冷甘メイドの怪奇図書

要 九十九

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第一章「最初の一冊」

第16話「尾行と張り込み」

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「……南様?」

「………………」

「……南様!」
「は、はい……?」

「……どうされました? 目にゴミでも入ったのですか?」

「あっ、すみません! ちょっと気になる事があって……」

「……気になる事、ですか?」

「いや、大したことでは……」

 何をするでもなく、手鏡とじっとにらめっこしていたら流石におかしく見えるか……。
 
 先程からずっと見ていた手鏡を閉じる。
 そこには瞳を赤色に輝かせた俺が…………

 そう、事件が起きたのは昨日の深夜だった……。
 
 いつも見ていた夢の変貌に驚いて、飛び起きた俺の瞳が、真っ赤に輝いていたのだ。
 勿論、赤いカラコンを入れっぱなしで寝てしまった訳でも、夜更かしして目がとんでもなく充血していた訳でもない。

 元々俺の瞳は間違いなく黒色だ。今まで生きてきて赤色に輝いた事などなかった。
 というか、世の中を探しても、そんな経験をしてる人なんて稀有中の稀有だろう。

 だが、おかしな事はそれで終わらなかった。
 母ちゃんに渡された手鏡で瞳を見ていると、赤色だった瞳が、ほどなくして黒色に戻っていたのだ。

 自分でも驚く不思議な現象に、やっぱり俺の見間違いだったのかとも思ったが……。
 母ちゃんも俺の赤色になった瞳は見ていた。今朝聞いた時も、ハッキリと覚えていると言っていたので間違いない。
 親子揃って幻覚を見ていた訳でもない限り、あれは本当にあった事だろう。
 そんな事があったからか、今朝から何度も、本当に何度も鏡を見て自分の目を確認しているのだが、俺の瞳が赤色に変わる事は一度もなかった。

「待たせて悪かったな」

 そんな事を考えていると、取り調べを終えたらしき鷹見警部が合流してきた。
 まぁ、この話はまた改めてカミラさんにしよう。予想が正しければ、きっとが真道家の……。

「……問題ありません」
「大丈夫ですよ!」

 俺たちは、鷹見さんから逃げ出した林道という男を捕まえた後、彼を連れていく車に乗せて貰ってこの警察署まで一緒に来ていた。
 鷹見さん曰く……。

「こいつが何で逃げ出したのか全く情報もない以上、直ぐに釈放されるのは目に見えている。だから、その後の尾行や張り込みに協力してくれないか?」
 
 と言われた俺たちは、この場で取り調べが終わるのを待っていたのだ。

 わざわざ逃げ出した以上、林道は事件にきっと何かしらの形で関わっている筈だ。となると、怪奇絡みで何か起こる可能性だってある。もしそうなった時に止められそうなのは、今のところカミラさんぐらいしか思い付かない。

「じゃ、行くか」

「……畏まりました」
「はい! よろしくお願いします」

 鷹見警部とカミラさん、そして俺の3人での尾行が始まるのだった……。



「で、どうだったんですか?」

「あぁ、まぁ大方の予想通りだったよ。だが……」

 俺たち3人は車の中で、林道が警察署から出てくるのを待っていた。

「アイツは多分、2人の被害者について何かを知っている」

「何か……ですか?」

「あぁ。これを見せて、1人目の被害者の名前を出した瞬間に突然狼狽えだしてな」

 鷹見さんはそう言いながら、助手席に座っている俺に、袋に入った診察券? らしき物を手渡してくる。
 これが怪奇図書内で、鷹見警部が気にしていた2人の被害者の共通点か……。
 表と裏を軽く確認するが、至って普通の診察券だ。

(あれ……? ?)

