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54 本当の終わり
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ギルバートと話した翌日の朝、エルフレッドが部屋を尋ねた。
「朝早くにすまないな、よく眠れたか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか、それは良かった」
笑顔で頷くと、エルフレッドは私の顔をまじまじと見つめた。
「あの……何か……?」
「……昨日よりもだいぶ顔色が良くなったな」
「そうでしょうか……?」
きょとんと首を傾げると、彼がボソリと呟いた。
「……これもギルバートのおかげか。私では勝てそうにないな」
「……陛下?」
「いや、何でもない」
そう言って笑ってみせたエルフレッドの顔は昨日よりもどこか晴れ晴れとしていた。
(どうかしたのかしら?何だかスッキリしているように見えるわ)
たった一日の間で何かあったのか。
表情が昨日とは打って変わって晴れやかだ。
「リーシャ、昨日話した件についてだが……」
「はい」
「やはり、君の望む通りにするのが正しいんだろうな」
「陛下……」
エルフレッドは悲しそうにポツリと呟いた。
心のどこかで引き留められるかと思っていたせいか、彼の答えを聞いたときはとても安心した。
「落ち込む必要はありませんわ。陛下は正しいことをしているまでです」
「正しいこと……か。君は私と離婚することについて何とも思っていなさそうだな。当然か……」
「思うところが全く無いと言えば嘘になります」
彼の婚約者になった頃からずっとエルフレッドと一生を共にするのだと信じて疑わなかった。
このような形で離れることになるとは思ってもいなかったので、正直私も少しだけ複雑な気持ちである。
「でも、私よりかはずっと平気そうに見える」
「そ、それは……」
返答に困ってモジモジしていると、エルフレッドはハハッと大口を開けて笑った。
彼のそんな姿は随分久しぶりに見る気がする。
からかわれているようで、何だか恥ずかしい。
「どうして急に笑うんですか……!」
「すまない……君のその姿が珍しくてつい……」
「もう、からかわないでください!」
こうして笑い合っていると、何だか昔に戻ったような気分になった。
このような結末を迎えたとはいえ、婚約者だった頃は結構仲が良かったように思う。
それも今では過去でしかないが。
「でもアイツのおかげでキッパリと諦められるような気がするな」
「陛下……?」
「いや、今のは忘れてくれ」
彼は何でも無いと首を横に振った。
(アイツ……?諦める……?)
何のことだか分からない。
疑問に思った私は、どこか切ない彼の顔をじっと見つめた。
「――リーシャ」
「……?」
エルフレッドは逸らしていた視線を元に戻し、私を真っ直ぐに見た。
「幼い頃から私を傍で支えてくれて本当にありがとう。君がいなければ今の私は無かった」
「陛下……」
目頭が熱くなった。
彼を支え続けたその時間は無駄ではなかったのだと、ようやく感じることが出来た。
「私がいなくなってももう大丈夫です、陛下。陛下は随分と立派になられましたから」
「君からそう言われると心強いな」
クスッと口元に笑みを浮かべると、彼が立ち上がった。
「リーシャ、最後に握手してもいいか?」
「もちろんです、陛下」
私は笑顔でエルフレッドが差し出した手をギュッと握った。
彼と触れ合うのはきっとこれが最後となるだろう。
でも悲しくはない。
(さようなら、エルフレッド……どうか元気でね)
彼の手から感じる温もりを最後に、十年以上にも渡った長き恋に幕を下ろした。
「朝早くにすまないな、よく眠れたか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか、それは良かった」
笑顔で頷くと、エルフレッドは私の顔をまじまじと見つめた。
「あの……何か……?」
「……昨日よりもだいぶ顔色が良くなったな」
「そうでしょうか……?」
きょとんと首を傾げると、彼がボソリと呟いた。
「……これもギルバートのおかげか。私では勝てそうにないな」
「……陛下?」
「いや、何でもない」
そう言って笑ってみせたエルフレッドの顔は昨日よりもどこか晴れ晴れとしていた。
(どうかしたのかしら?何だかスッキリしているように見えるわ)
たった一日の間で何かあったのか。
表情が昨日とは打って変わって晴れやかだ。
「リーシャ、昨日話した件についてだが……」
「はい」
「やはり、君の望む通りにするのが正しいんだろうな」
「陛下……」
エルフレッドは悲しそうにポツリと呟いた。
心のどこかで引き留められるかと思っていたせいか、彼の答えを聞いたときはとても安心した。
「落ち込む必要はありませんわ。陛下は正しいことをしているまでです」
「正しいこと……か。君は私と離婚することについて何とも思っていなさそうだな。当然か……」
「思うところが全く無いと言えば嘘になります」
彼の婚約者になった頃からずっとエルフレッドと一生を共にするのだと信じて疑わなかった。
このような形で離れることになるとは思ってもいなかったので、正直私も少しだけ複雑な気持ちである。
「でも、私よりかはずっと平気そうに見える」
「そ、それは……」
返答に困ってモジモジしていると、エルフレッドはハハッと大口を開けて笑った。
彼のそんな姿は随分久しぶりに見る気がする。
からかわれているようで、何だか恥ずかしい。
「どうして急に笑うんですか……!」
「すまない……君のその姿が珍しくてつい……」
「もう、からかわないでください!」
こうして笑い合っていると、何だか昔に戻ったような気分になった。
このような結末を迎えたとはいえ、婚約者だった頃は結構仲が良かったように思う。
それも今では過去でしかないが。
「でもアイツのおかげでキッパリと諦められるような気がするな」
「陛下……?」
「いや、今のは忘れてくれ」
彼は何でも無いと首を横に振った。
(アイツ……?諦める……?)
何のことだか分からない。
疑問に思った私は、どこか切ない彼の顔をじっと見つめた。
「――リーシャ」
「……?」
エルフレッドは逸らしていた視線を元に戻し、私を真っ直ぐに見た。
「幼い頃から私を傍で支えてくれて本当にありがとう。君がいなければ今の私は無かった」
「陛下……」
目頭が熱くなった。
彼を支え続けたその時間は無駄ではなかったのだと、ようやく感じることが出来た。
「私がいなくなってももう大丈夫です、陛下。陛下は随分と立派になられましたから」
「君からそう言われると心強いな」
クスッと口元に笑みを浮かべると、彼が立ち上がった。
「リーシャ、最後に握手してもいいか?」
「もちろんです、陛下」
私は笑顔でエルフレッドが差し出した手をギュッと握った。
彼と触れ合うのはきっとこれが最後となるだろう。
でも悲しくはない。
(さようなら、エルフレッド……どうか元気でね)
彼の手から感じる温もりを最後に、十年以上にも渡った長き恋に幕を下ろした。
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