀貨の価値があるが、状態を考えて三枚に見積もろう。差し引き二枚の銀貨を支払えばよい。さらに、その敵は半身の革鎧も持っていたが、こちらも三枚の銀貨程度の代物だ。お前の取り分は一枚だな。他に、傭兵二人と農兵一人を戦闘不能にした分、報奨金を支給しよう。合わせて二十五枚の銅フィニー。計算すると――弓一本、羽矢十本、そして二十五枚の銅フィニーを得ることになる」
フィルードは言葉を聞き流しながら地面の革鎧に目をやった。どう見ても「ボロボロ」ではない。明らかに価値を低く見積もっている。弓も欲しいが、今必要なのは防具だ。所持金は五十一枚の銅フィニー。報酬を合わせれば五枚銀貨分ほどある。
「尊敬するフェリエル執事、私は革鎧を選びたいと思います。先ほどの条件で譲っていただけませんか?」
フェリエルは口元を引きつらせた。ずる賢い小僧め……。しかし言葉を撤回するわけにもいかず、しぶしぶ頷いた。
「……よかろう。ただし、この取引価格は誰にも言うな。誰かに問われたら、五枚の銀貨を払ったと言え」
「もちろんです、執事殿。誰にも口外いたしません」
フィルードは深く頭を下げ、ようやく初めての装備を手にしたのだった。
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