 自分でも何処を見てそう思ったのか分からないが、改めてその診察券を確認しても、特に変わった所は見当たらない。気のせいだろうか?
 診察券を証拠品が入れてあるらしい箱に戻す。

「後は、林道は2人目の被害者が死んだって話を嘘だと思っていたらしい」

「は? じゃあ何で鷹見さんから逃げ出したんですか?」

「恐らくだが、アイツが警察に知られちゃまずい何かをしてるって事なんだろう」

「どちらにしても悪い奴じゃないですか」

 鷹見警部は2人の被害者の残された唯一の共通点だった山白美容クリニックに行く際、あくまで怪奇絡みだった時の保険として、俺とカミラさんに協力を依頼していた。
 あの時は、また双腕の男のような存在が出てくるのかと身構えていたのに、いざ対峙した林道という男は余りにも普通で、肩透かしを食らった気分になっていたが……。
 その話を聞くと、捕まえるのに協力(何もかも全てカミラさんのお陰)して良かった気にはなる。

「おっ、どうやらもうすぐ出てくるみたいだ」

 鷹見さんがスマホを確認している。さっき話を聞いた限りでは、署内の釈放手続きの担当に、林道が出てくる際に連絡してくれるように頼んでいたらしい。

「来た来た……。行くぞ」

 鷹見警部は、車のエンジンを入れ、慣れた手付きで遠くに見える林道を追いかけていく。

「でも、そんなに簡単に尻尾を出すものなんですか?」

「まぁ、それは人によるとは思うが……。事情をちゃんと理解する前に逃げ出すような奴だ。釈放されて安心してる今のタイミングなら、ボロを出す可能性は高いと思う」

「なるほど……」

 警察署から出てきた林道はタクシーを拾ったみたいだった。

「乗ったな。後は何処に向かうかだが……」

 鷹見さんの予想通りなら、警察に知られたくない何かか、2人の被害者に関係ある場所に向かう筈だ。

 俺たちを乗せた鷹見さんの運転する車は、タクシーを追いかける……。

 だが、林道の乗るタクシーは何分経っても怪しげな場所に行ったりする事はなく、予想を裏切って山白美容クリニックがあるビルへと真っ直ぐ戻っていった。
 林道はタクシーを降りた後も、寄り道せずにビルの中に入っていく。

「案外真面目なんですかね?」

「さぁ、どうだかなぁ……。そもそも真面目な奴は警察を見て、いきなり逃げ出したりはしねぇよ」

「それは確かに」

「林道も流石に警戒してるのか……? 何にせよ、ここで張り込んで、おかしな動きをしないか見守るしかないな……」

 林道が働くクリニックがあるビルの入り口……。そこでの人の出入りがよく見える位置に車を停め、その中で俺たちは張り込む事になった。

「一応確認しておくか……」

 そう呟いた後、鷹見警部はスマホで何処かに電話を掛け始める。

「あっ、もしもし~? そちら山白美容クリニックさんでしょうか?」

「……?」

 その声は普段の落ち着いた声音の鷹見さんとは違い、少し高かった。

「あたしぃ~、ホームページで見たんですが、どうせ相談するなら林道先生が良くってぇ~。はい! で、今日林道先生はいらっしゃいますか~?」

 いつの間にか、鷹見警部はスマホを耳に当てたまま、メモ帳を開いてペンを取り出している。

「はい……。はい! 来てるけど今日の予約はもう時間いっぱいまで埋まってるんですか~。分かりました! また改めて電話させて貰いますね~」

 電話を切った彼女は、直ぐメモ帳に何かを書き始めた。

「あの~、今のは?」

「あぁ。林道が、実はわたしたちの尾行に気付いていて、ビルの裏口から逃げてる可能性もあると思ってな。念のためその確認を……」

「なるほど」

「警察ならともかく、受付も新しい客にわざわざ嘘は付かないだろう。それに林道のクリニック内での予定も、大まかだが分かったしな」

「この時間までは林道がいるって事ですよね」

 先ほど鷹見警部が見せてくれた、袋に入った診察券を箱から取り出して持ち上げる。そこには診療時間が書かれていた。時間は朝の9時から、夜の7時まで……。
 午前中、林道は捕まって取り調べを受けていた。今の時間は昼の1時だ。
 当たり前だが、俺は張り込みなんてした事はない。鷹見警部は慣れているのかも知れないが、じっと相手を見張り続けるなんて、正直やりきれるか不安だ。

