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もう、オレは零一さんに捕らわれてますよ」
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もやもやしたものが柚希を覆う。これまでコンプレックスだった女性顔や華奢な体、どんな状況であっても嵯峨の子供を身ごもる事ができない事など、かつては気にしたことのなかった部分が、嵯峨と想い通じてからやけに気になってしまう。
「柚希?」
どうかした、と覗き込んでくる嵯峨に、どう答えていいのか口ごもってしまった。
自分の性癖を後悔した事なんて一度もなかった。それなのに、嵯峨と愛を交わして知ってしまった。自分と嵯峨は同じ男で、決して明るい未来じゃない事実に。
「ゆーずき」
「ふ、がっ」
段々とマイナス思考に陥っていると、嵯峨の呼びかけと共に柚希の小振りな鼻をきゅっと摘まれる。目を白黒させていた柚希の汗の滲む額へと、嵯峨はそっと唇を落とし微笑む。
「柚希が真面目に悩んでいるのを見るのは嫌いじゃないけど、一人で抱え込むのは悪い癖かな。その悩みは俺には話せない事なの?」
「せん、む?」
「専務、じゃないでしょ。零一って呼んで」
「れいいち……さん」
嵯峨は「さん、も要らないんだけどな」と苦笑しつつ、柚希の背中に手を差し込むと、繋がったまま自分の膝の上に柚希を乗せる。吐瀉して質量はないものの、まだ緩やかに硬さの残る杭は、達して敏感な柚希の媚肉を撫でていき、思わず「あ、ん」と柚希は甘い声を漏らす。
「抱っこしてあげるから、ゆっくりでもいいから話してごらん?」
「零一さん……」
泣きそうに顔を歪めた柚希は、嵯峨の逞しい首に腕を回し、顔を埋める。そしてとつとつと、時折話は前後しながらも、今の想いを柚希は語ったのだった。
「……柚希は真面目だなぁ。そこも可愛いけど、心配になっちゃうよ、俺は」
「え?」
柚希が語り終えた途端、嵯峨は深々と吐息し、ゆっくりと薄い背中を撫でながら口を開く。抱き締められて、こうして背中をさすられるなんて、子供のようで恥ずかしいけど、とても心地が良い。
かつての恋人達は自分の欲を満たすことに重点を置いていたせいか、前戯も後戯もおざなりで、甘い雰囲気などなく口淫や素股をされて、喘がされて、ただただ強制的に絶頂へと向かうだけの行為だった。
だからこそ、嵯峨の慰撫にどぎまぎしつつも、柚希は自然と憂慮している部分を吐露できたのだと自覚した。
「確かに、柚希との未来を考えてるよ。一緒に住みたいし、いずれは柚希を俺の養子にして結婚したいとも思ってる。子供はまあ……科学も進んでるし、いつかは授かったらいいな、とは夢見てるけど、それも俺の親戚から養子縁組しちゃっても良いって気楽に考えてるかな。つまりは、柚希は俺だけを見て、俺の傍に居てくれればいいよ」
「……零一さん」
「だから、今は余計な事を考えずに、俺の愛に溺れちゃって?」
ウインクをしておどけて告げる嵯峨に、柚希はこれまで感じた事のない感情でいっぱいになる。
嵯峨の言った事は殆どプロポーズだ。
柚希と生涯を共にしたいと。
同性同士故のしがらみすらも、あっけらかんと語るその姿に、柚希は嵯峨の頭をぎゅっと抱き。
「オレも、零一さんと、ずっと一緒にいたい、です」
この人には素の自分でいいのだと確信して、声を詰まらせながらも、嵯峨の匂いに包まれて囁いた。
「うん、柚希はずーっと、俺の嫁だね。他のヤツに目を移したら、柚希の細い首に首輪を着けて、俺以外見ないように監禁しちゃうよ?」
地肌を撫でるように嵯峨の指が柚希の頭の中を泳ぎ、むき出しの首筋に唇音をたててキスが落とされる。
物騒な内容にも拘らず、そこまで自分に執着してくれる嵯峨が愛おしくて、応えるように柚希も嵯峨の首筋へと唇を寄せた。
「もう、オレは零一さんに捕らわれてますよ」
そう答えた途端、柚希の中の嵯峨の楔が膨張するのを感じた。
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