 そこから特に、心の準備を待たずに、俺にとっての長い戦いが始まったのだった……。



「……あっ、そう言えば」

「何だ? どうした?」

 張り込みが始まって直ぐ、後部座席に座っていたカミラさんが突然声を上げる。

(そういやカミラさん、車に乗り込んでから今まで一言も喋っていなかったけど、何かあったのかな……?)

「……張り込みと聞いて買ってきました!」

「買って? 何をだ?」

「……あんパンと牛乳」

「いつの時代の張り込みだよ!!」

「……えっ? 張り込みの定番はこれだと、北斎から聞いていたのですが……」

「間違っちゃいねぇが、今じゃコンビニが至る所にあるんだし、わざわざその2つに絞って買わねぇよ」

「……そうなのですか?」

「牛乳と……あんパン……?」

「ほら、少年が不思議そうな顔してるじゃねぇか!」

 どうして張り込みの定番が、あんパンと牛乳なんだろう?

「……牛乳と……あんパン……?」

「何で買ってきた本人まで、今さら不思議そうな顔になってんだよ。今から食べるからそんな顔すんな」

 ツッコミを入れながらも、鷹見警部はカミラさんが買ってきた牛乳とあんパンを美味しそうに食べ始めた。

「あぁー! この組み合わせ懐かしいなぁ!」

「鷹見さんも張り込み中に、この組み合わせで食べたことあるんですね」

「あぁ。昔な……」

 俺とカミラさんも、あんパンと牛乳を食べながら、ビルの入り口をじっと見ていた。
 うん! 何で張り込みにこの2つなのかは未だに分からないけど、小豆がたっぷり入った甘いあんパンと牛乳は最高の組み合わせだな!

「あっ、伝え忘れていたが……」

「はい?」

 バックミラー越しにカミラさんを見ながら、鷹見警部が続ける。

「メイドの言っていた通り、工事現場で遺体が見つかったぞ」

「……そう……ですか……。お役に立てたのなら幸いです」

 カミラさん見ると、彼女は少し悲しそうな表情をしていた。その顔は、予想なんて当たらなければ良かったのに……と言っているようで、俺も辛い気持ちになる。

「そ、そういや、幽霊ってあんな感じだったんですね! 俺、もっと朧気な感じを想像してました」

 何とか話題を変えようとしたが、結局関係ある内容になってしまう。馬鹿か俺ぇ……!

「あぁ、確かになぁ……。わたしもそうだった」

 世間一般のイメージとして、幽霊と聞いてあの双腕の男のような者を思い付く人は中々いないだろう。

 今更、また違う話を始めても不自然なので、このまま続けるしかないな……。実際、気になっていた事ではあるが。

「あの腕の奴は生き霊だったんでしたっけ?」

「……はい。幽霊といっても、私の知る限りでも幾つか種類があります」

「しゅ、種類……?」

 横を見ると、鷹見警部がまた青ざめていた。

(この間もそうだったけど、もしかして鷹見さんって幽霊が苦手なのか?)

「……まずは浮遊霊。これは自分が亡くなった事にも気付いていない事が多く、人に悪さをする事も余りありません」

 多分、俺や鷹見警部が幽霊と最初に聞いて想像したのも、この浮遊霊だろう。

「……次に地縛霊。亡くなった時の無念などで、土地や建物から離れられなくなってしまった霊で、建物や土地に入った人間に何かしら接触してくる事があります」

 工事現場で現れた長い黒髪の女も、俺があそこに入らなければ襲ってくる事はなかったんだろうか?

「……そして生き霊。生きた人間の強い気持ちから生まれた存在で、周りに影響を与える事がよくあります。生きた人間から生まれたからか、大きな力を持っているのが殆どで、幽霊の中でもかなり危ない方かと」

「大きな力……」

 双腕の男を思い出す。出来ればあんなのとは二度と遭遇したくない。まぁ、今してる事やを考えれば、そんな甘い事は言ってられないだろうが……。

「……後、私が知っている……というか会った事があるのは1種類だけです」

「も、もう終わりか。た、大した事ねぇな……!」

 鷹見警部が震えながら何かを言っている。カミラさんはただ説明しているだけなのに、そんな青ざめる事ある?

「……実はこれが、私が出会った中では一番危険かと……」
「え゛っ!?」

 鷹見さんから聞いたことのない短い悲鳴が聞こえる。彼女の青ざめた顔は、あの双腕の霊より更にヤバい奴いるの……? と言っているみたいだ。

「……憑依霊」

「ひょういれい?」

「……はい。生きた人間に取り憑く霊で、幽霊と人間が互いに影響し合って、何もせずにそのまま放っておくと……。下手をすれば生き霊より遥かに厄介な存在です」

「ま、マジかよぉ……」

 生き霊ですら、あれ程の力を持っていたのだ。それよりも……となると全く想像が付かない。

「それとは遭遇しない事を祈るしかないですね。というか……」

「……?」

「鷹見さんって幽霊苦手なんですか?」

「ばっ! なっ! そ、そんな訳ねぇよ!」

「双腕の男に、あんなに勇敢に立ち向かったんですから、今更怖がる必要もないんじゃ?」

 工事現場でカミラさんと俺の為に、時間を稼いでくれた時の姿は本当にカッコ良かった。あんな風に直接戦えるなら、話ぐらいでそんなに怯える必要なんてない気もするんだけどなぁ……。

「うるせぇな! あの時はあれが幽霊だなんて思いもしなかったんだよ……。ま、まさかあんな見た目で、透けもせず、おまけに銃で撃てるのが幽霊だなんて……」

「あぁ~、確かに俺が想像してたのも、足が透けてて、体を掴もうとしてもすり抜けるみたいな感じでした」

「だろ? わたしだって、あれが幽霊だと分かっていたらその場で気絶してたかもな」

「気絶!?」

 元々、俺たち全員危機的状況ではあったけど、一歩間違えたら、もっとヤバかったんじゃ?
 俺たちを庇ったカミラさんと、気絶した鷹見さん、そして1人残された俺……。
 考えただけでも、身の毛がよだつ思いだ。

「……あの~」

「カミラさんどうしたんですか?」

「……大変申し上げにくいのですが……」

「な、なんだよメイド? ま、また幽霊の話か……?」

 カミラさんはまだ何も話していないのに、鷹見警部は早くも青ざめ始めている。

「……いや、幽霊の話というより……」

「はい?」

「……世の中で、幽霊が見える人間は一部の人たちだけです」
「えっ……?」

 一言だけ発して、鷹見さんの動きが止まった。

「……そして特別な道具も使わずに、直接幽霊に接触したり、影響を与えたりする人間は、その中でもっと稀かと……」
「えっ…………?」

 そう言えば鷹見さんは、あの双腕の男に銃弾を当てていたような?
 バックミラー越しにカミラさんと会話していた鷹見警部が、ゆっくりと助手席にいる俺に顔を向けてくる。
 その挙動は、まるで上手く動かなくなった玩具の関節のように緩慢だった。

「えっ………………?」
「壊れたロボット!? 鷹見さん! 元に戻って下さい!」
 
 衝撃の真実を告げられた鷹見さんの顔は、今まで見た中で一番青ざめていたのは言うまでもないと思う。
 その後も涙目になりながら、えっ? とだけ言い続ける鷹見警部を何とか励ましながら、張り込みを継続したのだった……。
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